*TOP画像/双寿丸(伊藤健太郎) 賢子(南沙良) 大河ドラマ「光る君へ」 41話(10月27日放送)より(C)NHK
平安の女たち、平安の男たちを描いた、大河ドラマ『光る君へ』の第41話が10月27日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。
双寿丸はまっすぐでやさしい男。まひろが恋した直秀と重なる一面も!?
40話から登場した双寿丸(伊藤健太郎)は裏表がなさそうで、男らしく魅力的な人物ですよね。食いっぷりのよさも魅力的。賢子(南沙良)がそんな彼に恋心を抱いているのではと勘ぐっている視聴者は多いのではないでしょうか。
いと(信川清順)は双寿丸に「姫様は越後守の御孫君。お前が 親しくするような女子とは身分が違うのだから」と言い放ちますが、彼は「姫様って面でもないよな」とこの発言をさらりとかわします。
賢子はこの発言を面白がり、ハハハハハと大きな声をあげて笑います。少々図々しく、ぶっきらぼうな性格であるものの、表裏がなく、ストレートな発言をする彼は賢子にとって一緒にいて心地よいのでしょう。
いとは双寿丸にこころない発言を多々しているものの、この男を心の奥底から嫌っているわけではないように思います。わが子のように愛情を注いできた惟規(高杉真宙)がこの世を去り、その悲しみや悔しさからも賢子をお守りしなければ…という思いが強く、双寿丸に対してこのような態度になってしまうのでしょう。
まひろ(吉高由里子)は賢子と双寿丸の関係をあたたかく見守り、ふたりとともに食事を楽しみます。
双寿丸が字を書けないが、自分の名前だけは書けると話すと、まひろは以下のように言います。
「足で書くの?そなたは そのような身なりをして字も書けないなぞと言っているけれど 実は高貴な生まれではない?」
双寿丸はまひろのこの発言を風変りなものとして受け取りますが、視聴者の中にはまひろと道長(柄本佑)の出会いを思い出した人は多いのではないでしょうか。自分の特技は足で字を書くことだと言い、まひろを笑わせた道長。当時のまひろは帝の血を引く姫だと出自を偽り、道長に対しては実権を握っていた兼家(段田安則)の息子であるとは思いもしませんでした。まひろは娘と双寿丸を見て、”ソウルメイトとの出会い”を思い出したのかもしれません。
また、若かりし頃のまひろは散楽の一団の直秀(毎熊克哉)に心惹かれていたこともありました。飾り気がなく、優しい双寿丸は直秀とどことなく重なりますが、賢子と彼の関係はどのように発展していくのか楽しみですね。
【史実解説】平安時代において武者はどのような存在だったの?
平安時代、武者の身分は高くありませんでした。武者が社会で地位を確立していくのはもう少し後になってからです。
当時、土地を開拓し、農業などで財をなした人、都から地方に派遣された役人の中には富を蓄えて、豪族になった人がいます。彼らは領地を守るために武芸に励み、武者となりました。武者は武器の手入れや訓練、馬の世話をして暮らしていたそうですよ。
また、武者は貴族のボディーガードに雇われることもありました。貴族は争いが起きると武者を頼りにしていました。貴族の中には自分の地位を確固とするため、敵対者の屋敷の襲撃を武者に命じた人もいたといわれています。
貴族に雇われている武者は生涯安泰というわけではありませんでした。職を失い、浮浪者のように彷徨い歩く武者も珍しくなかったそう。武者同士の諍いが街中で勃発することもありました。彼らは武器を持っていたため凄惨な光景となることもあったといわれています。
武者の生活は貴族と比べて質素でした。彼らのつつましやかな暮らしぶりは食事にも見て取れ、米、数匹の魚、漬物、芋汁のような食事内容でした。肉体労働に従事する男たちにとってはものたりなさを感じそうですよね。
参考資料
繁田信一 『平安朝の事件簿 王朝びとの殺人・強盗・汚職』 文藝春秋 2020年
▶続きの【後編】記事の『「結婚祝は『源氏物語』より、ジュエリーが欲しい!」教養がないと、そのよさがわからない調度品ばかりを持って「嫁入り」していた姫たち』では、平安時代の嫁入り道具についてお届けします。__▶▶▶▶▶