中学受験「偏差値40で行ける学校なんてあるの?」公立育ちの親ほど口にしがちな「金輪際忘れるべき非常識」 | NewsCafe

中学受験「偏差値40で行ける学校なんてあるの?」公立育ちの親ほど口にしがちな「金輪際忘れるべき非常識」

女性 OTONA_SALONE/LIFESTYLE
中学受験「偏差値40で行ける学校なんてあるの?」公立育ちの親ほど口にしがちな「金輪際忘れるべき非常識」

首都圏で加熱する中学受験ブーム。その一方で、「子供は中学受験をするけれど、自分は公立育ちだった」という親も、実は少なくないのではないでしょうか。神奈川県在住のWebデザイナー・神奈子さん(仮名・46歳)もその一人。中学・高校は千葉県の公立校、大学は県内の私立新設大学に進学しました。

一方、夫の公認会計士・計一さん(仮名・45歳)は鎌倉の公立進学校から国立大学へと進んだ、公立一本で勝ち抜いてきた世代。つまり夫婦揃って中学受験経験なし。そんな二人の長女・Aちゃん(仮名・年齢非公表)は、小学4年生から中学受験塾に通い始め、1学期にはじめて模試を受けました。結果は、総合偏差値40。

大好きな両親がその結果に一瞬沈んだ空気を、Aちゃんは敏感に察知し、心のバランスを崩してしまったといいます。

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親の世代にとっての「偏差値40」と現在の中学受験の40は「意味合いが全く違う」

 

打開策を求めて、神奈子さんは塾に面談を申し込みますが、スケジュールの関係で2週間後に。そこで面談前に、東京で中学受験塾のスタッフをしていた経歴を持つ従姉妹に相談します。従姉妹は、中学受験をテーマにした漫画本を持参して現れました。

「従姉妹は開口一番に『中学受験の偏差値50って、地方の進学校レベルって知ってる?』って教えてくれました。中学受験をする子はクラスでも教育熱心な家庭の子が多いから、そもそもレベルが高い。つまり、偏差値50は“クラスのトップ層の中での平均”で、一般の小学生の平均じゃない。そう、漫画のページを参照しながら丁寧に説明してくれて……」。

「じゃあ、うちの40は?」と聞くと、「小学校と高校は比べるものではないけれど、単純に偏差値になおすなら、少なくとも神奈子が行っていた、千葉の偏差値53公立高校よりは上。千葉でいうK高校くらい」と、地方で言う中くらいではないかと教えてくれた従姉妹の言葉に、神奈子さんはようやく肩の力が抜けたそう。

「もちろん、算数の13点偏差値23は間違いなく低い結果で、ちょっと痺れるけどね。でも、まだ4年生でしょ」と、算数については補足もあったとのことです。

 

面談前、娘の様子を心配した計一さんは、中学受験を止めて、Aちゃんの友だちがいる公立中学の学区内に引っ越すことも考えたそうです。

「でも、従姉妹の話を伝えると、夫も安心したのか、家の中の空気が柔らかくなって。娘もそれを感じたのか『宿題、やろっかな』と少しずつ動き出しました」。

とはいえ、算数はまだ苦手。計算ミスが多い状況。

「夫が教えると、真面目にやるんですが、私が教えようとすると甘えが出るのか、髪の毛を掻きむしって癇癪を起こすこともありました」。

「まだ2年半もある」中学受験は3年単位でペースを配分して、焦らず進めていく

 

塾での面談では、塾長がこう言ってくれたそう。

「4年生の1学期の勉強なんてシンプルなので、その時期の偏差値は、親が後ろに張り付いてハッパをかければ簡単に上がるもの。それより重要なのは、勉強を嫌いにさせないことです。まだ4年生なので、1週間に1日は『勉強をしない日』を作ってください」。

スケジュール表をチェックした塾長は、勉強時間を減らすように指導。

「計算問題は少しづづ、苦手意識をとっていきたいですね。例えばドライヤーをかけている時とか、『なにかのついで』にちょっとだけ。3年生の算数から少しづつ復習して自信をつけましょう。ゆくゆくは、勉強は塾の自習室で終わらせて、ご家庭はリラックスする場所にしてゆけるようにしたいですね。でも、まだ2年半あります。少しづつで、焦らなくて大丈夫です。分からないところには付箋を挟んでくれたら僕が教えます」。

と言ってくれたそう。この言葉に背中を押され、家庭では「ドライヤーをかけてあげる時、時計を見て15分程度計算問題をやらせる」程度に留め、なるべくリラックスさせたいと決めた神奈子さん夫婦。

「従姉妹や塾の先生の話を聞いて、ようやく『苦手な科目があるだけで目くじらをたてることではない』『私の子供の頃と比べて、とても叱れる立場じゃないな』って気づけました。それに、娘より成績が悪かったこんな私でも子育てと仕事を両立できている。だから、娘にも“なんとかなる”と思ってもらえるような背中を見せたいです」。

なにより大事なのは「偏差値に振り回されないこと」。親と子どもが二人三脚で走り抜いて

 

Aちゃんは今も、仲良しの友達と通塾しながら私立中学を目指しています。

「本人がやりたい気持ちがあるなら、できる限り寄り添って、塾の先生にお任せしながらサポートやストレスケアに徹していきたいです。私自身も、偏差値に囚われすぎず、いろいろな学校を見学しながら、ゆっくり進路を考えていければと思っています」。

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※本作は取材に基づいたストーリーですが、プライバシーの観点から、個人が特定されないよう随時事実内容に脚色を加えています。


《OTONA SALONE》

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