国土交通省は2025年2月21日、操縦士・航空整備士のなり手不足解消に向け、航空大学校の入試に女性枠を導入すると発表した。2027年度入試を目途に設置する見通しで、新たに人物中心の評価を行う総合型区分を設け女性枠を導入する。女性枠の定員は20名。 国土交通省の調査によると、女性パイロットの認知度の低さなどから「操縦士は男性の仕事」「女性は働きづらい」「身体検査基準が厳しく女性は困難」といった認識が定着。女性の学生においては操縦士を職業の1つとして捉えていない傾向がみられたという。 そこで同省は女性比率の低い操縦士・航空整備士のなり手不足に対応するため、2024年10月より有識者WGを立ち上げ議論。今回、必要な取組みをまとめた「操縦士・航空整備士の女性活躍推進WGとりまとめ ~世界トップレベルの女性活躍分野の実現に向けて~」を公表した。 目標は「10年後に世界トップレベルの10%の女性比率を実現」とし、操縦士・航空整備士のなり手の拡大と、職員の定着の2本柱で対策を講じる。航空大学校では「入学要件見直し」「女性枠の設置」「受け入れ体制充実」の3つの改革で女性の活躍を促進。2026年度募集を目途に、身長要件(158cm未満)を撤廃し、試験時にシミュレータで操作能力を確認できるようにする。 また、2027年度からは航空会社等を参考に、入学試験科目から数IIIなどの理系専門科目を削除するほか、暫定的に女性枠を設置する。試験は、人物中心の評価を行う「総合型区分」を導入。書類選考(志望理由書、成績証明書、TOEIC等スコア・SPI、操縦士適性検査・面接、グループワーク)と、身体検査、シミュレータによる適性検査を実施する。 航空大学校の募集定員108名のうち、総合型区分の定員は一般枠10名、女性枠20名。従来試験の定員は78名とし、総合型区分で欠員が出た場合は従来試験定員に追加する。なお、今回公表された数字は女性比率の目標達成に向けて仮置きされたものであり、変更となる場合もある。 今後同省は、目標に掲げる「10年後に世界トップレベルの10%の女性比率」を目指し取組みを強化。2025年4月からは幼少期・教師・両親等を対象とした広報活動を官民連携して戦略的かつ継続的に実施するとしている。