簡単に終わるはずが「気難しいアイツ」と取っ組み合いになった「ラビオーム」。「いや、よく考えたら処方も大変でした」 | NewsCafe

簡単に終わるはずが「気難しいアイツ」と取っ組み合いになった「ラビオーム」。「いや、よく考えたら処方も大変でした」

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簡単に終わるはずが「気難しいアイツ」と取っ組み合いになった「ラビオーム」。「いや、よく考えたら処方も大変でした」

フェムテック、フェムケアという言葉がすっかり浸透した昨今ですが、今を去ること1985年にすでにフェムケアの概念を持っていた会社がロート製薬です。この春新登場する大型フェムケア製品「ラビオーム」の開発背景を、同社スキンケア製品開発部 開発1G シンドゥ サンガベルさん、同社広報・CSV推進部 広報グループ 岡田真由香さんに伺いました。

【気になる製品の「開発秘話」聞いてみました】#2

「それまでなかった習慣を作り出す」ということ。大変なのは分析よりも開発よりも…

実は女性の膣内は初潮から閉経まで、月経のある年齢の間は「乳酸菌が優勢」と研究が進んでいます。

「膣内は、思春期前には雑多な細菌が生息していますが、月経が安定したころから閉経前までは女性ホルモンの影響を受けて乳酸菌中心で安定します。しかし、プレ更年期以降は再び乳酸菌が減少し、雑多な状態に戻ってしまうのです。実は、この乳酸菌こそが感染症になりにくい状態を保ってくれているのだ、と考えられています*2」(シンドゥさん)

*2 Łaniewski P, Herbst-Kralovetz MM. Connecting microbiome and menopause for healthy ageing. Nat Microbiol. 2022 Mar;7(3):354-358.

外陰部は乳酸菌・皮膚常在菌・腸内細菌が混在した状態です。しかし、なぜラビオームは乳酸菌バリアケアに着目しているのでしょうか?

人の皮膚にはさまざまな常在菌が存在し、肌のバリア機能を保ち、刺激から肌を守るなどの重要な役割を果たしています。ロート製薬では、長年にわたり美肌菌をはじめ、肌と菌のバランスに関する研究を続けてきました。その中で、デリケート部位のケアを考える際に、膣内に存在する「乳酸菌」に注目しました。乳酸菌といえば、腸内での働きが思い浮かぶ方が多いかもしれませんが、実は膣内の健康を保つためにも重要な役割を担っています。乳酸菌は膣内の弱酸性環境を維持し、悪玉菌の増殖を抑える働きがあります。また、乳酸菌には保湿作用があることも知られています。これに加えて、ロート製薬の独自原料である『乳酸発酵ヒアルロン酸』と、お花のエキスの『ラビオエイド』がキー成分に選定されました。うるおい成分である乳酸菌桿菌を配合、バリアを保ちます」(シンドゥさん)

なるほど、ブランドを洗浄剤からスタートしたことは困難さの原因ではなかったと?

「大変なのはその手前、コンセプトでした。洗浄剤というのも、まずデリケート部位ケアをスタートしてもらうために最もハードルが低いのは何かをみんなで検討した結果です。塗るクリームやオイルも検討しましたが、外陰部に何かを塗るという習慣がないでしょうから、違和感があるのではないかと。洗浄剤ならば洗い流すので、ケアの必要性に気づいた人には手を伸ばしやすいでしょうし、更年期や月経の背後でお悩みが増えている分野でもあります」(シンドゥさん)

こうした「女性の健康」という、いわば漠然とした概念を扱うにあたって、大切にしたのはロート製薬が持つマインドだったそう。

「ロート製薬はお客様が抱える悩みに対して『ちゃんと効くものづくり』という、ごく当たり前のことにとても真摯に向き合っています。だから、研究開発では『そこに本当に悩んでいるお客様がいらっしゃるのか』『確実にその悩みが解消できるのか』が重要。ですが、デリケート部位の悩みは外に出しにくく抱え込みやすいので声を集めにくく、かつ『なかった習慣を新しく自分たちのために作り出す』ことでもあるので『ケアとは何か』のコンセプトをまとめていくことが大変。むしろ製品開発よりも大変(笑)」(シンドゥさん)

前述の通りフェムケアは「コンセプトの周囲に商品がある」独特な分野です。口に出しにくい悩みを抱え込まず、解決するためにアクションする、自分を変える一歩目がウォッシュだ。議論に議論を重ね、やっとそう提案したいという結論に達したと言います。

開発はゴールもシンプル、簡単に終わるはずだった。「気難しいアイツ」と取っ組み合いになるまでは

「いっぽうの開発面では、私のこだわりはとてもシンプル。『できるだけ優しいものを作りたい』、この点を突き詰めるのみでした。私はミニマリストで、化粧品も原材料を確認していちばん成分数が少ないものを買うくらい。だから私が作るものも、いちばん少ない原材料で、できるだけ優しい成分にしたい。処方のゴールが明確でした」(シンドゥさん)

処方の検討はシンプルだったとは言うものの、低刺激を追い求めて100処方以上を検討する中では、ほんの少量の成分変更でも刺激が出るなどデリケート部位アイテムならではの困難にも見舞われました。

「剤状と容器にも最初からこだわりがありました。まず、私はとろみのある化粧水で洗うイメージを持っていたので、剤はジェル処方にしたかった。採用したジェルは泡立てることもできますが、そのまま塗布してマッサージしながら洗浄することもできるすぐれた処方です。自分の指で外陰部をマッサージすることで自分の身体を知ってほしいというメッセージを込めたかった。安全性、安定性、低刺激、すべて守りながら気難しいポンプもクリア、しかも低刺激を確認するため安全性試験期間を長く確保する必要が生まれ、処方は時間との闘いになりました。……よく考えたら処方も結構大変でしたね(笑)」(シンドゥさん)

こうして完成した、自分の身体を理解しながらマッサージできるジェルソープには、女性に対するエンパワメントメッセージも込められています。保湿成分も贅沢に配合しているため、1本で潤いを保ちながら洗うことができます。

多くの女性がデリケート部位のニオイやかゆみを気にしていますが、これは細菌のバランスが崩れていることが一因かもしれません。そのため、デリケート部位用に設計された、微生物叢のバランスを崩さない石鹸を使用することは、快適さを高め、感染症を予防するために非常に重要なステップです。病気になった場合は専用外用薬を使いますが、実はその前のデイリーなケアも必要だよね、と」(シンドゥさん)

「作ってくれてありがとう」の声で私たちはまた次の開発に進み、世の中を少しずつよく変えていける

「ラビオーム」は24年12月からオンライン限定で先行販売をスタートしましたが、手応えはいかがですか?

「ロート製薬が手掛けるフェムケア洗浄剤、この言葉がこれだけの信頼につながるんだなと実感しました。『ロート製薬だから買いました』『出してくれてありがとう』というポジティブな声がとてもたくさん集まったのです。ロートといえば目薬のイメージが強い中、『肌ラボ』『オバジ』『メラノCC』など満足度の高いスキンケアブランドがロート製薬の製品であるという認識も少しずつ上がってきています。これまで私たちが大切にしてきた『効くものづくり』という資産が、こうして蓄積してきているんだなと、何度経験してもこの上なく勇気のわく瞬間です」(岡田さん)

「ラビオーム」、100点満点で何点ですか?

「控えめに遠慮して言うと、けっこういい処方だなって(笑)。以前、デリケートウォッシュを使ったあとに2時間3時間刺激が続いた経験があるので、自分で試すのは怖いという感覚もありました。でも、完成した製品を使ってみたら、いいな、私、結構いいものつくったな(笑)。使った方々かも『こういうものがあることを知らなかった』『専用ウォッシュなんて必要かなあ?と思ったけど、使ったらけっこういい!』なんて声ばっかりで。だから、開発した私からも、『すごくよかったからおすすめします!』と言いたいですね」(シンドゥさん)

つづき>>>「作ってくれてありがとうという声が、心血注いだ努力を全部昇華してくれる」フェムケアソープ「ラビオーム」を作って「わかったこと」とは

洗うたび肌環境を整える、乳酸菌配合デリケート部位用ソープ。ラビオーム バリアビオソープ 180ml 1,320円(10%税込)/ロート製薬

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つくった人たち

ロート製薬 スキンケア製品開発部 開発1G シンドゥ サンガベルさん

ロート製薬 広報・CSV推進部 広報グループ 岡田真由香さん

撮影/園田ゆきみ


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