年を重ねたら「少し太め」のほうがいい⁉「死亡率が低いBMI」を年代別にチェック!【東大名誉教授が解説】 | NewsCafe

年を重ねたら「少し太め」のほうがいい⁉「死亡率が低いBMI」を年代別にチェック!【東大名誉教授が解説】

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年を重ねたら「少し太め」のほうがいい⁉「死亡率が低いBMI」を年代別にチェック!【東大名誉教授が解説】

「食事量を減らせば長生きできる」「太らないことが健康の基本」――そんな話を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

しかし、カロリー制限やダイエットは、本当に健康や寿命にプラスなのか?この疑問に科学の視点から向き合ったのが、生命科学や免疫学の分野で長年研究を続けてきた東大名誉教授・北村俊雄氏です。

本記事では北村氏の著書から、「体重と寿命」の関係についてご紹介します。

※本記事は書籍『東大名誉教授が教える 死なない生き方 科学でひもとくアンチエイジングと健康寿命』(北村俊雄:著/日経BP 日本経済新聞出版)から一部抜粋・編集したものです

カロリー制限で寿命は延びるか?

肥満と診断されるほど体重が増えると、動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病のリスクが高まります。マウスやサルの実験では、食事量を抑えた群のほうが、通常の食事をとった群に比べて老化がゆるやかで、長く生きる傾向があることが図1-3/1-4で示されています。

※ただし、マウスでカロリー制限が寿命を延ばすという結果については、反する結果も一部報告されています。寿命が延長するとする研究でも、対照群のマウスの4割に糖尿病が発症(カロリー制限群は10%)していた実験も含まれており、真実は不明。

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ヒトでも「カロリー制限がいい」という考えもあり、厳しい糖質制限・炭水化物制限を勧める向きもあります。ただ、急速なダイエットや極端な糖質制限・炭水化物制限は、逆に健康を害することが多いので、注意が必要です。

「死亡率が低いBMI」の値は?

では、適度なカロリー制限によって徐々に体重を減らせば、マウスと同じように寿命が延びるのでしょうか。人間の場合は、マウスやサルを使った実験のように、一生にわたって多くの人にカロリー制限を行い、データを取ることはできません。

そこで、それに準じたデータを探してみたところ、BMIと死亡率の関係に関する報告が見つかりました(図1-5)。BMIは、体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割って算出されます。

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BMIの正常値は、年齢や性別によって少し違ってきますが、大まかには19~25とされてきました。理想値は22と考えられています。25を超えると軽度の肥満、30を超えると重度の肥満と言えます。

この図によると、男性ではBMI 23〜27(非喫煙者ではBMI 21〜27)、女性ではBMI 21〜27の人で、最も死亡率が低いことが示されています。これは意外に高い印象であり、少々太めでも死亡率には悪い影響を与えないことが示唆されます。

BMIと死亡率については、2008年に Obesityという学術誌に日本人の統計が報告されています。それによると、男性で死亡率が最も低いBMIは、40代、50代、60代、70代でそれぞれ23.6、23.4、25.1、25.5と、年齢に従って上昇しており、60代以降は高めのBMIで死亡率が低いことになります。

女性の場合も、死亡率が低いBMIは21.6、21.6、22.8、24.1と、ほぼ同じ状況です(論文では、喫煙歴やアルコール飲酒量を考慮に入れても、ほぼ同じ結果であることが紹介されています)。

この結果は、高齢になると少し太めの方が死亡率が低いことを示しており、医師として私が感じる「若干太めの高齢者の方が元気で長生きだ」という状況を裏付けています。

ヒトもマウスやサルと同じ動物なので、まったく同じ条件で比べれば、BMIが低い人では寿命が延びるという結果が得られるかもしれません。

しかしながら、単純な比較をするには人間社会は複雑化しすぎており、一生にわたってそのような実験を行うことは倫理的にも不可能なため、カロリー制限が長寿に良いのか悪いのかは不明です。

ただし、体重が増加しすぎてBMIが27を超えるような生活は、さまざまな疾患発症のリスクを高めることが確実です。

ここまでの記事では、主に「体重と寿命の関係」についてご紹介しました。続く関連記事では、「食事と健康」について解説します。
つづき>>東大名誉教授が教える「理想体重に近づける簡単な方法」とは?コレステロールや中性脂肪の数値が高い人は、食べていい肉・悪い肉があるの?

著者略歴:北村 俊雄(きたむら・としお)
1956年大阪府で生まれ、兵庫県で育つ。東京大学医学部卒業後、内科研修を経て医学部第3内科に入局。国立がんセンター研究所ウイルス部に出向して白血病ウイルスの実験に従事。その後、第3内科に戻り血液内科の臨床と研究を行う。32歳で米カリフォルニア州DNAX分子生物学研究所に博士研究員として留学。37歳で自らの研究室を持つ。40歳で帰国し、東京大学医科学研究所で日本初の寄付講座を担当。1991年、同研究所先端医療研究センター教授。同センター長を経て、2022年から神戸医療産業都市推進機構先端医療研究センター長。東京大学名誉教授。自ら開発した新たな研究方法や高効率レトロウイルスベクターは国内外の8000以上の研究室で使用され、多くの重要な研究成果につながった。趣味は音楽と読書と車とゴルフ。


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