
畳みかけてくるような更年期症状に苦しむミチコさん。幸いにして痛みを抑えることができたあと、考えたこととは?
前編記事『かかと、膝、肩、指、「更年期の坂を転がるように」全身が痛むようになった。「もう仕事も止めようか…」と覚悟したとき出会った「救世主のような」対策は』に続く後編です。
【100人の更年期 #138】後編
約1か月、驚くほどに自分の体が変わってやっと気づいた。「私はこんなに我慢に我慢を重ねていたのか」
以下はすべて私個人の体験であり、またサプリメントは医薬品ではないため効果効能を保証するものではありません。でもきっと私と同じようなことに苦しむ人がいますよね、その人に対するエールだとご理解ください。私がお世話になったのは大豆イソフラボン成分のひとつ、ゲニステインのサプリのうち大手メーカーのものです。
夏になるちょっと前、体を温めるといいのかなとホットヨガに行きはじめたころに、半信半疑でゲニステインのサプリを飲み始めました。しょせんはサプリだしな、という気持ちで飲んでいましたが、1か月くらいでふと気づくと「あれ、私いま立ち上がるときに膝をかばわなかったな?」。指のしびれも同様で、瓶の蓋、ペットボトルの蓋を開けられた自分に気づきます。自分の握力も感じられるようになりました。
眠りが続かないことは変わらず、朝3時には目が覚めてしまいますが、以前のようにまったく眠れないわけではなく、深く眠れる日も戻ってきました。重い書類を持つことはあるので肩こりはまだまだありますが、瞬間的な痛みのない体はこれだけ動かしやすいのか! 逆に、たった半年前、私はこんなこともできない状態をひたすら我慢していたのかとぞっとします。
こうなるとキャリーバッグが煩わしくなって、仕事は事務所に戻し、もとのトートに戻りました。いまでは肩も上がり、ほぼ困ることのない生活を取り戻しました。そうそう、この夏は顔汗も気にせず過ごしました。
ですが、喉元過ぎればなんとやらで、痛みがなければ飲むのも忘れてしまいます。5日ほど飲まないと肩に違和感が出始めて、おっと忘れてたと気づいて慌てて飲みます。
私、膝が痛み始めたころからイライラするようにもなっていたんです。これが話に聞く更年期のイライラかなと思っていましたが、痛みがなくなった今ではわかります。私は感情の起伏でイライラしていたのではなく、強い痛みにイライラしてたんです。かかとの痛みは長く続いてきたのでもう日常と化していましたが、膝や肩、手指はあまりに痛くて、文字通り神経がささくれ立っていたのだなと。
これに気づいたいまは、周囲にイライラしている人がいるとき「この人ももしかして痛みを抱えているのかもしれない」とより優しく接するようになりました。「人の痛みを自分の痛みと同じように考えられる」というのはこういう経験で培うのだなと思いましたし、イライラする人には誰しもその人なりの理由があるんだな、怒りの原因もいろいろあるんだなと、誰かの怒りを正面から受け止めすぎずにそっと脇に置けるようにもなりました。
更年期に何が起きるのか、どう対策できるのかは啓発に止まらず「教育」の範疇で扱うべきものではないか
「更年期ってイライラして汗をかくんでしょ」くらいの知識はありましたが、全身がここまで痛んだりしびれたりするとはまったく知りませんでした。私の母はリウマチには苦しみましたが、更年期症状にはそれほど困っていなかったんです。身近な人から体験を聞かないと、私もこれが更年期だとは気づかなかったと思います。日本って更年期に関する教育が皆無ですが、それは問題だなと痛感しました。性教育と同様に、年を取ると閉経が起きて、その前後にはこういう症状が出るからこういう対策をしたほうがいいよと、情報発信にとどまらず「教育」を行わないとならない気がします。
生命維持が困難になるというわけではなく、立てない座れないわけでもない、命も取らないかもしれませんが、更年期症状は私にとって生活にとんでもない支障でした。大好きな仕事を辞めようかとしたくらいです。にもかかわらず、私も甲状腺を検査したとき更年期とは示唆されず「年だから」と言われました。普通の人なら痛みも何もまとめてひとつの「不調」ととらえて「年のせいで起きている不調なら仕方ないかな」ってそこで諦めるかもしれません。私だって「おばあちゃんも膝痛い、腰痛いと言いながら畑やってたんだから、このくらい耐えればいいじゃん、痛みなんて我慢して付き合っていくんだよね」くらいの気持ちでいました。
それはとんでもない誤解でした。痛みは取れるんだ、我慢しちゃいけないんだなんて気づかなかった。遠慮せず「痛いから何とかしてくれ」と医療にもっと強く言うべきだったかもしれません。私は少なくとも痛みがあるのだと周囲に伝えることができたから、結果的に自分の苦しみを減らす「ゲニステイン」にたどり着きました。サプリメントですから期待もせず飲み始めましたが、飲むのを忘れると痛くなるということは「そういうこと」だと自分でも満足しています。
繰り返しますが、女性は誰しもがこうした痛み、苦しみも起き得る更年期という時期を迎えるということ、そしてそれを回避できる策があるということを「教育」しないのは、女性が健やかに生きて暮らす権利が侵害されている、そのくらいの大きなことではと思うのです。女性は出産できる身体であるため比較的痛みに強く、同時に痛みを忘れる性質も持つと感じていますが、にしたって忘れられすぎと言いますか。もしもサプリにたどり着けていなかったら私はどうなってしまったのか、考えるだけで恐ろしいです。「こんなの事前に教えといてよ!」という怒りすらあります。
更年期に向き合うとき、自分でできるセルフケアで何とかなるならそのほうが嬉しいですから、私が穏やかな方法で日常を取り戻せたことには深く感謝しています。だからこそ誰もが症状を我慢しないで「助けて」と言える社会であってほしいと思います。
つづき>>>かかと、膝、肩、指、「更年期の坂を転がるように」全身が痛むようになった。「もう仕事も止めようか…」と覚悟したとき出会った「救世主のような」対策は



 
     
           
           
           
           
           
          
