2024年12月19日、群馬県庁で行われた合同記者会見において、群馬県の山本一太知事と長野原町の萩原睦男町長が、長野原町が内閣府より構造改革特別区域法に基づく教育特区の認定を受けたことを発表した。これにより、長野原町では株式会社立の学校設置が可能となり、非認知能力の育成や英語を使ったイマージョン教育に取り組む新たな学校が設立されることが決定した。 この教育特区の認定は、群馬県が進める「SEL教育の群馬モデル」の一環として、未来を担う子供たちの「自ら考え、判断し、行動することができる力」の育成を目指している。SEL(Social Emotional Learning)教育とは、社会情動的スキルを重視した教育であり、認知能力に加えて非認知能力の育成を重視するもの。群馬県は、2026年度末までにこのモデルを確立することを目指しており、長野原町での新たな学校設置はその一環として位置付けられている。 長野原町では、旧北軽井沢小学校の跡地に「きたかる森のインター」(仮称)という学校を設置予定。この学校は、1学年から6学年までの小学校に加え、3歳から5歳児までのプリスクールを併設する計画で、1クラス15から20名程度、全校で約140名を予定している。英語教育を中心に、国際社会で活躍できる人材を育てるとともに、学力だけでなく、考え、感じる力やコミュニケーション力を養うことを目的としている。 長野原町は、教育特区の認定を受けるために、群馬県と協力し、内閣府への申請を行った。通常、教育特区の認定には1年以上かかることもあるが、今回は申請からわずか3か月で認定を受けることができた。これは、群馬県のサポートと萩原町長の強いリーダーシップによるものであるという。 新たな学校の設置により、長野原町では地域の教育力が高まり、地域活性化にも寄与することが期待されている。特に、自然豊かな環境を生かした教育移住が進むことで、人口減少対策や交流人口の増加にもつながると考えられている。また、地域住民にとっても、統合により学校がなくなった寂しさを解消し、子供たちの賑やかな声が再び聞こえることへの喜びがあるという。 今回の学校設置は、地域との連携や地域コミュニティーの拠点としての役割も期待されており、長野原町の教育ビジョン「自立と共生」の理念に基づくもの。萩原町長は、地域に根ざしたグローバル人材の育成を目指し、町外から来る子供たちのためだけでなく、地域住民にとってもプラスになる学校にしたいと述べている。 開校は2026年4月を予定しており、今後、具体的な取組みが進められることになる。群馬県としても、SEL教育の推進を通じて、長野原町との連携を深め、地域の教育力向上に貢献していく方針だ。