写真共有アプリから、恋人間で撮影したわいせつ画像が流出してしまいました。今のところ、復讐を目的とした、いわゆる「リベンジポルノ」ではなさそうですが、画像によって個人や所属が特定されてしまいました。こうしたわいせつ画像の問題では誰もが被害者にもなり得ることを意識しなければなりません。 これまでも、一般ユーザーのわいせつ画像がネット上の流出し、話題になったことがあります。2006年10月、会社員のパソコンが、ファイル共有ソフト「Share」の曝露ウィルスに感染してしまいました。そのため、恋人間で撮影したわいせつ画像が流出してしまいました。さらに、流出したものから実名が分かってしまいました。当時、流行していたSNSのmixiで検索したところ、特定されてしまったのです。いわば、意図しないわいせつ画像流出事件だったわけです。
その意味ではリベンジポルノ事件とは異なります。リベンジポルノは、元恋人とのわいせつ画像を復讐の意図を持って流すことです。13年10月の三鷹市の女子高生ストーカー事件でもそうしたリベンジポルノが流されました。このことで日本でも、リベンジポルノが社会問題となったのです。現行法でも、名誉毀損で法的な対処ができます。しかし、リベンジポルノ画像の流出を止めること現状では困難です。
今回発覚した「事件」のもとは、写真共有アプリ「写真袋」でした。通常、写真共有ソフトなどを使っている場合は「ID」と「パスワード」で管理しています。しかし、「写真袋」は、「合い言葉だけで写真を大量交換できるアプリ」なのです。つまりスマートフォンにアプリをダウンロードした後、スマートフォン内にある写真と連動し、その中から交換したい写真を選びます。選択したら「合い言葉」を入れるだけなのです。難しい合い言葉であれば、実際に交換したい相手とだけに共有されることでしょう。 しかし、簡単な言葉であれば、誰もが共有してしまいかねません。今回の「事件」では、その合い言葉が分かりやすいものでした。そのため、共有しやすかったようです。しかもネット社会はこうした情報が流れるのは早い。匿名掲示板では入手した人たちがファイルにしてさらに拡散していきます。なかにはファイルをダウンロードするのに有料にしたり、ネットオークションに出して、「金銭」に替えている人もいたりします。
こうした流出が起きると、個人を特定できる情報があるものです。今回もやはり、名前、大学名、サークルなどが特定されてしまいました。FacebookやTwitterのアカウントもわかってしまいましたが、すでに凍結しています。また、ニュースサイトが大学に問い合わせをしたために、大学側も把握したようです。わいせつ画像を撮ったからといって、大学内で処分があることはないでしょうが、わいせつ画像が流れたことによるトラウマが心配です。ケアがどのようになされるべきかか考えないといけませんが、当面はネットでも話題になってしまうことでしょう。
わいせつ画像が流出しないようにするためにどうすればよいでしょうか。そもそもはわいせつ画像を撮らなければいいわけです。恋人らと付き合う上でそうした画像を撮らないようにするのです。しかし、いくらそうしたことを教育や指導したとしても、その人との実際の関係の中で、すべて拒否することもできない場面もあるしょう。話を聞けば、そうした行為が二人の間での楽しみにしている人もいます。そのため、「撮影するな」だけでは、ある種の人の行動を抑えられません。 どうしても撮影が必要な場面や関係であるのなら、インターネットにつながらないデジカメやアナログカメラ等を使うなど流出対策が必要です。2006年のわいせつ画像流出事件もウィルス感染でした。ネットに接続していなければ予防ができました。また、今回もスマートフォンでの撮影ですので、ネット接続が容易な環境だったのです。とはいっても、撮影するということは、最終的にはリベンジポルノのリスクは避けられないのですが.....。
[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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