岡山大学は2025年5月22日、岡山大学病院小児科とベネッセコーポレーションによる「長期入院患者に対する教育支援の最適化」を目的とした共同研究契約を締結したことを公表した。「進研ゼミ」タブレット教材を活用し、長期入院する子供たちに教育機会を拡大する。 岡山大学病院小児科には、長期入院を要する難治の患者が多数入院している。同病院には院内学級が設置されており、長期入院を要する子供たちにとって、学習機会の保障は恵まれた環境にあるという。一方で、学年や学力、治療状況に応じた個別最適な学習支援、意欲の維持・向上を図る仕組みの構築など、さらなる充実が求められている。 今回、ベネッセコーポレーションと共同研究契約を締結したことで、長期入院を要する子供たちの教育的・社会的ニーズに応えるとしている。共同研究では、ベネッセが提供する「進研ゼミ」タブレット教材を用いて、個別に応じた学習支援を行う。今後は教育学部や情報科学分野と連携し、学習支援の中で得られた記録を用いて、学習中の子供たちの活気や意欲を分析する研究も計画している。 岡山大学病院小児血液・腫瘍科の石田悠志助教は「普段は小児がんの患者さんを診療しています。この共同研究は、医療と教育、そしてテクノロジーが連携し、長期入院を余儀なくされる子供たちの学びと成長を支える新たな仕組みを構築する重要な一歩です。長期入院中でも、学ぶ意欲を保ち、自分らしさを失わずにいられる環境づくりを目指しています」とコメントしている。 共同研究により、長期入院を余儀なくされる子供たちの「学ぶ権利」を守り、将来の社会復帰やQOL向上につながる支援体制の構築が期待される。