日本人の6割以上で英会話力が「挨拶・簡単な自己紹介レベル」にとどまることが2025年8月26日、英会話教室を運営するイーオンの調査でわかった。「話す」練習は61.6%が「ほぼしていない」ことから、「話す」機会の不足が、実践的な英語力習得の障壁になっていると考えられる。 「英会話」に関する意識調査は、2025年7月に全国の16歳から69歳までの男女1,000人を対象に実施した。インバウンド需要の高まりやグローバル化の進展にともない、実用的な英会話力の重要性が増している中、日本人が英会話学習においてどのような課題を抱え、どのようなサポートを必要としているのかを把握するねらい。 調査結果によると、現在の英会話力は「挨拶・簡単な自己紹介ができるレベル」が6割以上で最多となり、実践的なコミュニケーションへの移行が壁となっていることが明らかになった。約7割が英会話力を高めたいと回答し、目標は「海外旅行や短期滞在で、困ることなく英語でコミュニケーションを取れるレベル」となっている。 英会話の課題としては、「言いたいことがすぐに口から出てこない」が1位で38.0%、ついで「相手の英語のスピードについていけない、または聞き取れない」が27.0%、「英語を話すことに緊張や不安を感じる」が11.2%と続いた。会話中に言いたいことを考えている間に会話が進んでしまうと感じる人は約9割にのぼり、予想外の話題や雑談になったときに会話が続かないと感じる人は8割以上に達した。 また、日本人は実際の対人コミュニケーションの実践経験が少ないことが課題とされ、約6割が単語や文法の知識インプットを重視しているが、実際の対人コミュニケーションの実践は15ポイント低い結果となった。6割以上が「話す」練習をせず、8割以上が「会話に知識を活用できない」現状も明らかになった。 上智大学の藤田保教授は、「日本人が『使える英語』に強いコンプレックスを抱いている」と指摘し、英語学習が正解・不正解にこだわる完璧主義に支配されているため、話すこと自体をためらってしまう傾向があると述べている。