
自分の体の仕組みを自分で知り、自分で管理できるよう子どもを教育することはとても重要ですが、いっぽうでどうしても恥ずかしさがつきまといます。正直言って誰しも戸惑うのではないでしょうか。
中でも説明する機会の少ない「おりもの」について、おりものシートのパイオニアである「サラサーティ」が出張して行う「おりもの講習会」が開かれました。東京・足立区立千寿双葉小学校では同校PTAが主催して講習会を実施しました。児童数は約430人、祖父母の代から3代通うご家庭も珍しくないという下町らしい地域です。
同校25年度PTA会長の川井千宏さん、PTA役員の皆さんに「なぜおりものの講習会を開いたのか」「開いてみてどうだったか」経緯を伺いました。
『お煮物』かと思ったくらいに知識がなかったが…男性役員からの賛同も大きく、開催意義は高かった
「正直なところ、最初にこういう講習会があるのだと話を伺ったときは、料理の『お煮物』のことかな?と思いました。それほど自分には馴染みのない言葉でした」。
講習会終了後、開口一番にこう語り始めたのは同校25年度PTA会長の川井千宏さん。
「ですが、内容を知ると『これは大切な話だな』と分かり、非常に面白い取り組みだと感じました。私たちが子どもの頃は、性教育といえば男女別々で受けるのが当たり前で、男子は女子の体の変化について知る機会が全くありませんでした。ましてや『おりもの』なんて。自分自身にも児童たちにも必要な知識ですよね」
川井さんは中学2年生と小学2年生の息子さんのパパ。家の中で生理やおりものの話題が出ることは一切ないそうです。家族の中で女性は奥様だけですので、「今日は妻の体調が辛そうだな、生理なのかな」と察する程度で、おりものがいつ、どのように起こるのか、具体的なことは全く知らなかったそう。
「今日は30分ほどのぎゅっと詰まった講習会で、生まれてはじめておりものの色、質感についての具体的な表現を聞きました。『そういうものだったのか』と初めて理解できました」
知っているつもりになっていたことも多く、知識のアップデートは必須だと感じたそうです。たとえば女性の身体にとって第二次性徴が大事とは分かっていたつもりでしたが、講習会で具体的にどのような変化があるのか知り、知識の曖昧さを痛感したそう。
「おりものシートをどう付けるのか、座って付けるのか立って付けるのか? なんて考えたこともありませんでした。そのほかサニタリーボックスの中身、シートやナプキンの捨て方など、初めて知ることばかりで、この機会がなければ知ることもないままだったと思います。今後は調子の悪そうな女性にどのように声をかけるかという点まで踏み込んで考えられるようになったと感じます」
千寿双葉小学校は「地域密着」がモットー。エリアには3世代で住んでいる家庭も多く、非常に温かい校風だと言います。
「だからこそ、父親もこうした教育の場に積極的に参加してほしいという思いがありました。企画を本部の役員会にかけた際、最初はどんな反応をされるか、少し身構えた部分もあったのですが、実際には『ぜひやりましょう!』と好意的な反応ばかり。特に男性役員の皆さんが『今の時代、こういう教育は必要だ。やろうよ』と強く背押ししてくれたのが、大きな力になりました」
11月に最初の打診後、すぐに校内行事で保護者が来校するタイミングや3〜6年生の下校時間が揃う曜日を考慮して、12月に実施するというクイックな判断をしたそう。
「年間行事がガチガチに決まっていてこうしたイベントを挟みにくい学校も多いかもしれませんが、本校は学校の対応も柔軟で、かつ副会長や本部役員のメンバーのフットワークが非常に軽く、主体的に動いてくれました。お父さんたちのコミットも深い学校ですので、みんなの協力があったからこそ実現できたのだと感謝しています」
女性役員からも「自分自身が参考になった」「男児にこそ聞かせたい」と好評の声が
では、PTA役員のうち女性の皆さんは、男性から「おりもの講習会」が提案されたことについてどうお感じになったのでしょうか。抵抗感は……?
「ないどころか、正直『絶好のチャンス!』と思いました。おりもののことは私もよくわかりませんから、いざ子どもに説明しようとしても正しく教える自信がなく、ぜひ参加したいし、運営のお手伝いもしたいとすぐに感じました」(Aさん)
「うちの4年生の娘はちょうど生理の勉強が始まっていましたが、その前段階としておりものがあるのはわかるけれど、私から詳しく説明するのはハードルが高いなと思っていました。こうした機会は本当にありがたかったです」(Bさん)
「私は3年生の娘の母ですが、体が大きめなので『そろそろかな』という予感がありました。生理については話せても、おりものについては自分のものを見せるわけにもいかないし、説明が難しくて。親以外の専門家から話をしてもらう方が、子どもも素直に受け入れられるだろうなと感じました。ですので、今回は学年が対象外でしたが『ぜひ入れてほしい』とお願いして参加させてもらいました」(Cさん)
会場は男女・異学年・子どもと保護者が一緒に受講するスタイルでした。この点はどうでしたか?
「うちは男女の双子なので、息子にも女性の体の変化を知ってほしくて一緒に参加させました。お互いの体の違いを段階的に理解して生活してほしいという思いがあって。男子がいると『冷やかしたりしないかな?』という不安が少しだけありましたが、実際にお友達と一緒に真剣に聞いている姿を見て、杞憂だったなと感じました。むしろ自分たちが子どもの頃に比べると、すごく教育が進んでいるなと感動しました」(Dさん)
「私には高校生の息子もいますが、母親から男子に性の話を伝えるのはすごく難しいんです。学校という場で男女が一緒に話を聞けるのは、親がどこかへ連れて行くよりずっと自然でありがたいこと。抵抗感は全くありません」(Bさん)
今日の講習会を受けて、どのような部分が印象に残りましたか?
「今の性教育はこんなに具体的で分かりやすいんだ!と驚きました。単に『生理が来ます』だけでなく、色や状態の変化、不調の時に保健室の先生を頼っていいことなど、子どもの心に寄り添った内容だったのが印象的です」(Aさん)
「『おりもの』そのものに焦点を当てて、3年生から6年生までに分かりやすく説明してくれたこと自体が画期的でした。親が言葉に詰まるような部分を、具体的な例を挙げて代弁してくれたので、今後の家庭での話し方の参考にもなりました」(Cさん)
ご自身の「知識のアップデート」になった部分もあったのでしょうか。また、どのような部分が参考になったのでしょう。
「 シートを替えるタイミングですね。『トイレに行くたびに替えるのか?』と曖昧でしたが、菌の繁殖や衛生面での理由を理論的に説明してもらえて、私自身も納得しました」(Bさん)
「私はシートをたまにしか使わない派なのですが、改めて『衛生的に保つこと』の大切さを聞き、使い方を再考するきっかけになりました」(Cさん)
「 結局、おりもののことって『人それぞれだから』で済まされがちで、大人になっても正解を習う機会がないんですよね。今回、親子で一緒に学べたことで、家庭でも恥ずかしがらずに話題にできるきっかけをもらえたことが、一番の収穫だったと感じています」(Aさん)
おりものは「初経がくる前」にスタートする。知っておくことが子どもの身体を守ってくれる
今回の講習会で講師役を務めたのは、サラサーティ・ブランドマネージャーの小林製薬 山下直子さん。なぜこのプロジェクトをスタートしたのでしょうか?
「大きな理由は、おりものが親子でも話されず、学校でも教わらないという現状があるからです。生理については、林間学校などの行事を前に学校で教わる機会が増え、社会全体でもフェムケアという言葉と共に語りやすくなってきました。しかし、おりものは依然として『秘め事』であり、恥ずかしくて話しにくい話題のままです」
これはおっしゃる通りで、オトナサローネも長く更年期障害にまつわる啓発を続けてきましたが、更年期という言葉そのものはだいぶオープンになったものの、たとえば「尿漏れ」「経血」「性交痛」など具体的な言葉はまだまだ「秘め事」だなと感じます。
「実は私自身、小林製薬に入社して担当になるまで、おりものシートとナプキンの違いもよく分かっていませんでした。1988年に日本で初めておりものシート『サラサーティ』を発売したメーカーとして、おりものの専門家の視点から、この空白となっている教育を埋めていきたいと考えたのが始まりです」
「おりものについて知ること」にはメリットがある、と続けます。理由は極めてシンプル。
「 実は、おりものは『生理よりも前にくる』ものであり、体が大人に近づいている大切なサインなんです」
言われてみれば、確かに!ですよね。気づいていませんでした。
「でしょう? 小学生にとって、生理が始まる時期は不安定で、いつ来るか分かりません。おりものシートを日常的に使うことは、ナプキンを使う前の練習になりますし、急に生理が始まった時の安心にも繋がります。また、下着を清潔に保つだけでなく、シートが汗や水分を逃がしてくれるため、肌かぶれを防ぐ役割もあります。こうした保健体育では伝わりにくいけれど、生活に密着した知恵を、企業として補完していきたいと思っています」
講習会には敢えて男児も参加を呼びかけたいと考えているそうですが、どういう思いがあるのでしょうか?
「実は過去のイベントでも男の子の参加意欲は意外と高いんです。 将来、パートナーや家族ができた時に、女性の体の仕組みを正しく知っていれば、力になれる場面が必ずあります。性教育を『女の子だけのもの』として遠ざけるのではなく、男女が一緒に『体にとって大事なこと』として学ぶ環境を作ることが理想です。まだ多くの学校では男女別々の指導が主流ですが、私たちはそこを変えていきたいと考えています」
なるほど、分けないというのは確かに、「これは秘め事ではなく、一緒に語るのが当たり前のことなのだ」という姿勢を示す重要な分岐点ですね。この講習会を通じて目指しているものは?
「病院に行くほどではないけれど、これって普通なのかな?と一人で悩んでいる方は非常に多いです。実際に、弊社のサイトでもおりものの悩みに関するページは、あの『命の母』に次いでアクセス数が多い状況です。悩んだ時に調べれば正しい情報があり、自分に合った製品を選べる。そして、学校でも当たり前に教育が行われる。そんな「おりものについて当たり前に話せる社会」を目指しています」
ありがとうございます。この「おりもの講習会」は小林製薬が性教育メディア「命育」とのコラボレーションで行った「はじめてのおりものプロジェクト」第二弾の一環です。第三弾も予定されているそうですので、興味を持ったPTAやNPOなど教育に関わる団体の皆様は情報をお待ちください!




