「正座しろ!」深夜2時まで続く説教、モラハラ夫に怯えていた私だけれど、心の奥に消えない想いがあった | NewsCafe

「正座しろ!」深夜2時まで続く説教、モラハラ夫に怯えていた私だけれど、心の奥に消えない想いがあった

女性 OTONA_SALONE/LIFESTYLE
「正座しろ!」深夜2時まで続く説教、モラハラ夫に怯えていた私だけれど、心の奥に消えない想いがあった

夫婦問題・モラハラカウンセラーの麻野祐香です。

モラハラのご相談を受けるたびに感じるのは、加害者たちの言動が驚くほど似通っているということです。特に、モラハラ夫による「説教」という名の嫌がらせは非常に長く、話の内容があちこちに飛び、何を言っているのかわからなくなるのが特徴のひとつです。

今回ご紹介するのは、夫の終わりの見えない説教に苦しむKさんのケースです。

※個人が特定されないよう設定を変えてあります

※写真はイメージです

「俺の話が聞けないのか!」から始まった、夫の説教癖

Kさんの夫はもともと理屈っぽく、ひとつの話を延々と語り続ける癖のある人でした。ニュースを見ながら「この国の教育制度は…」と話し出すと、20分以上も話が止まりません。Kさんが何を言えばよいのかわからず黙っていると、「俺の話が聞けないのか」と怒鳴られ、それを避けようと「そうね」とうなずくと、今度は「ちゃんと理解してるのか」と怒鳴られる……。何を言っても、結局はKさんが責められるのです。

夫の文句や説教は、テレビの経済問題に限りません。日常のKさんの行動に対しても、執拗に攻撃してくるのです。

ある日、娘さんが保育園の年長だった頃のこと。Kさんはうっかり、連絡帳の記入を忘れてしまいました。もちろん記入は保育園の決まりでしたが、忘れる保護者も多く、そのことで大きな問題になることはまずありません。ところがその夜、夫は激しい口調でKさんを責め続けました。

「こんな基本的なこともできないのか?」

その話は30分以上も続き、Kさんが「ごめんなさい」と謝っても、夫の説教は止まりませんでした。

それ以降、夫の「説教」という名のいじめはどんどん激しさを増していきました。話は「なぜそんなことをしたのか」から始まり、Kさんの思考力や注意力、子育て観、さらには夫婦関係の在り方にまで広がっていきました。

夫は、ただKさんを責め立てたいだけなのです。

「正座しろ!」モラハラ夫の説教が白熱するのは、きまって夜

 Kさんにとって、もっとも辛い時間は「夜」でした。

仕事と家事を終えてようやく一息つける……そんな時間になると、夫が「今日のお前の態度はひどかった」「あの言い方はおかしいと思わないのか」と、説教を始めるのです。

ある日、娘さんを寝かしつけた後のこと。夫は突然「話がある」と言い、「正座しろ」と命じました。Kさんが「なんで正座なんてしなきゃいけないの?」と反論すると、夫は「それが人の話を真面目に聞く態度か!」と声を荒らげたので、Kさんは仕方なくリビングの床に正座しました。

「さっきの返事、あれはなんだ? お前は人の話をなめてるのか?」

Kさんは「そんなつもりはなかったよ。あなたの考えすぎじゃない?」と返しましたが、夫はまったく耳を貸しません。どんなに理不尽に思っても、謝るしかその言いがかりから逃れる方法はないのです。

夫の話はどんどん熱を帯びていき、気がつけば日付はとうに変わっていました。

「夜の11時過ぎに正座させられて、そこから延々と話が続き、あっという間に深夜2時を回っていました。眠くなってうつむいたら『真剣さが足りないから眠くなるんだろ』って怒鳴られて……。もう、何が悪かったのかも、何に謝っているのかも、わからなくなっていたんです」

じつは、夫自身も自分が何を言っているのか、もはや分かっていないのです。Aの話をしていたと思えば、次はBの話になり、気づけば全く関係のないZの話に飛んでいる。それが“説教”の実態でした。

それでもなぜ、彼らは説教という形で、妻に文句を言い続けるのでしょうか?

 

なぜモラハラ夫は説教を延々と続けるのか?

モラハラ夫の説教が長くなるのは、単なるイライラのはけ口ではありません。怒りや注意とは異なり、そこには複雑な心理的背景が絡んでいます。

説教は「支配」のための手段
モラハラ夫の説教は、相手に何かを伝えたり、理解を促したりするためではありません。目的はただ一つ。相手を黙らせ、完全に服従させることです。謝っても終わらないのは、「謝罪」がゴールではないから。泣く、謝る、怯える、従う……そうした“屈服のサイン”を妻が見せるまで、説教は終わりません。

言い返せば逆上され、黙っていれば「無視するな」と怒鳴られる。Kさんの夫も「従順な態度」を確認するまで、何時間でも話し続けていました。

自分を守る“理屈”の嵐

「俺は間違っていない」「お前のほうが悪い」と、自分の正当性を証明しようと必死になるのも特徴です。そのために、過去の話をいくらでも持ち出し、理屈をこねて相手を言い負かそうとします。この裏には、不安や自信のなさが潜んでいます。

本当に自信がある人は、他人を論破しなくても平気なのです。モラハラ夫は、自分の不安から目を背けるために、相手を「悪い存在」に仕立て上げ、長時間の説教で思考を止めさせて支配しようとします。

気持ちのやり場がない

イライラや不安を、自分で処理できない人は、それを他人にぶつけることで解消しようとします。「お前のせいでこうなった」と責めることで、自分のストレスを発散するのです。

“語る自分”に酔っている

説教の最中、夫はだんだんと自分の言葉に酔いしれていきます。声は大きくなり、表情は高ぶり、「こんなにも真剣に、お前のためを思って話してやっているんだ」と、自己陶酔に陥るのです。

モラハラ夫は、妻に対して説教をすることでアドレナリンが出て、高揚感を覚えています。そして、妻が涙を流すその瞬間に“勝利”を感じ、興奮のピークを迎えるのです。

そう、妻の涙は、彼にとって支配の証なのです。

Kさんは、もう壊れてしまう、と何度も思ったそうです。

「でも、私には大切な娘がいるから……壊れてしまうわけにはいかない、そう思って踏ん張る日々でした」

本編では、夜中まで続く説教、否定と責めにさらされてきたKさんが、心をすり減らしながらも気力を振り絞って持ちこたえる姿をお伝えしました。

▶▶「もう私は涙なんか見せない」カウンセラーから教わった方法で、モラハラ夫の支配は崩れていった

では、Kさんがカウンセラーの助言をもとに、ついに“支配されない自分”を取り戻していく過程をお届けします。


《OTONA SALONE》

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