本作は、ジェイソン・ステイサム演じる国家の“抹殺リスト”に載った元特殊部隊員マイケル・メイソンが、英国情報機関MI6を相手に壮絶な戦いを繰り広げるリベンジ・スパイ・アクション。コミカルさを排し、リアルな銃撃戦や近接格闘、ブービートラップを駆使したサバイバル描写を通して、ステイサムが“孤高のアウトロー”へと原点回帰を果たす。
ステイサム映画と聞けば、誰もが期待するのは豪快な肉弾戦や痛快なアクション。しかし、監督が本作で最も大切にしたのは、意外にも“ドラマ”だった。「本作には"強烈で痛快な瞬間"も数多くあります。しかし、私が最も重視したのはドラマの部分でした」そう語る監督が描きたかったのは、1人の男が少女との出会いによって少しずつ変わっていく姿だ。
主人公マイケル・メイソンは、元英国特殊部隊員。過去の因縁から国家の"抹殺リスト"に登録され、自ら社会との関わりを絶ち、スコットランド沖の孤島でひっそりと暮らしている。そんな彼の前に現れるのが、嵐で唯一の肉親を失い、天涯孤独となった少女ジェシー(ボディ・レイ・ブレスナック)。
監督は2人の関係についてこう語る。「一人は自らの選択による孤立、もう一人は望まぬかたちでの喪失という"見捨てられた感覚"を抱えた二人が出会い、家族のような単位を築いていく。彼女は再び誰かに大切にされ、前に進む道を見つける。一方で彼は、この子を守ることに生きる目的を見出し、自分よりも彼女の安全を優先するようになるのです」。つまり本作は、国家との壮絶な戦いを描くアクション映画であり、その本質は"孤独だった二人が家族のような存在になっていく物語"なのだ。
監督が本作で描きたかったのは、アクションヒーローではなく“1人の人間”としてのステイサムだった。「『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』を初めて観た時、彼(ステイサム)の圧倒的なカリスマ性は一目瞭然でした。しかし本作で彼がもたらすのは“本物らしさ”です。私がマイケル・メイソンというキャラクターで引き出したかったのはそこでした。観客は単なるアクションヒーローではなく、欠点や弱さ、そして重荷を背負った一人の人間を見ることになる。それをジェイソンが演じる姿を見るのが本当に楽しみでした」と明かす。"無敵の男"ではなく、傷つき、迷い、それでも少女を守ろうとする男。言葉数は少ない。それでもジェシーへ向ける視線や、さりげなく寄り添うしぐさ、危険な状況でも少女を優先する選択。その1つひとつが、これまでのステイサム作品ではあまり見ることのできなかった感情の機微を映し出していく。
だからこそ『シェルター』は、これまでのステイサム映画とは少し違う。敵を倒す爽快感だけでは終わらない。孤独な男が守るべき存在を見つけ、生きる意味を取り戻していく姿が、静かに胸を打つ。“泣けるステイサム”、そんな言葉さえ決して大げさではない1本になっている。もちろん、ステイサム作品の醍醐味であるリアル志向の肉弾戦や迫力満点のアクションも健在。CGや過剰な演出に頼らない生々しい格闘、抜群の身体能力を生かしたダイナミックなアクション、そして国家を相手に繰り広げる緊迫のサバイバル。
圧倒的なアクションの先に、これまで以上に深い人間ドラマが待っている。本作はジェイソン・ステイサムという俳優の新たな代表作になるかもしれない。
『シェルター』は8月28日(金)より全国にて公開。












