美大への進路選択74.1%が不安…スキルや経済的負担が上位に | NewsCafe

美大への進路選択74.1%が不安…スキルや経済的負担が上位に

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美大へ進学を希望していた際、進路選択においてどの程度不安を感じたか
  • 美大へ進学を希望していた際、進路選択においてどの程度不安を感じたか
  • 美大の受験のために予備校に通っていたか
  • 美大へ進学を希望していた際、進路選択においてどの程度の不安を感じたか
  • 美大へ進学を希望していた際、進路選択において不安を感じたことは何か
  • 美大へ進学を希望していた際、進路に関する情報収集で困難だと感じたことは何か
  • 美大へ進学を希望していた際、実技試験の対策において困難だと感じたことは何か
  • 美大へ進学を希望していた際、経済的な負担として特に懸念していたことは何か
 過去3年以内に美術大学(以下、美大)の受験を経験した人の7割以上が進路選択において少なからず不安を感じていたことが2025年11月5日、芙蓉エデュケーションズが運営する「ISCA TOKYO」の調査結果で明らかとなった。

 「美大へ進学を希望する人の進路選択における不安に関する調査」は10月17日~20日、過去3年以内に美大の受験を経験した18歳から29歳の男女を対象に実施された。調査人数は116人。

 はじめに「美大の受験のために予備校に通っていたか」との設問では、「はい」が62.9%、「いいえ」が37.1%となり、美大受験経験者の6割以上が、受験対策として予備校を利用していたことがわかった。

 次に、「美大へ進学を希望していた際、進路選択においてどの程度の不安を感じたか」という問いでは、「非常に不安を感じた」が19.8%、「ある程度不安を感じた」が33.6%、「少し不安を感じた」が20.7%となった。これらを合計すると74.1%にのぼり、受験経験者の7割以上が進路選択において何らかの不安を抱えていたことが明らかになった。

 進路選択で不安を感じたと回答した人を対象に、具体的な不安の内容を尋ねたところ、もっとも多かったのは「美大入試・自身のスキルへの不安」で57.0%だった。ついで、「学費・経済的負担への不安」が46.5%、「自身の選択への迷いや後悔への不安」が45.4%と続いた。

 また、進路に関する情報収集で困難だと感じたことについては、「美大に関する専門的な情報が少ない」が41.4%で最多となった。2位は「進学後のキャリアに関する情報が少ない」(33.6%)、3位は「保護者や学校の先生が進路に詳しくない」(32.8%)だった。ほかにも、「特定の大学や学科に情報が偏っている」「どこで情報を探せば良いかわからない」といった回答が20%を超えており、情報収集における課題が多岐にわたることがうかがえる。

 実技試験の対策において困難だったことでは、「学業との両立」(36.2%)と「創造性・発想力の育成」(35.3%)が上位にあがった。ついで、「モチベーションの維持」(32.8%)となり、学業と専門的な実技対策を両立させることの難しさが示された。

 経済的な負担として特に懸念していたことでは、「大学の学費」が44.0%でもっとも多く、ついで「卒業後の就職・収入への不安」(36.2%)、「実習・制作にかかる費用」(32.8%)となった。在学中の出費に加え、卒業後のキャリアや収入といった長期的な視点でも経済的な懸念を感じていたようだ。

 近年、AI技術の進化やグローバル化の進展により、社会における「創造性」の価値があらためて見直されている。デザインやアートといったクリエイティブな産業は、新たな価値を創出し国際競争力を高めるうえでも不可欠な要素となっており、その担い手となる人材育成への期待はますます高まっている。

 こうした社会的な関心の高まりを背景に、美大への進学を希望する若者が増加。しかし、美大の受験は、専門的な情報収集や特殊な実技対策が求められるため、一般的な進路選択とは異なる特有の課題が存在する。今回の調査では、美大受験経験者の多くが進路選択に不安を抱え、その背景にはスキルや経済的な問題、情報不足など、さまざまな課題があることが浮き彫りになった。
《吹野准》

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