「認知症の親が別人のようで辛い」。まず最初に知っておけば介護する側もラクになる。「同じことを何度も聞く」など困った症状が出る原因とは【医師に聞く】 | NewsCafe

「認知症の親が別人のようで辛い」。まず最初に知っておけば介護する側もラクになる。「同じことを何度も聞く」など困った症状が出る原因とは【医師に聞く】

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「認知症の親が別人のようで辛い」。まず最初に知っておけば介護する側もラクになる。「同じことを何度も聞く」など困った症状が出る原因とは【医師に聞く】

「介護はゴールが見えないマラソンのよう」

これは、私が介護を始めたばかりの頃、ご両親のW介護に奮闘していた先輩の言葉。当時はあまりピンと来ていなかったのですが、少しずつ言葉の重みを感じるようになり、いつしか介護が続く日常に絶望的な気持ちになることも……。

でも最近、少し気持ちに変化が出てきました。「目の前にゴールがなくても大丈夫! むしろ介護を楽しんでみよう」と、初めて前向きになれたのです。きっかけは、書店でたまたま見つけた、ある本との出会い。「介護の時間って、こんなふうに“良いもの”になるの⁉」にわかに信じがたいほど、驚きが詰まった、そして希望が湧いてくる内容でした。

その一冊とは、『認知症の方と意思疎通が取れる 介護シーン別 ユマニチュード式「話し方・行動」実践編』(本田 美和子・著/講談社)。タイトルを目にした瞬間は「ちょっと難しいのかな?」と思ったものの、スラスラ読める内容で、あっと言う間に読了! 知っておきたい「認知症の基礎知識」や「日常の困ったこと・その解決策」などが、分かりやすく書かれています。

感銘を受けた私は、さっそく連載の編集担当であるTさんに連絡。一通り熱い想いを聞いてもらったところで、「ぜひ取材をしたいのですが~」と相談し、このたび著者である本田 美和子先生(国立病院機構東京医療センター 総合内科医長)と、監修のイヴ・ジネスト先生(ジネスト‐マレスコッティ研究所長)へのインタビューが実現しました。

▶「昔の親はもう戻ってこない」それが事実

認知症介護のファーストステップは、「昔のお父さん、お母さんは戻ってこない」ということを受け入れること

―――認知症(中等度)である義母の介護を始めて4年になりますが、本書を読み終えたあと、「介護の時間が“良いもの”に変わるかもしれない」と希望が持てました。書かれていたケアも具体的で分かりやすいうえ、「見る」「話す」「触れる」などシンプルだったので、さっそく実践しています。

本田 美和子先生(以下、本田):そう言っていただき、うれしいです! この本をつくったのも、「(介護を受ける側とする側が)お互いに良い時間を過ごしてほしい。その手段として活用してもらいたい」という想いからなので。

―――介護はある日突然やってきますが、特に認知症の場合は家族がショックを受け、前に進めないこともありそうです。何から始めたらよいのでしょうか?

本田:まずは、「認知症はどういう病気か」を知ることですね。認知症の症状は、記憶障害などが主となる【中核症状】と、介護拒否や物盗られ妄想などが起こる【周辺症状】の大きく2つに分類されます。介護をしている方は、この【周辺症状】でお困りになっていることが多いでしょう。

急に怒り出したり、突然どこかに出かけてしまったり、こういった状況は「脳の機能の変化」によって生じているもので、本人にはどうしようもできないことなんです。寂しいことかもしれませんが、「昔のお父さん、お母さんは戻ってこない」ということを受け入れる。これが、認知症の方の介護をするうえで大事なファーストステップですね。

―――私は、すぐに受け入れることができなくて。幻覚や暴言などの症状があったとき、「お義母さん、どうしちゃったの?」とモヤモヤしたり焦ったり、複雑な心境でした。

イヴ・ジネスト先生(以下、ジネスト):あなたにとって大切な存在と、意思疎通が図りづらくなる……。「違う人になってしまった」と思い、悲しみや戸惑いがあるでしょう。でも、認知症は徐々に進行していくものなので、今まで通りにコミュニケーションを取っていると、それは本人にとって「不安が募るやりとり」になってしまいます。そんな不安な気持ちから、あらゆる周辺症状が起こる。これが認知症の特徴です。

▶「同じことを何度も聞く」、その理由は

認知症の人は「嘘をつかない」。同じことを何度聞いても「初めて質問した」が真実

ジネスト:では「不安が募るやりとり」の分かりやすい例として、認知症のお父さんと娘さんの会話をご紹介しますね。

(出典:YouTubeチャンネル「高齢者ケア研究室」「【同じことを何度もたずねる】優しさを伝える介護の基礎とコツ フランス生まれの介護技術「ユマニチュード」https://www.youtube.com/watch?v=J2D06_kJCCQ)より抜粋

【お父さん】:「今、何時?」

【娘】:「ちょっと待って。(えーっと……時計を見て)今、10時半」

【お父さん】:(1分後)「今、何時だ?」

【娘】:「今、10時半!」

【お父さん】:(1分後)「えっ……? 今、何時?」(さらに何度も聞く)

【娘】:「お父さん、なーに? もう10回ぐらい言ってるんだよ!」

【お父さん】:「初めて聞いたよ!」

【娘】:「嘘つきだよ、お父さんは」

【お父さん】:「嘘つきは、お前だよ!」(部屋を出て行く)

ジネスト:このように同じことを繰り返し尋ねてしまうのは、「不安の表れ」です。認知症の人は嘘をつかないので、「初めて聞いたよ!」というのがお父さんにとっての真実。もちろん怒っている娘さんも、本当のことを言っています。だからこそ、「お父さんは嘘をついたり、困らせようとしたりしているわけではない」ということを理解するんです。

また、こちらのケースのように漠然とした不安が生じると、ご本人は「しっかりしたもの(答え)を受け取ろう」と時間を尋ねることがあります。単純に時間が知りたいのではなく、落ち着かない気持ちを「何時?」と表現していることもあるんです。そのときは、「今10時だよ。お茶の時間だね。準備を手伝ってくれる?」のように、ほかへ意識が向くように促すこともおすすめです。

 本田:認知症をお持ちの方が不安を感じている時に、周囲にいる方々から「心配ないですよ」「大丈夫ですよ」「私が一緒にいます」「あなたのことを大切に思っています」というメッセージを受け取ることができれば、ご本人の不安は次第に解消されていきます。介護で一番大切なことは「あなたのことを大切に思っている」ことを相手が理解できる方法で表現することです。

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《OTONA SALONE》

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