スプリックス教育財団は2024年11月25日、児童養護施設を対象に学力・進学実態調査を実施した。調査は、基礎学力の重要性認識と定着状況の把握を主目的とし、33の児童養護施設から回答を得た。調査結果によれば、9割以上の施設が基礎学力を学習の土台として重要視しているが、5割以上の施設で基礎学力が十分に定着していないことが明らかになった。 この調査は、社会的養護を必要とする子供たちが十分な学習機会を得られず、進学や就職に影響を及ぼしている現状を背景に行われた。スプリックス教育財団は、児童養護施設出身の大学生を対象に奨学金支給事業を行っているが、施設における学力の遅れが将来の選択肢を狭める一因となっていることを懸念している。 調査結果によると、学力不足の原因として「学習意欲不足」や「勉強嫌い」が多く挙げられた。また、在籍者の学力に関する課題として「学力の遅れ」「学習意欲の欠如」「学習支援の困難さ」「教育環境整備の必要性」などが指摘された。2024年度の高校進学率は98.2%である一方、高等教育への進学率は31.7%、就職率は59.8%であり、一般的な進学率と比較して低いことがわかる。 ICTの活用は7割の施設で進んでいるが、学習充実感を十分に得られているとは言えない状況である。学力向上のための対策として「宿題を一緒にする」ことが9割の施設で実施されており、ICT活用による学習充実感は高くない。調査結果から、基礎学力が定着していない原因として、学用品や教材の不足といったハード面の問題は少なく、在籍者の「勉強嫌い」や「学習意欲の低い状況」への取組みが課題であることが示された。 ICT機器による学習の充実実感を得ている施設もあり、どのようにICTを有効活用するかというソフト面の検討が必要である。また、職員の負担軽減につなげる視点も重要である。詳細な調査結果は、スプリックス教育財団の公式Webサイトで確認できる。