東京商工リサーチが2025年1月に発表した「全国女性社長」調査によると、全国の女性社長は68万4,669人となり、前年比5.4%増で過去最多を記録した。出身大学別では、日本大学が499人でトップを維持した。 調査は、東京商工リサーチが保有する2025年7月現在の約440万社の経営者情報(個人企業を含む)から、女性社長(病院、生協などの理事長を含む)を抽出し、分析した。調査は今回が14回目。 全国の約440万社のうち、女性社長は過去最多の68万4,669人(前年比5.4%増)にのぼる。調査を開始した2010年の21万2,153人から15年間で3.2倍に増加し、全社長の15.55%を占めた。 都道府県別では、東京都が17万5,258人で最多となり、前年より約1万人増加して17万人台に乗せた。一方、最少は島根県の1,768人で、東京都との間に100倍の開きがあった。女性社長率では、沖縄県が20.65%で唯一20%を超え、全国トップとなった。 地域別の女性社長率は、近畿が16.37%で4年連続トップ。関東16.30%、九州16.02%が続き、上位3地域が16%を超えた。女性人口10万人当たりの女性社長数は、関東が1,351人で最多となった。 産業別では、「サービス業他」が34万3,476人で構成比50.1%を占め、過半数となった。飲食業や美容業、介護サービスなどの業種に多い。ついで不動産業10万1,562人、小売業6万8,324人が続いた。女性社長率では、不動産業が25.15%でもっとも高く、4人に1人が女性社長だった。 女性社長の平均年齢は65.2歳で、男性社長の63.6歳より1.6歳高い。年代別分布では70代が25.3%でもっとも多く、60代24.6%、50代21.3%と続いた。産業別では、情報通信業が57.3歳で唯一60歳を下回った。 売上高別では、1億円未満が70.5%で7割を占め、男性社長の59.5%を11.0ポイント上回った。従業員数別では、5人未満が62.1%で最多となり、女性社長が経営する企業は男性社長より小規模の傾向が強い。 女性社長の名前では、「和子」が6,599人で14回連続トップを守った。2位は「幸子」6,155人で初めて6,000人を超え、「洋子」5,963人、「裕子」5,424人と続いた。 出身大学別では、日本大学が499人でトップを維持。慶應義塾大学433人、早稲田大学382人、東京女子医科大学322人、青山学院大学256人が続き、首都圏私大がトップ5を独占した。国公立大学では、東京大学が222人で6位に入り、初めて200人を超えた。 女性活躍推進が叫ばれ、政府の創業支援や事業承継への支援も動き出し、企業や大学を巻き込みながら女性の活躍の場をサポートする取組みが、少しずつ結実しているようだ。女性社長の増加は、少子高齢化が進む中で、地域経済の活性化や後継問題の解消などに繋がることが期待される。