2025年度(令和7年度)2月18日(火)と2月19日(水)に、千葉県公立高等学校入学者選抜が実施された。千葉県教育委員会が2025年2月14日に発表した一般入学者選抜等の確定志願状況(全日制)によると、募集人員2万9,720人に対し3万3,854人が志願し、志願倍率は1.14倍だった。 リセマムでは、京葉学院の協力を得て、2日目の19日に行われた学力検査「社会」の講評を速報する。このほかの教科(全5教科)についても同様に掲載する。<社会>講評(京葉学院 提供) 例年通り、次の8つの大問で構成され、地理、歴史、公民のあらゆる単元からまんべんなく出題されました。教科書に書かれている基本的なことがらを、きちんと学んできたかが問われる内容でした。 昨年度より解答用紙がマークシート式になったことが影響してか、短答式で答える箇所はわずか1つ、記述式の問題も3問と変わりがなく、大半の問題は選択式となりました。このうち、「両方とも正しいときに点を与える」「全て正しいときに点を与える」というものが10題(合計34点)もあり、全体の平均点は下がるのではないかと思われます。1.総合問題 「千葉県の現状と課題」を題材とした、3分野の融合問題です。 (3)の図表の読み取り問題では、資料2の円グラフが通常の円グラフと異なり、値が大きい順に並べられていなかったため、誤読をしてしまった人が多いのではないでしょうか。ちなみに資料2で各費目がこのような順に並べられているのは、出典である観光庁「宿泊旅行統計調査2023」に忠実に従ったためと思われます。 (4)では「生成AI」という、きわめて時事的なことがらをあつかう出題がされました。 2.日本地理 例年通り日本全図が示され、これにもとづいて出題されました。もちろん地形図の読み取りも出題されました。 昨年1月にも能登半島地震がおこりましたが、自然災害を題材とする問題が社会の入試で増えています。(4)〇2では自然災害に対するわたしたちの心構えが問われました。また、(1)では選択肢の1つとして「南海トラフ」ということばも見られました。 (2)では果物(ぶどう、みかん、りんご)の生産が多い県、(3)では北海道における主要な農業地域の1つである石狩平野についてと、地理分野入門編とでも呼べそうな題材が選ばれました。3.世界地理 例年通り世界全図が示され、これにもとづいて出題されました。 (1)は緯線・経線についてや時差が題材の、もはや定番ともいえる問題でした。(2)の日本の貿易相手国や、(3)の中国の経済発展もやはり定番の問題といえます。 奇をてらうことなく、まっすぐ正面から社会の勉強に取り組むことで成果が現われる、良質な問題であったといえます。4.前近代史 「日本の絵画」がテーマで、「高松塚古墳壁画」「秋冬山水図」「洛中洛外図屏風」「風神雷神図屏風」、歌川広重の「大はしあたけの夕立」といった名画を用いて出題されました。それぞれの名画がえがかれた時代や、制作の背景となったことがらなどが問われました。とはいえこれらの絵画を暗記しておかなければならなかったわけではなく、それぞれ詳しい説明が書かれていますので、これらを読んで解くことができます。5.近・現代史 インドのガンディーが、第二次世界大戦が始まってから1年強が経ったころに、ドイツのヒトラーに送った手紙が示され、これを題材にして作られた問題です。当時における戦争の背景にあった帝国主義、ナチズム、社会主義から、現代におけるテロや地域紛争の背景の1つともいわれるグローバル化まで、はば広い視野が求められた問題でした。6.国民生活と経済・社会 経済主体について出題されました。つまり「家計」「企業」「政府」という、今日の経済における最も重要な3主体に対する正しい理解が問われました。(2)では、いわゆる「働き方改革」の政策が進んでいることを背景に、「企業の社旗的責任(CSR)」や「ワーク・ライフ・バランス」が問われました。7.日本の政治制度 国会、内閣、裁判所、地方自治といった、政治のしくみについての問題でした。(3)は地方自治における直接請求権について記述するもので、有権者から集める署名やその提出先について、正確な知識が必要とされました。8.国際社会 (1)では、世界の貧困の問題に対する処方箋の1つとして行われている、「マイクロクレジット」が問われました。 (2)では、4つの先進国(日本、アメリカ、フランス、ドイツ)における、二酸化炭素の排出量にも大きく影響する、発電電力量と発電エネルギー源別割合の2つの資料を用いて出題されました。 このレポートは2025年2月19日(水)に速報として京葉学院により作成されたもの。協力:京葉学院