福岡女子大学は2025年7月3日、トランスジェンダー学生の受入れを発表した。2028年度に受験し、2029年度に入学する学生から受入れを開始する。性自認が女性のトランスジェンダー学生の受験・入学を認める動きは、全国の女子大学で広がりつつある。 福岡女子大学は1923年、日本初の公立女子専門学校として創設。女性たちの声を端緒に建学されてから100年を経て、女性性や男女性別の概念が大きく変化し、性の多様なあり方が社会に受け入れられつつあることから、女子高等教育を行う公立大学として、女性の多様なあり方を包摂する歩みをさらに進めようと、学部と研究科の出願資格である「女子」にトランスジェンダー女性を含めることを決定した。 受入れ対象となるトランスジェンダーは、出生時の戸籍は男性で、ジェンダーアイデンティティは女性である学生。2028年度に受験し、2029年度に入学する学生から受入れを開始する。 トランスジェンダー学生の受入れをめぐっては、学内の「受入検討チーム」が2022年5月から12月まで情報を収集し、論点を整理。2023年5月に「受入検討委員会」を設置し、外部専門家による研修会、学生との意見交換会などを通じ、トランスジェンダー学生を受け入れた場合に必要な措置の審議を続けたうえで、「受入れを可とする」との意見書を学長に提出。今回の正式決定に至った。 今後は、2026年秋に受入れガイドラインと出願資格審査手続を公表予定。また、入学後の1年次に義務付けている全寮制教育への対応、相談体制の構築など、トランスジェンダー学生を含むすべての女子学生が共に学ぶための環境整備を進めていくとしている。 向井剛学長は、トランスジェンダー学生の受入れについて「この過程と新しい環境での学びは、本学が標榜する感性豊かでグローバル・マインドをもつ人材の育成とともに、多様性を包摂する社会の実現に貢献するものと信じます」とコメントしている。 トランスジェンダー学生の受入れは、お茶の水女子大学、奈良女子大学、宮城学院女子大学、日本女子大学などがすでに実施。津田塾大学でも2025年4月入学より、女子大学で学ぶことを希望するトランスジェンダー学生(性自認による女性)に学部、大学院研究科の受験資格を認めている。