
アムリターラ代表・勝田小百合さんは、経営者であると同時に、治療家、美容家、作家、表現者、さまざまな顔を持ちます。いま彼女が手掛けている「アムリアグリプロジェクト」をキーに、いま・これからのアンチエイジング、そしてアムリターラについて伺います。
自然栽培の農家さんはみんな僧侶のような人格者。彼らから見習う「自然との向き合い方」

‐‐商売的にいうと、拡大路線であれば新規開発を常時行うことになると思います。
それはもともとアムリターラとして狙っていません。商品が増えれば増えるほど大変になります、倉庫もいっぱいになりますし、流通もPRも大変。やりたくてやったわけではなく、必要に迫られて、「ちょっと待って、現実問題として」と始めています。でも、安全なものを手に入れるために動いていたら、発酵食品の裏側などもいっぱい知ってしまって。ビューティーのブランドとしてちゃんとしたものを発売して、そのことも全部伝えた上で日本の文化を守っていかなきゃいけないと、知れば知るほどそうなっていきました。今は使命を持ってやっています。
美味しさは大事です。すごく最高にいい作られ方をしたものはやっぱり美味しいんです、それは間違いないなと思いました。そういうのを探求していく中で、栽培方法や作り方だけでない部分があると感じ始めました。もうひとつ、本当にいいものを作っていらっしゃる人は、お人柄もいいんです。「奇跡のりんご」の木村さんなんて、農家さんに会いに行ったのに、まるで僧侶に会った後みたいな気持ちで帰ってくることが何度もありました。自然栽培のすごい農家さんはみんな人格者です。
たぶん、自然栽培は超ピュアな自然界への感謝なしには続かないのでしょうね。肥料も使わないので、自然を観察して植物を観察して、謙虚にならないと成功しない世界。だから微生物のことも含めて超謙虚なのだと思います。どなたにお会いしても心が洗われて帰ってくるので、私はそこを見習おうと思っています。
‐‐自然に対する感謝の気持ちと、誰かに対する感謝の気持ちを持って良いと思うことをしていくことが良い循環を生み出すとおっしゃっているのは、すごく大きなことだなと今日伺っていて思いました。こういうことは若い頃からお考えになっていたことの延長ですか?
いや、そんなことはないです。若い頃は生きるのに必死で、それこそ「私」というものが何なのか、自分が生きていていいのかどうか、私は何のためにここにいるんだろうかということに振り回されてばかりでした。それをずっと考えて、演劇をやったり小説を書いたり、絵も描いていて。美大出身なので、芸術というところで自分がどうにか生きられるだろうかということを探求していました。
やるだけやったので、「私のことはもうはいいや」と。私を表現することにも飽きて、飽きた挙げ句にひっくり返った感じです。30歳ぐらいの頃にパニック障害になって、それが治ってカイロプラクターになったころですね。その前、女優をやっている時はまだ「私」を探求していたんですが、だんだん自然治癒力などを知りオーガニックの世界を学ぶにつれて「あ、私って生かされているんだな」と気づいていって。「私」というものは有限だな、いろんなことの中にある私なんだな、私って幻想だな、と思うようになりました。それが30歳以降です。
‐‐自分の存在に向き合っていた時代も長かったとはいえ、どこかメタ認知で、ずっと上の方からご自身を見ているような冷静なタイプだったのかなと思います。
確かに、ずっとそういうところがあったかもしれないです。だから人にはなじめなかったのかもしれません。とにかくなじめず、連れてこられた宇宙人みたいな気持ちで生きてきました。「なんで私、この地球のこの場所にいるんだろう」、どこかから連れてこられて孤独な、自分の中に自分というロボットのようなものに入ってしまった感じ、というのがすごく強かったです。
この仕事をする中で学んだこともいっぱいあります。アムリターラを立ち上げてから、桁違いにたくさんの農家さんや直売所、生産者さんに会うことになりましたし、社員もさまざまな経歴を持っている人たちで、私だったら絶対思わないようなことを考えていたりで勉強になります。正義は人の数だけある、真実や嘘も二元論では語れない、そう思うようになりました。小さな会社の中でも正義対正義の対立は起きますから、いろんな視点でものを見ないといい選択にならない。俯瞰で見ないといけない、自分だけの見方で物を見てはいけない。
会社経営を続ける中で、都会の世界では人を学び、農園では植物や自然を学ぶという、なかなかマーベラスな環境に至りました。会社経営ははっきり言って自分の性格には向いていないんです。占い師に見てもらうと、一番向いている職業が「フリーランス」と常に言われるくらいで(笑)
流されるまま進んで、新しいところに根を張ってみるのも楽しいものです

‐‐最近、アムリターラはアメリカにも進出なさったと聞きました。新たな文化でのトライはいかがですか?
アメリカは文化と習慣が全然違うので、国内と同じようにはいかないですね。化粧品はかなりの種類を日本と同様に展開していますが、食品に関しては出汁関係と雑穀、薔薇茶と、まだ限られた範囲です。出汁も、うちのように椎茸丸ごと、昆布丸ごとというのは難しいだろうということで粉末にして、日本にはない商品も開発して出しています。アメリカはやっぱり面白いです、文化が違うから反応も違って。いちばんびっくりしたのは、化粧水の容器。詰め替えるのが面倒くさいと言われました。アメリカらしい反応ですね。
今後の海外展開をよく聞かれますが、私はあまり綿密に計画して動いていなくて、今のことしかわからないんです。過去や未来はすべて今の中に集約されていると考えているので、計画しないんですよね。そうすると出会いと共に形が変化していきます。
出会いと共に自分が思ってもいなかったところに運ばれるのが好きなんです。自分の計画通りになって「よし!」というタイプの人もいると思うんですけど、自分が計画してもいなかったようなところに運ばれるのが大好きなので、未来のことはわからないです。商売を大きくしたいというような思想は私にはありませんが、しかし結果的にものすごく拡大している可能性もあります。
お話/勝田小百合さん
アムリターラ代表。1968年大阪府生まれ。カイロプラクターとして骨の歪みの矯正から、食事や生活指導も行う代替医療の治療家。30代からエイジレスな生き方の研究を始め、2005年に始めた「アンチエイジングの鬼」が超人気ブログとなる。2008年、国産オーガニックコスメ&フーズブランドの草分けamritaraを創業し、現在も代表と商品開発を兼務。




