大阪市立自然史博物館は2025年11月1日から2026年2月1日まで、第56回特別展「学芸員のおしごと ー集める・調べる・伝えるー」を開催する。博物館で働く学芸員の具体的な業務内容を8つのテーマで紹介し、標本を通じた研究活動や展示企画の舞台裏を明らかにする。 博物館では「学芸員」と呼ばれる人たちが働いている。学芸員は博物館で来館者が見学する展示の企画・作製だけでなく、標本の収集・管理や標本等を用いた研究を行っている。とはいえ、博物館を支えている学芸員が具体的にどのような仕事を行っているのかはあまり知られていない。 同特別展では、博物館が取り扱う「標本」に着目し、学芸員が標本をどのように収集・管理し、研究を行い、社会に伝えているかを紹介する。展示を通して学芸員の仕事を知ることで、博物館により興味をもってもらえることを期待している。 展示は8つのテーマで構成される。1「はじめに:学芸員のおしごと」では博物館で働く学芸員とはどんな仕事をしているのか、その概要を紹介。2「まずは『集めよう』」では、博物館学芸員の重要な仕事の1つである「標本の収集」について、標本とは何か、標本収集の意義とは何か、どのようなものを、どのようにして集めるのかを紹介する。 3「新しく博物館に来た標本」では、学芸員によって収集された標本に加え、プロ・アマチュア問わず研究者や市民等から寄贈を受け、コレクションとして加わった標本を展示。おもに2022年以降に同館で収集・寄贈された標本を展示し、その標本の意義と博物館での資料収集活動について紹介する。 4「標本を『守る』」では、標本を守り、永続的に活用していくために必要な学芸員による日ごろからの標本管理について説明。標本を管理する収蔵庫とはどのような場所か、そして標本を利活用するためにどのような管理が行われているかを紹介する。 5「標本を『調べる』」では、収蔵庫に保管されている標本はどのように活用されるのか、標本を活用したさまざまな研究を紹介し、研究資料としての標本の意義を考える。6「みんなに『見せる』」では、学芸員の仕事でもっともわかりやすい展示の企画・作製について、博物館の展示はどのように作られるのか、そして展示を作る際に学芸員が注意している点などを紹介する。また、標本や展示のデジタル化についても紹介する。 7「博物館をとびだして」では、自然史博物館の活動は、博物館での標本収集や展示だけにとどまるものだけではなく、野外での観察会や友の会活動、同好の人たちが集まるサークル活動など、その活動の輪はさらに広がっていることを紹介。8「学芸員が伝えたいこと」では、標本の収集や保管、展示、普及教育を通じて学芸員が伝えたいものは何なのか、標本を未来に残す意味と博物館の存在意義を示し、同展示会のまとめとする。 おもな展示は、昆虫・植物・魚・哺乳類・無脊椎動物・化石・岩石などさまざまな種類の標本、2021年に大阪湾に漂着したニタリクジラの骨格標本、ジオラマ風に収蔵庫とはどのような場所かを紹介、標本害虫などの収蔵庫の大敵、地域自然史研究と標本の意味、展示用の標本と研究用の標本の違い、博物館の普及教育活動など。 また、小・中学生、高校生の自由研究の成果を紹介する「ジュニア自由研究・標本ギャラリー」を同特別展の会場内で同時開催する。 会期中には特別展講演会を2回開催。11月22日午後1時30分から午後3時30分まで「自然史研究に大きく役立つ博物館標本のDNA」をテーマに中濱直之氏(兵庫県立大学自然・環境科学研究所准教授/兵庫県立人と自然の博物館主任研究員)が講演。12月20日午後1時30分から午後3時30分まで「世界の博物館で働くということ―イギリス・ザンビア・カリブ海の現場から」をテーマに五月女賢司氏(大阪国際大学国際教養学部准教授)が講演する。いずれも先着170名、無料(博物館での聴講の場合は博物館入館料が必要)。 このほか、会期中の土曜日および11月16日に特別展を担当した学芸員によるギャラリートークを実施。12月24日から26日、1月6日・7日には冬休み特別版として、展示解説に加え普段は見ることのできない学芸員の仕事場も案内する。子供向けワークショップも予定している。◆第56回特別展「学芸員のおしごと ー集める・調べる・伝えるー」日時:2025年11月1日(土)~2026年2月1日(日)9:30~16:30(入館は16:00まで)会場:大阪市立自然史博物館ネイチャーホール(花と緑と自然の情報センター2階)/大阪府大阪市東住吉区長居公園1-23参加費:大人500円、高校生・大学生300円(税込)