占い好きのあいだで当たると評判の占い師、暮れの酉さん。彼いわく、「運がいい」とは“幸せに気づきやすくなっている状態”のことをさすのだそう。誰のまわりにも幸せのきっかけはあるのですが、運が悪いとその幸運に気付きづらくなってしまいます。巡ってくる幸せを逃さないようにすることが大切なんですって。
そんな暮れの酉さんからのお守りのようなエッセイが電子書籍『あなたの目の前にある 幸せの気づき方』(暮れの酉)になりました。ながらくオトナサローネで連載されていたエッセイは、「読むとまるで占いに行ったあとのようにスッキリ前向きになれる」と人気を博しました。あなたに訪れる“幸せ”を逃さないための、暮れの酉さんのエッセイの一部をお届けしますね。
「自己肯定感が低い」のは悪いことなのか?
日本の若者は諸外国に比べ、自己肯定感が低いという調査結果があるそうです。その調査は「私は自分自身に満足している」という質問に対して「はい、いいえ」のどちらかなんです。僕も「いまの自分に満足していますか?」という質問をされれば「満足していません」と答えるかもしれません。まだまだ足りないところや至らないところがあり、変わりたいと思う気持ちもあるし、学ぶべきこともたくさんあると思っています。もっと上手な文章を書きたいとかね。「まだまだだ」と思うからこそ、がんばれるってあると思うんです。向上心を維持してくれているのは「もっとこうなりたい」という気持ちだったりします。
だから「自己肯定感が低い」ってことは悪いことばかりじゃないように思うのです。自己肯定感が低いってことは、自分の欠点や至らないところをちゃんと見ることができているということですよね。自分のダメなところから目をそらして、開き直ることもできると思うんです。だけど目をそらすこともできずに、落ち込んだり悩んだりしてしまう。きっとまじめな人なんでしょう。自分のことを棚に上げて、迷惑を顧みず生きるような厚かましさがない、そんな人じゃないかな。そういう人、僕は嫌いじゃないです。万能感を振りかざして、平気で人を傷つける人よりよほどいいです。自分の弱さを知っている人は、他人の弱さもわかってあげられますよね。
それに自分に欠けているものがわかっていれば、人に頼ることもできます。ひとりでできることなんてたかが知れています。所詮、誰かと協力し合って生きていかなくてはいけないのですから、「頼り上手」は立派な長所だと思うんです。頼ることが悪だと思っているなら、その考えは改めたほうがいいかもしれません。ひとりでできない自分を減点するのではなく、人を頼れる自分に加点してあげてください。
自己肯定感が低いこと自体は悪いことではないと思いますが、そのせいで生きづらいのならそれは問題かもしれません。僕は自己肯定感が高いほうだとは思いませんが、昔に比べると少し生きやすくなってきたような気がします。それはたくさん失敗してきたからだと思います。
失敗は「悪」ではない
人間誰しも、どこかしら完璧主義なところがあると思うんです。できないことや失敗が少ないほうがいいと思っていますよね。できなかったらどうしよう、失敗したらどうしようと、やる前から不安、うまくいかないと「できない自分」を責めてしまう。「失敗しない」ために占いに来るお客さまも多いです。でも、考えてみてください。失敗しない人なんてひとりもいないんですよ。雨が降らない場所がないように、誰しも失敗はします。大切なのは、失敗をどう捉えるかだと思います。雨を恨むのではなく、雨の恵みに目を向ければ、幸せを感じられるように。
失敗からしか学べないことは多いです。痛みを知ることは、他者へのやさしさへとつながります。他人の経験や本から学べることもありますが、それは自分で勝ちとった経験とは違います。子どものころの失敗は子育てに役立ちます。子どものつらさや苦しさに寄り添ってあげられるのは、その痛みを知っているからです。仕事のミスも、失敗した後輩をなぐさめるやさしいまなざしになるでしょう。失敗したら落ち込んで当たり前。立ち直るプロセスも含めて、初めて経験と呼べるのです。
占いの現場で学んだことは、自分で減点対象にしている「欠点」も、他人からすれば気にするほどではないということ。自分のことになると悪く考えてしまう人がいます。あなたが忌み嫌っている「欠点」を大好きな人は、あなたの「欠点」をそこまで嫌悪するでしょうか。むしろかわいいなと思うかもしれません。自分を律することは美徳かもしれませんが、自分に厳しすぎるのはいけません。自分はほめて育てるものです。
他人にディスられるよりは自分で下げておいたほうがいいから、あえて自己評価を低くしているってこともあると思います。傷つかないための知恵ですよね。でもね、自虐的な言葉は自分を傷つけます。他人に鼻で笑われたとしても、自分のことはよく言ってあげてください。あなたのあなたのいちばん身近にいて、あなたをいちばん大事にできるのは、あなた自身なんですから。
今日は自分をほめてあげてください。「いいところいっぱいあるね」 って言ってあげてください。いつも自分に厳しくがんばっているんです から、たまには甘やかしてあげてください。いきなり自己肯定感を上げ るのは難しいと思いますが、自分に「いいね」と言ってあげる時間を少 しずつ増やしていけば、少しは生きやすくなるんじゃないかなと思いま す。
★毎週月曜日18:30配信予定。次回もお楽しみに!
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『あなたの目の前にある 幸せの気づき方』(暮れの酉/主婦の友社)
PROFILE:暮れの酉
大阪ミナミの老舗占い館で、18年間人気No.1の座に君臨。古今東西の占術を古典から深く学び、練り上げてオリジナルの「鳳凰数術」を考案。2022年2月初の書籍『暮れの酉の繊細な人のための鳳凰数術占い-名前と生年月日でわかる生きやすくなるための方法』(ヨシモトブックス)を発売。個人鑑定はからファンコミュニティから受け付け中。