科学技術振興機構JSTは、2025年10月25日と26日に「サイエンスアゴラ2025」を東京都江東区のテレコムセンタービルと日本科学未来館で開催する。同イベントは、科学技術と社会をつなぐ国内最大級のオープンフォーラムであり、あらゆる立場の人々が集う広場として知られている。20回目の開催となる今回は、「科学とくらし ともに語り 紡ぐ未来」をビジョンに掲げ、先端研究を担う多くの機関からの出展や、中高生が主体となるプログラムが例年以上に多く集まる。 サイエンスアゴラは、科学技術と社会の接点を探ることを目的としており、量子コンピュータや細胞内サイバネティック・アバター、ニューロテックといった未来社会を描く展示が行われる。中高生が主体のプログラムでは、プログラミングやカードゲーム、VR体験などを通じて対話を促す工夫が凝らされている。これにより、科学を「楽しむ」だけでなく、進化し続ける科学技術が生活に与える影響や、そこから生まれる可能性や課題について参加者と共に考え、未来社会に向けた新たな視点を共有する場となることを目指している。 2025年は、来場者がそれぞれの関心度に応じて参加するプログラムを選べるよう、出展者の申告に基づく難易度を表示する。また、中高生が主体となったプログラムは、同世代が交流しやすく、さらに先端研究を行う大学や研究機関との行き来も生まれるような出展配置が工夫されている。これにより、来場者はもちろん出展者にも充実した時間を過ごしてもらうことが期待されている。 メイン会場のテレコムセンタービルでは、来場者が巡回する際のガイドとなるよう、フロア内で各プログラムと連動する「地球・生き物・私たち」「食・農業・健康」「街・空間・生活基盤」「研究・対話」「学び・体験・創造」の5つのジャンルを設け、ブースの配置を工夫する「キュレーション」を実施した。科学コミュニケーション分野で活躍するアナウンサーで同志社大学ハリス理化学研究所所属の桝太一氏ら、有識者10人で構成する「サイエンスアゴラ2025推進委員会」がこのキュレーションを進め、注目プログラムも選出した。サイエンスアゴラ開催初日の25日には、同じく推進委員でサイエンスエンターテイナーとしても知られる東京都市大学の五十嵐美樹氏による、科学の魅力や面白さを学べるサイエンスショーが実施される。 日本科学未来館では、5G通信と先端医療技術を活用した「動く手術室」として、災害現場や医療資源の少ない地域に出動して遠隔医療が可能な移動型手術車両「モバイルSCOT」の展示・実演が行われる。また、国際量子科学技術年である2025年は、日本科学未来館と日本物理学会がコラボレーションしたプログラムなどを実施し、さらに同時開催として、産業技術総合研究所臨海副都心センターの一般公開、東京国際交流館の国際交流フェスティバル、東京都立産業技術研究センターの一般公開など、近隣機関とも連携してお台場地区を盛り上げていく。 サイエンスアゴラ2025では、若い才能の育成を目的とする「国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト(IVRC)」や、科学への夢や自由な発想を発掘する「学生アイデアファクトリー」、人々の幸福(Human Well-being)の実現を目指し掲げられたムーンショット目標の研究開発、未来社会を担う次世代を巻き込んだ取組みや、研究者同士の対話セッションなど、130を超えるプログラムが用意されている。◆サイエンスアゴラ2025日時:2025年10月25日(土)・26日(日)10:00~17:00会場:テレコムセンタービル、日本科学未来館(東京都江東区)対象:科学技術に興味のあるすべての人参加費:無料事前申込:不要