パナソニックは2025年6月3日、今夏のエアコン利用と熱中症対策に関するアンケート調査結果を発表した。6月の熱中症搬送者数が増加傾向にあることから、近年増加する早期の熱中症や「梅雨型熱中症」について、臨床教育開発推進機構の三宅康史医師が解説する。 気象庁の見通しによれば、2025年の夏は暖かい空気に覆われやすく、全国的に気温が高くなる見込みである。2024年の夏の平均気温は、2023年と並び統計開始以降もっとも高く、今夏も厳しい暑さが予想される。昨夏は記録的な猛暑により、5月から9月までの熱中症搬送者数の累計は9万7,578人にのぼり、平成20年の調査開始以降、もっとも多い搬送者数であった。2023年の救急搬送者数の累計も9万1,467人と、統計開始以降3番目に多く、2年連続で記録的な数値となっており、猛暑が予想される今夏も、熱中症対策が重要となってくる。 一方で、各種生活品の値上げに加え、今夏も電気代の値上げが止まらず、政府の電気代補助が終了するなど、電気代が各家庭のお財布を直撃しており、電気代を気にした「エアコン控え」が懸念される。 今回、パナソニックでは夏のエアコン利用と熱中症対策についてアンケート調査を実施するとともに、夏の節電に役立つエアコン活用ポイントを紹介する。 2025年 今夏のエアコン利用と熱中症対策の実態調査は、エアコンを所有している全国の20~60代の男女を対象に実施し、514名の有効回答を得た。調査期間は、2025年5月12日~5月19日。 調査結果によれば、「熱中症対策をしていない」33%、対策をしているうち46%は7月以降に熱中症対策を開始していることがわかった。自宅で自身や家族が「熱中症かもしれない」と感じたことがある人は51%で、その時に44%が「エアコンを使用していなかった」と回答している。その理由として「電気代がかかるから」が36%で最多であった。 近年増加する早期の熱中症や「梅雨型熱中症」について、臨床教育開発推進機構の三宅康史医師が次のように解説する。6月の熱中症搬送者数が増加傾向にあり、早めの熱中症対策が大切である。湿度が上がる6月のこの時期に注意したいのが、「梅雨型熱中症」。夏本番を迎える前の梅雨時期に起きやすい熱中症で、真夏ほどの気温でなくても湿度が高ければ起きやすく、風が弱い日にはさらに発症しやすくなる。室内での発生が多いのも特徴だという。 熱中症になりやすい年齢として、男性ではスポーツ中の10~19歳、作業中の20~79歳、日常生活中の60~99歳が危険な年齢と言える。一方、女性ではスポーツ、作業での発症は少なく、日常生活中の60~99歳に熱中症発症のピークがある。すべての世代で熱中症に注意が必要であるが、高齢化社会にともない日常生活中の屋内における高齢者の熱中症患者はますます増加することが予想されるため、高齢者に向けた対策がより一層重要になってきている。 エアコン冷房スイッチオンの目安は室温28度以下・湿度70%以下を目安に、本人が暑さを感じない設定温度を見つけることが推奨される。体調、年齢、体格、性別によって体感温度には差があるため、個人差を意識して、状況によっては28度到達前からエアコンを活用することが重要であるという。また、エアコンの設定温度は実際に自分のいる場所とは異なる場合があるため、自分の生活する近くに温度計、湿度計を置いて、快適な温湿度になるよう設定温度を見つけることが推奨される。 また、休日には少し汗をかく程度に意識的に体を動かしたり、ぬるめのお湯にゆっくり浸かってリラックスしながら汗をかくことで、暑さへの順応が促されるという。