本作は、「第169回直木賞」「第36回山本周五郎賞」をW受賞した永井紗耶子の同名傑作時代小説の映画化。芝居小屋を舞台に、仇討ちの裏に隠された真実を描き、「このミステリーがすごい!2024年版」「ミステリが読みたい!2024年版」などにも選出、2025年には歌舞伎としても上演され話題となった。
芝居小屋・森田座の舞台で上演されるのは、討ち入りを描く「仮名手本忠臣蔵」の名場面。ある事情により急遽、尾上百助に代わり、矢間重太郎役として森田座を束ねる立作者・篠田金治(渡辺謙)が舞台に立つ。大星由良助役の七代目市川團十郎も、その正体が金治であるとは気づいていない様子。
映像は、討ち入った四十七士と師直の家臣たちが激しく斬り結ぶ中、重太郎に扮した金治が鬼気迫る立ち廻りで観客を圧倒させる、迫力あるシーンとなっている。
見どころの一つが、森田座での江戸歌舞伎の様子を、芝居小屋ごと丸ごと再現したリアルさ。300人もの客が座って観劇できる規模の劇場が、東映京都撮影所のスタジオ内に組まれ、舞台と客席の境目のない、江戸歌舞伎ならではの臨場感が体感できる。
江戸歌舞伎考証を手掛けた石橋健一郎は、「庶民にほとんど休日のなかった時代、芝居見物は年に一度か二度の大きな贅沢でした。何日も前からどの着物を着ようか考え、心を躍らせて小屋へ向かう。その高揚感は今とはまったく違ったはずです。舞台と客席の距離も近く、大入りの時には舞台の袖にも客を座らせたことがあったそうです。文字通り、一体感のある空間でした」と解説。再現されたセットについて渡辺も「江戸の歌舞伎はこうだったのだと実感できる劇場でした。袖や楽屋、小道具部屋まできちんと作られていた」とふり返り、客席を埋めた観客も当時の扮装で臨んでいたことに触れ、「あの空間に立つと、自然と入り込めた」と明かした。
『木挽町のあだ討ち』は2月27日(金)より全国にて公開。






