東京都は2025年1月31日、2025年度(令和7年度)に実践する少子化対策の強化策と全体像を整理した「東京都の少子化対策 2025」を公表した。第1子の保育料等無償化を含む多岐にわたる新たな支援策や拡充策を発表。少子化は一刻の猶予もない課題との認識のもと、各ライフステージで幅広い対策を打ち出している。 2024年の全国の出生数は、2020年の国勢調査を出発点とする国の将来推計の中位推計より約15年前倒しで70万人を下回る見通し。少子化は社会の存立基盤を揺るがす国家的な課題であり、東京都も一刻の猶予もない課題との認識のもと、スピード感をもって戦略的に取り組む必要があると危機感を示した。 特に、少子化の背景と要因を踏まえ、多様な価値観や考え方を尊重しつつ、ひとりひとりの思いに寄り添いながら「結婚したい」「子供をもちたい」と望む人を、「出会い・結婚」「妊娠・出産」「子育て期の支援」「教育・住宅」「就労・職場環境」「社会気運・環境整備」の各政策分野で強力に後押しする施策を展開する。 「東京都の少子化対策2025」で公表した2025年度予算における都のおもな少子化対策では、ライフステージをシームレスにサポートし、「子育てしやすい東京」を実現するための具体策を示した。子育て費用支援については、保育料等の無償化を拡充。国が実施するまでの間、第1子の保育料等の無償化を実施し、都内すべての家庭における所得制限なしの子供の保育料等無償化を実現する。開始時期は9月以降を予定。これにより、0歳から18歳まで切れ目のない経済的支援を行うとしている。 また、おもな新規事業として、無痛分娩の費用を助成する事業や、都独自に国を上回る運営基準を満たす学童クラブを認証し運営費などの経費を補助する東京都認証学童クラブ事業、子育て世帯が住みやすいアフォーダブル住宅の供給、企業における「年収の壁突破」総合対策促進事業など、計11のアクションに新たに取り組む。 このほか、結婚支援マッチング事業や婚活・結婚関連団体との連携、結婚情報の発信など、結婚を希望する人々が一歩を踏み出せるよう後押しする施策を拡充。1月からは都内すべての公立学校の学校給食費も無償とするなど、教育費負担軽減策も拡充を図る。 さらに、育児休業は「休み」ではなく「大切な仕事」と考えるマインドチェンジに向けて、新たな愛称「育業」を活用し、望む人誰もが「育業」できる社会の気運醸成の取組みを推進するとしている。 東京都は、これらの施策を通じて少子化対策を強力に推し進めていく方針。対策の実効性を高めるため、ニーズや課題を継続的に把握・分析し施策に反映させることや、統計的手法を活用して長期的な視点に立った政策効果を検証することで幅広い対策の充実につなげていくとしている。「東京都の少子化対策2025」は、68ページにわたる全文のほか、概要版、ポケットブック版を公開。東京都の子供政策連携室ホームページから見ることができる。