2010年にTBS入社以来、小林悠名義でアナウンサーとして活躍後、2016年に退社。昨年活動を再開したアンヌ遙香さんが、愛してやまない「映画」をフックに“今思うこと”をストレートに綴る連載です。
TBSアナウンサー時代から培われた、ほんのりマニアックな視点と語りをどうぞお楽しみに!
【アンヌ遙香、「映画と女」を語る #4】
ふと不朽の名作を観たくなり…
先日、Instagramのストーリーズを眺めていたところ、尊敬してやまないある女性が、移動中の飛行機で久しぶりに『風と共に去りぬ』を観たと呟いていました。レットバトラー、こんないい男いないよなあ、と記されており、久しぶりに私も観たい欲がむくむくと。
『風と共に去りぬ』とはマーガレット・ミッチェルの同名ベストセラーが映画化され、1940年・第12回アカデミー賞で作品賞・監督賞・主演女優賞など10部門に輝いた不朽の名作。
1940年と言えば、日本は国家総動員法のもと、国をあげて「贅沢は敵」なんて言われていた時代。アメリカではこんな豪華な大長編が作られていたんですよね。
『風と共に去りぬ』とは?
南北戦争前後のアメリカ南部が舞台。激しい気性を持ちながら多くの男性を惑わす美女、スカーレット・オハラ(ビビアンリー)の激動の半生を壮大なスケールで描いたメロドラマです。
大地主を父に持つ勝ち気な娘スカーレットは、思いを寄せる幼なじみアシュリーが彼のいとこメラニーと婚約したことにいら立ちを募らせていました。そんな彼女の前に、素行の悪さを噂される男レット・バトラー(クラークゲーブルズ)が現れます。スカーレットはレットの不遜な態度に反発しながらも彼に惹かれていきます。激動の時代の中でスカーレットの運命は大きく翻弄されていきます。
3時間以上の大作ですし、古い映画は眠くなってしまうかも……なんて思わず、ぜひ一度チャレンジしてほしい名作でしょう。
と言いながらも、幼い頃、我が家ではアメリカ人の父親が本作品を好んで観ていたのを眺めていたことはありましたが、しっかり腰を据えて鑑賞したのは久々でした。
幼いながらも「人の旦那さんを欲しがる我儘なスカーレットはとんでもないやつだな」「レットバトラーにも冷たすぎない?」なんて漠然と感じながら観ていましたが、大人になって拝見してみたら、また新たな学びや発見が。
作品を好きだった父にその理由をたずねてみると
まず「スカーレットオハラ」という名前、まるで日本人みたいだと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、スペルとしてはO‘hara .
実はこのO’は、アイルランド系名字の特徴。私の父親はアイルランド系アメリカ人なので、これはアメリカ南部アイルランド系アメリカ人の話だったのか!と、急に親近感が。父は自分のルーツを感じるから好きなんだろうか?なんて、子どもの頃には気づかなかった疑問点がふと湧いてきました。
そこで、改めて「『風と共に去りぬ』はどうして好きだったの?」とそれとなく父に聞いてみた私。父は米国史を教えていた元大学教授だということもあり、思わぬ方向へと話が進んでいったのでした。
▶【後編】では、作品について別の角度からさらに語ります。
「軽い気持ちで観た不朽の名作にも問題の描写の数々が!?「アメリカが再びトランプを選んだ」理由にも実はつながっていて」▶▶▶こちらから▶▶▶