本作は、ガザに暮らす人々の声を緊急に伝える必要があると考えたイラン人監督がガザに暮らす24歳のフォトジャーナリストと約1年間交わしたビデオ通話を映画化した稀有な作品。
カンヌ映画祭への本作の出品の知らせ受けた主人公のフォトジャーナリスト、ファトマ・ハッスーナが、その翌日イスラエル軍の空爆を受け家族ととともに亡くなったことは、大きな話題となった。

また、カンヌ映画祭前夜、リチャード・ギア、マーク・ラファロ、ガイ・ピアース、レイフ・ファインズ、ペドロ・アルモドバル監督、ジョナサン・グレイザー監督など350人以上の業界関係者がファトマ殺害と業界の沈黙を非難し署名した手紙を公開した。


イスラエルによるガザ攻撃が続いていた2024年、イラン出身の映画監督セピデ・ファルシは、緊急に現地の人々の声を届ける必要性を感じていた。しかし、ガザは封鎖されており行くことはできない。そこで、知り合ったガザ北部に暮らす24歳のパレスチナ人フォトジャーナリスト、ファトマ・ハッスーナとのビデオ通話を中心とした映画の制作を決意する。

ないファトマとのビデオ通話が毎日のように続けられた。そして、ファトマは監督にとってガザを知る目となり、監督はファトマが外の世界とつながる架け橋となり、絆を築いていく。
ファトマは現地で空爆、饑餓や不安にさらされながらも力強く生きる市民の姿や、街の僅かな輝きを写真に収め、スマホ越しにガザの様子を伝え続けた。


25歳になったばかりのファトマの死は、本人が「もし死ぬのなら、響き渡る死を望む」と書いたように、世界中に波紋を広げることになる――。
