
*TOP画像/市(宮崎あおい) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』30話(8月9日放送)より(C)NHK
戦国時代のど真ん中を舞台にした『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の主人公は仲野太賀が演じる豊臣秀長。兄弟の絆で“天下統一”という偉業を成し遂げた豊臣兄弟の奇跡を描いた大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の第30話が8月9日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。
秀吉の巧みな企てにまんまと鼻を明かされた織田家の重臣
本放送回では、織田信長(小栗旬)の亡き後、織田家のトップの座に信雄(山脇辰哉)、信孝(結木滉星)、三法師(清水伊織)のうち誰が就くかが大きな問題となりました。秀吉(池松壮亮)、柴田勝家(山口馬木也)、丹羽長秀(池田鉄洋)、池田恒興(堀井新太)は、それぞれ支持者が異なります。ちなみに、秀吉は信忠(小関裕太)の嫡男である三法師がもっとも適任だと考えています。
秀吉は勝家、長秀、恒興と“真の清須の評定”を清須会議前に開き、家臣で方針を固めておくよう提案しました。4人の間でも信長の後継について意見が分かれる中、秀吉は「柴田殿がいいと思う。池田殿でもいい。丹羽殿もうってつけじゃ。柴田殿の力強さ 池田殿の虚を捨て実を取る性分 丹羽殿の慎重に見極める目利き そして わしの調子よさ。これらが合わされば 何者にも勝る後見役として 三法師様をお支えすることが できましょう」と提案しました。
つまり、秀吉は3歳の三法師を信長の跡継ぎにすることで、信雄や信孝ではなく、家臣が後継人として力や決断権を得ようと目論んでいたのです。

秀吉(池松壮亮) 勝家(山口馬木也) 長秀(池田鉄洋) 恒興(堀井新太) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』30話(8月9日放送)より(C)NHK
この話し合いの最中、事件が起きました。なんと、三法師が信雄の命令で侍女(森寧々)に連れ去られたのです。小一郎(仲野太賀)、秀吉、勝家、長秀、恒興は城中を探しまわり、三法師を見つけた部屋で刀を持つ侍女に襲われます。侍女はただの侍女なのか、特殊な訓練を受けた女なのか……男5人でも手ごわい……。とはいえ、さすがに、5人の男を一人で倒せないと察すると、自ら首を切って自害しました。三法師連れ去り事件は『豊臣兄弟!』オリジナルですが、本作らしい土壇場劇にハラハラ。また、侍女を演じた森寧々の俊敏な動きは凄まじく、圧倒されました。

秀吉(池松壮亮) 勝家(山口馬木也) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』30話(8月9日放送)より(C)NHK

秀吉(池松壮亮) 三法師(清水伊織) 小一郎(仲野太賀) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』30話(8月9日放送)より(C)NHK
四人が三法師救出をきっかけに一致団結し、織田家を支えようとした矢先、秀吉は彼らを出し抜きました。三法師お披露目の席に腹痛で欠席するはずの秀吉が、三法師を抱いて堂々と現れ、「これからは 織田家筆頭家老となった この羽柴秀吉が ここにいる者たちと共に 力を合わせ 三法師様をお支えいたしまする」と挨拶。

秀吉(池松壮亮) 三法師(清水伊織) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』30話(8月9日放送)より(C)NHK

秀吉(池松壮亮) 三法師(清水伊織)ほか 大河ドラマ『豊臣兄弟!』30話(8月9日放送)より(C)NHK
三法師は「うむ。頼りにしておるぞ 秀吉」と秀吉の指示通り応じ、三法師の懐に入り込んだ秀吉に異を唱えられる者はいない状況に……。
勝家、長秀、恒興は悔しい気持ちを抑えて、秀吉の前に跪くしかありませんでした。秀吉が卑怯な術で筆頭家老となった背景には、与一郎(大西利空)の死、小一郎の“わしらは成り上がったが、世は変わっていない”という嘆きがありました。秀吉は晴れやかな笑顔で、三法師を抱いていましたが、密かに苦しい思いも抱えているのです。
織田家を守るため……市が勝家に求婚
本放送回には、信長を失った市(宮崎あおい)の姿も描かれていました。顔色が悪く、黒い着物をまとい、信長からの文をひたすら読み返す日々を送っていました。
市を演じる宮崎あおいは信長を失った憔悴感や悲しみを全身で体現しており、観る者を切ない気持ちにしました。特に、生きる希望を失った市の瞳は印象的でした。

市(宮崎あおい) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』30話(8月9日放送)より(C)NHK
秀吉に「はあ…ずっと兄上からの文を読み返しておった。あのころに戻りたい」「先のことなど どうでもよい」と胸の内を吐露します。
しかし、秀吉が織田家の筆頭家老となると、市の心にも変化が生じます。市は「勝家。私をめとれ」と勝家にきっぱり命じ、勝家の妻となる意思を示しました。

市(宮崎あおい) 勝家(山口馬木也) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』30話(8月9日放送)より(C)NHK
市にとって勝家は織田家を長く守り続けてくれている大切な存在。それでも、自分をめとるよう命じた背景には、恋愛感情以外にも、家を守る使命感もありました。賢くて要領のいい秀吉の好きにさせておけば、織田家は秀吉のものになってしまう未来が想像できたため、勝家と組んで織田家を守ることを決めたのです。
【史実解説】市と勝家の結婚生活は半年程度……茶々は母と同じく時代に翻弄
市は織田信雄と織田信孝の勢力争いに巻き込まれ、清須会議で柴田勝家のもとに嫁ぐことが決まりました。ちなみに史実では、市と勝家の結婚は信孝の仲介で成立した説、勝家と秀吉の申し合わせで決まった説があります。そのほかにも、秀吉は市を側室にしたかったが、市に断られたという説も……。
勝家と市の結婚生活はわずか半年で幕を閉じました。『豊臣兄弟!』の30話のラストでは、勝家が秀吉に不満を募らせている様子がうかがえましたが、史実では秀吉と勝家は争い(賤ヶ岳の戦い)を繰り広げることになります。この戦いの最中、市は勝家とともに秀吉軍に勝算がないと判断し、北ノ庄城で自害を選びました。
市の死後、3人の娘は秀吉に引き取られました。また、長女・茶々は秀吉との間に子を授かりました。親を間接的に殺した男(秀吉)に育てられ、さらにその男との子を成すという状況は、現代人には想像できないかもしれません。しかし、茶々はたくましく生きました。
井上和扮する茶々は本放送回で初登場でしたが、母に対するあたたかな想いとともに、気の強さや意思の強さがさっそく感じられました。

茶々(井上和) 秀吉(池松壮亮) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』30話(8月9日放送)より(C)NHK
史実では、秀吉との間に子を授かったことで豊臣家で高い地位を獲得し、秀吉の正妻であるおねに気負うこともありませんでした。茶々は気高く、傲慢な女性として大河ドラマでも描かれることが多いですが、本作では茶々がどう描かれるのでしょうか。
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