2025年2月17日(月)、令和7年度(2025年度)京都府公立高等学校入学者選抜の前期選抜が実施された。京都府教育委員会が2025年2月6日に発表した出願状況によると、全日制は前期選抜募集定員5,249人に対し、1万496人が出願。出願倍率は2.00倍で、前年度の2.02倍から0.02ポイント減少した。 リセマムでは、京進の中学・高校受験トップシグマの協力を得て、西京高等学校(エンタープライジング科)の学力検査講評を速報する。このほか、堀川高等学校(探究学科群)、嵯峨野高等学校(京都こすもす科)についても、同様に掲載する。西京高等学校(エンタープライジング科)講評 (京進 提供)英語大問1 長文読解(会話文・説明文)〔やや難〕大問2 長文読解(説明文) 〔標準〕リスニングA ディクテーション(1回読み) 〔標準〕B 英文を聞き、質問の答えとして適当なものを選んだり、数字を書いたりする問題(記号・2回読み) 〔標準〕C 会話と資料(記号・1回読み) 〔標準〕D 会話と資料(記号・2回読み) 〔標準〕 筆記は例年通り大問2題構成。大問1の長文は、芸術ツアーをテーマとしてガイドがツアー参加者と交わす会話とパンフレットで構成され、例年見られる「資料」の読み取りは無かった。設問自体の難易度はやや易しかったが、本文・設問を含めると読む量がかなり多いため大問1の難易度は高めである。大問2は「幸福度調査と遺伝子」についての説明文。空欄に形容詞や動詞を補う問題は比較的解きやすかったが、内容を65字以上85字以内の日本語でまとめる問題は難度が高かった。リスニング問題の構成には大きな変化はなかった。全体を通して情報量が多い試験のため、普段から長めの英文を読む練習が必要である。数学大問1 小問集合 〔標準〕大問2 関数 〔やや難〕大問3 確率 〔標準〕大問4 動点 〔標準〕大問5 空間図形 〔標準〕大問6 約束記号 〔標準〕 今年の問題は、大問6題と昨年とほぼ同じ構成であり、大きな変化は見られなかった。全体として、昨年よりも取り組みやすい問題が多かった。大問1の計算問題では、計算法則をうまく活用して効率的に処理することが求められた。大問2の関数では、放物線上の2点を通る直線の式を求める公式を覚えておくことで、スムーズに解答できただろう。大問3の確率では、条件を正しく整理し、過不足なく調べる力が必要だった。大問4(3)はOPとOQの作る角の大きさが30度、150度になるときを見抜けたかどうかがポイントとなった。大問5では、直方体を1つの平面で切断してできる立体に関する問題が出された。(2)では、点Pから直線GCへ下した垂線の長さが10cmであることに気づくことが鍵となった。大問6の約束記号の問題では、分数の分母と分子に一定の操作を行う設定であり、約束に従い順序立てて処理することが重要だった。近年は複雑な設定の問題は減少傾向にあり、基本的な解法を理解していればある程度は得点できる構成となっている。今年は記述が出題されなかったが、過去には証明問題に加え、整数や図形の性質の説明なども出されている。解答を導く過程を論理的に記述する練習もしておきたい。国語大問一 論説文 『外国語学習の科学-第二言語習得論とは何か』白井恭弘 〔やや易〕大問二 古文 『十訓抄』 〔標準〕 現代文、古文の大問2題構成。素材文の分量、漢字の選択肢形式での出題は例年通り。現代文では、【引用部分】として、問いのなかに本文とは別の文章が用意された。また、本文には表が用いられており、表中の空欄にあてはまるものを選ぶという問いが出題された。複数の文章や、表・資料を用いた出題は近年さまざまな学校で増加傾向にある。現代文は外国語学習について述べられた文章で、内容は読み取りやすかった。記述問題は字数が80字1問、60字1問、40字1問と、昨年度に比べ減少した。難度も高いわけではないので部分点をとりたい。古文の記述問題は20字2問、10字1問、15字2問で、記述字数は現代文同様昨年度より減少した。本文の現代語訳で答えられる問題から、自分で考えて答える問題まで出題されている。記述問題は字数が少ない方が難しくなることもあるので、古文に関してもさまざまな長さの記述問題の対策をしておきたい。全体として一般的な公立高校の入試問題より記述問題が多いので、解く順番や設問を読むタイミングなど、工夫して効率よく解き進めたい。理科大問1A 物理 力のはたらき、電磁誘導〔やや難〕大問1B 物理 光の性質 〔標準〕大問1C 物理 浮力 〔やや難〕大問1D 物理 電流と回路 〔やや難〕大問2A 化学 水素の生成 〔やや難〕大問2B 化学 状態変化と密度 〔標準〕大問3A 地学 惑星 〔標準〕大問3B 生物 ヒトのからだのつくりとはたらき 〔標準〕大問3C 生物 生物どうしのつながり〔標準〕 出題の割合は、物理、化学、生物がほぼ同じで、地学が少なかった。記述解答の問題は生物分野から1問であった。作図問題は、物理分野から2問出題された。物理分野では力のはたらきを深く理解していないとうまく作図できなかったと思われる。また電流の問題では回路の扱いに習熟していれば素早く解けたであろう。化学分野では、計算が煩雑で、時間がかかった受験生が多かったのではないだろうか。地学分野では、基本的な知識に加え、有機物の分解や天体の動きを数値を用いて考える問題が出題された。生物分野以外では文字式を扱う出題があり、抽象的に思考する力が求められている。物理、化学で問われる範囲が広く、受験生は、この分野で苦手単元を作らないように学習を進めることが大事である。社会大問1 地理・歴史・公民融合 〔標準〕大問2 地理・歴史融合 〔やや易〕 問題の構成は例年通り。大問1は、宇宙開発の歴史と現在に関するリード文から地理・歴史・公民と幅広く問われた。見慣れない資料もあり、読み取りや判断に時間を要する問題だった。大問2は食事の歴史をテーマに探究活動をしている生徒の話し合いの一部から問われた地理・歴史について問う問題で、比較的解きやすく、すぐに答えの判断できる問題が多く見られた。複数の正答を組み合わせて1つの正答となる問題が多く、幅広い知識が求められた。記述問題は80字程度(90字まで)、90字程度(100字まで)のものが1題ずつ。設問から条件を整理し、資料を読み取ったうえで、文章にまとめる練習をするとよいだろう。 京進の中学・高校受験トップシグマは関西・愛知を中心に全国で学習塾を展開している。最新の脳科学に基づく学習法は、自ら学ぶ力を育む学習法として高い効果を上げている。 このレポートは2025年2月17日(月)に、速報として京進の中学・高校受験トップシグマにより作成されたもの。協力:京進