2025年の大学入試において、女子枠を設ける国公立大学が30校にのぼり、前年から倍増することが旺文社教育情報センターの調査結果で明らかになった。特に理工系の学部で女子枠の導入が進んでおり、多様性の確保を目指す動きが広がっているという。 大学や企業の現場では、多様性の確保が長年の課題となっている。特に理工系分野では、男子学生の割合が高く、女子学生の少なさが指摘されてきた。文部科学省の大学入学者選抜実施要項には「多様な背景を持った学生の受け入れに配慮する」と記されており、これが女子枠導入の後押しとなっている。 多様性を意識した入試は、女子枠だけでなく、児童養護施設や生活保護受給世帯の出身者を対象とするものもある。これらの出身者は大学進学率が低い傾向があり、家庭環境に配慮した入試が進められている。また、働きながら学ぶ意欲のある者に対しては、大学が就業の場を提供する入試も存在する。東京電機大学の「総合型選抜(はたらく学生)」や東洋大学の「『独立自活』支援推薦入試」などがその例である。 これらの多様性を意識した入試は、一般選抜ではなく、総合型選抜や学校推薦型選抜で行われている。大学が受験生の適性や学習意欲を丁寧に見ることが目的だという。 今後も女子枠は増える見込みで、2026年入試では埼玉大学、京都大学、大阪大学、広島大学での新規導入が予定されている。これらの取組みが学内の多様性の状況や卒業後の活躍にどのような影響を与えるか、長期的な視点での検証が求められる。他方、女子枠以外の家庭環境や居住地域に配慮した入試の動向にも注目が集まる。