北川進 京大副学長がノーベル化学賞を受賞、喜びの会見 | NewsCafe

北川進 京大副学長がノーベル化学賞を受賞、喜びの会見

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北川進氏の記者会見のようす
  • 北川進氏の記者会見のようす
  • 北川進氏の記者会見のようす
  • 北川進氏の研究成果
 京都大学理事・副学長、高等研究院特別教授の北川進氏が、2025年のノーベル化学賞を受賞した。10月8日午後6時45分(日本時間)にスウェーデン王立科学アカデミーが発表し、同日には京都大学で記者会見が行われた。北川氏は「新しいことに挑戦し続けてきた研究がこのように評価され、非常に感激している」と語った。

 2025年のノーベル化学賞は、京都大学の北川進氏、オーストラリア・メルボルン大学のリチャード・ロブソン氏、アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校のオマー・ヤギー氏の3人が共同で受賞した。

 北川氏の研究は、金属イオンと有機分子を「配位結合」で結びつけることで構築される新しい多孔性材料「多孔性配位高分子(PCP)」の開発に関するもの。1990年代初頭から研究を進め、1997年に世界で初めて気体分子を大量に吸蔵できる多孔性配位高分子の合成に成功した。これにより、燃料ガスや二酸化炭素などを効率的に吸着・分離・貯蔵する新たな技術の道を開いた。脱炭素社会の実現や地球温暖化対策、有害物質の除去といった課題の解決に寄与する可能性が高く、エネルギー、環境、医療など多様な分野での応用が期待されている。北川氏は「配位空間の化学」という新しい研究領域を創成し、現在では世界的に競争の激しい分野にまで成長している。

 記者会見で北川氏は「新しい材料づくりを30年以上楽しみながら続けてきた。ともに化学を進めてきた同僚や学生、海外の博士研究員の皆さんに感謝したい」と述べ、支えてくれた家族への感謝も伝えた。また、研究環境にも恵まれたと話し、「研究を続ける機会を与えてくれた京都大学に心から感謝しています」と笑顔で語った。

 会見に同席した京都大学の湊長博総長は、京都大学教授として日本人初のノーベル化学賞を受賞した福井謙一氏以来の化学研究の独創の伝統を受け継ぎ、化学の世界に新しい領域を開いたことに、「大学を代表して心からお祝い申し上げるとともに、京都大学の一員として大変誇りに思う」と祝意を述べた。また、「今後も独創的で先駆的な世界に誇る研究成果を生み出し続けられるよう、卓越した若手研究者の育成に努めたい」と、京都大学の高度な研究を継続・発展させたいと考えを述べた。

 北川進氏は1951年京都市生まれ。京都大学工学部を卒業後、同大学大学院工学研究科で博士号を取得。近畿大学理工学部助教授、東京都立大学教授を経て、1998年に京都大学大学院工学研究科教授に就任した。以後、京都大学物質-細胞統合システム拠点の拠点長や高等研究院副院長などを歴任し、2017年には京都大学名誉教授に就任。2018年に京都大学高等研究院特別教授(現職)、2024年から京都大学理事・副学長(現職)を務めている。錯体化学分野の第一人者として知られ、これまでに日本化学会賞、日本学士院賞、ソルベイ未来化学賞、フランス化学会グランプリといった国内外の多数の学術賞や、紫綬褒章を受賞している。
《畑山望》

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