少子化による人口減少が進む中、過去最大規模となっている医学部定員の見直しが迫られている。厚生労働省「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」は2025年1月21日、第9回会議において大学の医学部定員に上乗せして募集できる臨時定員を減らす方針を了承した。 医学部の入学定員は、2003~2007年度の7,625人から2025年度は9,393人へと過去最大規模に増加。医学部定員に占める臨時定員(地域枠:地域医療に従事する医師養成枠)の数・割合も2007年度173人(2.3%)から2024年度1,808人(19.5%)へと増加している。 一方、日本の人口は近年減少局面を迎えており、2070年には総人口が9,000万人を割り込むと推計される。医学部進学者数は1970年が約436人に1人、しかし2024年度の募集定員数で固定した場合、2050年には約85人に1人が医学部進学することになってしまうという。 こうした課題が浮き彫りとなる中、厚生労働省は医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会を開催。2027年度(令和9年度)の医学部定員の方向性については、医師の偏在対策を行いつつ、医学部臨時定員を「地域における医師確保への大きな影響が生じない範囲で、適正化を図る方向性が妥当ではないか」と提案し了承された。具体的な削減数については今後検討がなされる予定。 なお、2025年度の臨時定員研究医枠設置大学は、東北大学、埼玉医科大学、千葉大学、東京大学、東京科学大学、順天堂大学、金沢大学、金沢医科大学、名古屋大学、藤田医科大学、京都大学、大阪大学、関西医科大学、神戸大学、兵庫医科大学、奈良県立医科大学、広島大学、山口大学、長崎大学の19大学・39枠となっている。