ひろゆき氏が勧める「子供に授けたい最強のライフスキル」とは | NewsCafe

ひろゆき氏が勧める「子供に授けたい最強のライフスキル」とは

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  • 『僕が若い人たちに伝えたい 2035年最強の働き方』
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 「日本の10年後って大丈夫なの?」「子供の教育、これで良いのかしら…」将来に不安を抱える若者や子育て世代へ向けて、ひろゆき氏が提案するひとつの解決策。それは「海外」にも目を向けてみたら? という視点から始まる。“次世代の教育×仕事”をテーマに掲げる最新刊『僕が若い人たちに伝えたい 2035年最強の働き方』(Gakken)において、ひろゆき氏が語る未来の働き方、自分らしく生きていくための方法とは。

有名な大学に進学しないと大変? そんなことはありません
--なぜ、今から「10年後」について、「若い人」向けにこの本を書こうと思われたのでしょうか。

 昨今渦巻く「日本終わった」みたいな悲観論や「AIによって仕事が奪われる」といった過度に不安を煽る情報もありますけれど、人類社会は10万年以上続いているので。間違えたことをしないようにすれば、それなりにうまくやっていけると思いますよ、というのを若い人に伝えられたら良いなと思ったんです。

 ただ、こういう悲観論って、若い人というよりも子育て世代の熱心な親が助長しているような印象もあるんです。親のほうが将来への不安のあまり「有名な学校に進学しないと将来が大変」と思い込み、実はその影響で子供たちが失っているものについて見えなくなっているケースが多いのではないでしょうか。

 実際、社会に出ると勉強の出来不出来より、コミュニケーションが上手で多様な友人関係を築ける人のほうが仕事で成果を上げたり、幸福度が高かったりしますよね。もちろん、勉強ができて友人関係も築けるのが理想ですが、勉強だけに集中させるあまり、人間関係をおろそかにするような育て方をしていると後から後悔しますと警鐘を鳴らしたい気持ちはあります。

人生の選択肢を広げるための「大卒資格」と「英語力」
--ひろゆきさんはこの本の中で「大卒資格」と「英語」を最強の資格・スキルとして挙げています。今や日本は大学全入時代となり、「大卒に価値があるのか」「資格や技術を身に付けた方が良いのでは」といった考え方もありますが、ひろゆきさんが「Fラン大学でも出ていた方が良い」と主張されるのはなぜなのでしょうか。

 まず、海外で知的労働に従事し労働ビザを取得する場合、多くの国では大卒資格が必須条件とされています。大学に行っていない人は知的労働を任せるには不適格だとみなされることが多い。

 このとき、担当官がその大学のランクを気にすることはほとんどありません。たとえば、日本人がドイツの大学名を聞いてそのランクを判断できないのと同じで、海外に行けば日本のどの大学がAランクかFランクかはほぼ意識されないのです。

 料理人など一部の職種では比較的労働ビザが取りやすい場合がありますが、そうでない場合には、職業に必要なスキルや学歴を証明する手段が求められます。たとえばアメリカでエンジニア職に就きたいとき、コンピュータサイエンス学部の卒業資格がある人はその専門性が証明されます。一方で、文系卒の人が「プログラムを書けます」と主張しても、やはりそこは学歴がないとスキルの裏付けとして信頼を得るのが難しい。書類選考で落とされてしまうんです。

 そもそも大学での学びが必ずしも職業に直結しない日本が特殊なのであって、海外では大学を卒業しているかどうかがその人のスキルや能力を測る重要な指標となります。

「英語ができた方が得だ」と子供に気付かせる
--自分の子供は何が得意で、何を生業(なりわい)に生きていけるのかを見極めるのは簡単ではありません。そんな中で「英語をしっかり勉強しなさい」と説得するのは、なかなか難しいと感じます。どうすれば子供に英語の重要性を理解させられるのでしょうか。

 英語は世界中の情報を集められる共通言語です。特定の分野に限らず、情報や解説が豊富でわかりやすい。たとえばスポーツにしても、この試合経過がどうだった、この選手がどう活躍したといった詳細な情報は英語だと圧倒的に多く得られます。今の子供たちは、デジタル技術のおかげで海外のコンテンツに触れられる環境にあるので、実は親よりも子供の方が英語を使えるメリットをわかっているかもしれません。きっかけはスポーツでもゲームでもエンタメでも何でも良くて、「英語ができたほうが得だよね」って思ってくれれば、ちゃんと勉強した方が良いと納得できるでしょう。

 さらに言えば、ワーキングホリデーで人気のオーストラリアでは、カフェでアルバイトをするだけでも時給が2千円を超えていて、1日働けば2万円以上を稼げる計算になります。一方、日本では賃金の上昇は厳しく、ここ30か月ほど*(*2024年12月取材実施)実質賃金はほぼずっと下がり続けています。「じゃあどっちで働く?」ということを考えたら、英語を身に付けて海外で働けたほうが良いよねとなるのではないでしょうか。

--ひろゆきさんの考えとしては、これから大人になっていく子供たちには、日本国内だけでなく、海外で働くという選択肢ももっていたほうが良いということですか。

 今、日本にいて、今の仕事が好きで幸せであれば全然問題ないと思います。ただ、もしその仕事が好きでない場合、たとえばブラック企業で働き続けるとか、パワハラやセクハラを受けてもその場から逃げられないといった状況だと、他に選択肢がないと行き詰まるかもしれない。そういった意味でも、選択肢をもち続ける方が人生として楽だと思うんですよ。僕はアメリカに留学しましたし、現在はパリに住んでいますが、国によって人種や文化も違えば最低賃金も違います。自分には合わないなと思ったら、働く場所や環境を変えられると思いながら生きていくのってすごく気持ちが楽です。だからこそ、若い人には自分の選択肢を広げるためのカードとして「大卒資格」「英語力」をもっていてほしいのです。

子供に英語を身に付けてほしいなら親は何をやるべき?
--現在、教育熱心な親たちの間では、インターナショナルスクールや英語教育への注目が高まっています。子供が英語力を身に付けるには、どのような育て方が理想だと思いますか。

 子供をインターナショナルスクールに入れる覚悟があるなら、家庭でも英語でコミュニケーションをとるくらい徹底したほうが伸びるでしょう。言語は使うことで身に付きますから、教室の中で教わるだけでなく、友達とケンカをしたり、家でも親に対して自分の主張を通したりといった、自分の意見を英語で話す経験をいかに積み重ねられるかが重要です。そのような環境をつくるには、親自身の日常生活でも、スマホや動画を見る際の言語をすべて英語に設定するとか、音声メディアも英語のものを積極的に聞くようにするといった努力をすることが不可欠だと思います。

 なぜなら、子供は親の行動をよく見て学ぶからです。親が日常的に本を読むことが習慣になっていれば、子供もそれを真似て読書をするようになる。同じように、国際的に活躍できる子供に育てたいのであれば、親も進んで英語を学び、英語を使ったコミュニケーションを自ら行う姿を見せることが大切なんじゃないでしょうか。

--一方で、母語である日本語をどうバランス良く身に付けるかは悩ましいところです。

 そうですね。やはり、日本人としてのアイデンティティがしっかりしていない人は、後々苦労することが多いように感じます。日本語をほとんど話せないまま海外に移住した場合でも、その国では「アジア人」あるいは「日本人」と見なされ続けますからね。もし私が日本語を話せないままフランスに行ったとしたら、「ただフランス語の下手な外国人」にしか見られず、雇用面でも「採用する理由がない」と判断される可能性が高いでしょう。しかし、日本語ができて、日本の文化や慣習に精通していれば、「日本のお客様を担当できる」とか「日本市場向けの商品の調整や取引が可能」といった価値を見いだされることがあります。「日本人としてのアイデンティティをもったフランス語スピーカー」という明確なスキルセットがあれば、海外でも一目置かれる存在になれるわけです。ですから、日本で暮らしながら、お正月に親戚の集まりに行くなど、季節の行事とか食事とか、日々の暮らしの中で言葉や文化に触れることで、日本人としてのアイデンティティを確立していけば良いのではないでしょうか。

--大事なのは「日本語」「日本人としてのアイデンティティ」をもったうえで海外に目を向けること、それに掛け合わせて英語を話せるようになることですね。普段はフランスで生活されているひろゆきさんから見て、日本のどういったところが強みだと感じますか。

 人の見ていないところでも真面目で努力をするところや、清潔な環境と食事にこだわる国民性ですね。でも、そういうのって日本の外に出て、外国や異文化の中で暮らしてみてはじめて、自分の中で感じ取るものなんだと思うんです。

 たとえば、日本で暮らす多くの人は、国際的な学力調査の結果が出たりすると「日本人は頭が良い」と考えがちです。たしかにテストの成績は良いかもしれないけれど、突然予期せぬトラブルや課題が発生したとき、それを柔軟に解決する力となると、日本人が優れているとは限りません。リソースが限られた国々の人のほうがスマートに対処できたりするんですよね。あるいは、アメリカとかヨーロッパの大学生ってめちゃくちゃ勉強するんですけど、その中には勉強ができるだけじゃなくてスポーツ万能でイケメンで友達も多いみたいなとんでもない奴が結構いるんです。つまり、世界と戦うってこういう人たちを相手にしていかなきゃいけないってことが、日本の外に出ると肌感覚としてわかってくる。思い込みと現実とのギャップに気付くためにも、短期間でも良いので海外に出て、自分の目で「外から日本を見てみる」経験が大事だと思います。

ひろゆき氏が勧める「大卒資格」「英語力」と並ぶ大事なスキルとは
--「大卒資格」と「英語力」の他に、これだけは若いうちに育んでおくと良いというおすすめのスキルがあれば教えてください。

 「友達を作る力」です。サッカーが好きならサッカーチームに入るとか、ゲームが好きならそのコミュニティに参加するとか、自分の趣味や興味を通じて仲間を作れるかというのはけっこう大事なライフスキルだと思いますね。

 たとえばヨーロッパのサッカーに詳しければ、世界中のファンと同じ話題で盛り上がることができますよね。あるいは今って世界中の人が同じゲームをプレイしている時代なので、オンラインゲームをしていると、気づけば相手がチェコスロバキアの人だったり、アルゼンチンの人だったりすることだって珍しくありません。あっという間に世界に100人くらいの仲間ができる。そのあたりの感覚は、もしかしたら親よりも子供のほうがすでにつかんでいるかもしれませんね。

 海外でも日本のアニメや漫画に対する関心が高い人はとても多いので、それをきっかけに会話が広がることはよくあります。自分が好きなことについて語れると、たとえ英語が流暢でなくても自然と会話が弾みますし、コミュニケーションは取れるんですよね。

教育で大切なのは「学び方」を身に付けること
--情報過多社会の中で、子育て世代にはわが子の教育をどうすれば良いのかと悩んでいる方も少なくありません。今、ひろゆきさんがいちばん伝えたいことは。

 教育で大切なのは、学ぶ内容そのものよりも「学び方」を身に付けることだと僕は思っています。サッカーがうまくなりたいと思っても、ただボールを持っているだけでは上達しません。練習方法を調べて試し、何度も繰り返すことで少しずつ上達していくわけです。大人だって、資格取得を目指すなら、参考書を買って読んだり解説動画を見たり、問題を解いて間違えた箇所を振り返ったりしますよね。要するに、自分に合った「学び方」を知って、それを実践できるかどうかが重要だと思うんです。若いうちにこの「学び方」を身に付けさえすれば、将来どんな状況でも柔軟に対応できる、人生に役立つスキルになると思います。

--子供が「学び方」を身に付ける上で親はどんなことに気を付ければ良いですか。

 将来役立つかどうかという観点よりも、今この瞬間に「自分の好きなことにどっぷりハマって学んでいる」プロセスこそ、学び方を自然に学んでいるんだと捉えることが大切です。

 ポケモンが好きな子供って、ポケモンの攻略サイトを自分から調べてどんどん覚えていきますよね。「この技はどう使うか」「どのポケモンが強いか」と考えながら子供が目の前の好きなことに没頭している、そのこと自体が学ぶ力を育てているんです。ポケモンだろうがゲームだろうが何でも良いんですよ。

 親が過度に心配して決まったレールに乗せようとすると、子供は親の期待に応えることに意識が向いてしまい、興味をもって自分で調べようとする意欲を失うことがあります。子供の将来に対してあれもこれもとやってしまいがちな親御さんほど、少し意識して距離を置いて、好きなことを自由にやらせてみるくらいが良いのではないでしょうか。

 今の日本は、選ばなければ大学には全員入れる時代です。自分の好きなことに没頭して、友達を作って、大学を卒業して、そこに英語力を掛け合わせる。そうやって「海外」という選択肢を増やすことで、生きづらさから抜け出しやすくなったら良いんじゃないかな。そんなことを子育て世代の親御さんや若い世代のみなさんにお伝えできれば嬉しいですね。

--ありがとうございました。


 「学歴や受験の結果ばかりにフォーカスするのではなく、もっと肩の力を抜いて、子供が自分の好きなことに没頭する姿を見守ることが大切」とひろゆき氏は言う。勉強しないでゲームばかり、タブレットを覗いてばかり…そんな子供を否定的に捉えるのではなく、親は少し見方を変えて、そこから得られる人とのつながりや新しい学び方に目を向けていくことが必要なのかもしれない。昭和から引き継いだ仕事観をアップデートしきれない親世代と、新しい価値観でこれからの未来を生きていく若者や子供たち。『僕が若い人たちに伝えたい 2035年最強の働き方』は、そんな親と子供、どちらにも読んでほしい1冊だ。
《吉野清美》

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