文部科学省は2024年12月24日、全国の国公私立大学長に対し、大学入学者選抜の試験期日遵守を求める通知を発表した。これは、2025年度の大学入学者選抜において、試験期日が定められた「大学入学者選抜実施要項」に基づき、適切に実施するよう要請するものである。 この通知の背景には、試験期日を遵守しない大学が存在することがある。特に、一般選抜だけでなく総合型選抜や学校推薦型選抜において、個別学力検査が定められた期間よりも早く実施されているケースが指摘されている。これに関して、2023年10月に開催された大学入学者選抜協議会では、高等学校関係団体を中心に強い懸念が示された。 協議会では、早期選抜が生徒の安易な進路選択につながり、高等学校教育に大きな影響を及ぼす可能性があると指摘された。また、一部の大学が実施要項の趣旨を踏まえず、早期選抜を行っていることに対しても憂慮の声があがっている。これにより、高等学校と大学の教育の接続が正常に行われることが求められている。 総合型選抜や学校推薦型選抜は、入試方法の多様化や評価尺度の多元化を図る大学の努力の一環であり、選考に当たっては丁寧な資料の見取りとそれに係る時間を要することから、一般選抜に比して早期に実施されることが理解されている。しかし、現行の実施要項に基づけば、各大学はアドミッション・ポリシーに基づいて選抜を実施するものであり、少子化による学生の確保が目的ではないとされている。 文部科学省は、大学入学者選抜が高等学校と大学の教育を接続する教育の一環として実施されるべきであり、高等学校における適切な教育の実施を阻害しないよう配慮が求められると強調している。したがって、国公私立大学および高等学校関係団体の代表者による合意の結果を通知している実施要項に定める試験期日等の遵守が重要であると述べている。 実施要項の内容については協議会で検討が進められているが、各大学においては、上記の内容を改めて確認し、定められた実施要項に基づき大学入学者選抜を適切に実施することが求められている。さらに、大学入学者選抜の工夫・改善を進めるよう要請されている。