博報堂のシンクタンク「100年生活者研究所」は、18歳から80代の男女800名を対象に、新成人にとっての人生100年時代の幸せをテーマにした意識調査を実施した。この調査では、成人年齢が18歳に引き下げられたことを受けて、新成人層の意識や人生100年時代における大人像についての考え方が明らかになった。 成人の日は1月の第2月曜日に定められているが、2022年4月の民法改正により成人年齢が20歳から18歳に引き下げられた。この改正を受けて、18歳が大人かどうかについてはさまざまな意見がある。100年生活者研究所は、生活者が「大人」をどのように捉えているのかを調べたところ、回答者の約8割が「20代以降に大人になったと自覚した」と答えた。一方で、「18歳は大人だ」と感じているのは全体の半数以上であり、18歳から20歳の「新成人層」では7割を超えた。この結果から、法改正によって成人年齢の意識も引き下がっていることがうかがえる。 また、2024年3月に行われた同研究所の調査では、100歳まで生きたいと考えている人が3割程度だった。この結果を踏まえ、「100歳まで生きたい気持ち」を調べたところ、全体は大きく変化せず3割にとどまったが、新成人層は半数を超えることが判明した。人生100年時代の大人像について全15項目から当てはまるものを選択してもらうと、20代以上と比べて「100歳まで生きたい人」と新成人層の割合は近い数字で推移した。新成人層に特徴的なものとして、「いろいろなことに挑戦し続ける」「長い人生で楽しみを見つける」など、探求心を持ち続ける意識が高いことがわかった。 調査結果の詳細では、大人になったと自覚した年齢について、回答者の8割以上が「20代以降に自覚した」と回答した。具体的には、「20代」が72.1%で最多となり、続いて10代(18.1%)、30代(7.6%)、40代(1.4%)、50代(0.6%)と続いた。これは、2022年の改正民法施行前は成人年齢が20歳だったことから、多くの人が自身の体験として20代以降で大人と実感したことを示している。 さらに、18歳を大人だと思うかどうかを尋ねたところ、全体では「大人だと思う(そう思う、ややそう思うの合計)」が56%となり、18歳から20歳の新成人層では72.9%にまで上昇した。法的な定義が変化したことを受け、成人年齢に対する意識も変化していることがうかがえる。 「100歳まで生きたい」意向については、全体で31.4%が「とてもそう思う」「そう思う」と回答したのに対し、新成人層は51%と、全体比で19.6ポイント高かった。新成人層は人生100年時代を好意的に受け止めていることが示唆された。 人生100年時代における大人像については、15の回答項目から当てはまると思うものを選んでもらい、「100歳まで生きたい人」「新成人層」「調査対象者全体」のそれぞれを比較した。その結果、「100歳まで生きたい人」と「新成人層」はすべての回答項目で全体の割合を上回り、人生100年時代の大人像についてのイメージ量が多く、より明確にイメージできることがわかった。 全体と比べ、新成人層で高かったのは「いろんなことに挑戦し続ける」「長い人生で楽しみを見つけ続ける」であり、これらは探求心を持ち続けることが共通している。これが新成人層の特徴であることがうかがえた。 100年生活者研究所は、「長くなる人生を、前向きに生きていく人を増やす」ことを目指して活動している。これまでの研究結果は、同研究所のWebサイトで公開されている。