「手の指に痛みやしびれを感じるようになった」「最近、朝起きたら手指がこわばる」などの悩みはありませんか?
日本の女性は一般的に50歳頃に閉経を迎えるといわれてきましたが、昨今の研究では平均値は52歳であるとされ、閉経前後の5年間が更年期と定義されています。
更年期にはからだや心のさまざまな不調に悩む女性が多いようです。
更年期女性の悩みのひとつに「手指の痛みやこわばり」があります。
今回は、更年期の手指の痛みの対策法について「あんしん漢方」の薬剤師、清水みゆきさんに教えてもらいました。
手指が痛い!まるでロボットみたい?

イラスト/lely
スーパーでレジ打ちのパートをしている美奈子さん(51歳)は、1日中立ちっぱなしで、重い荷物を運んだり、細かい作業をしたりすることも多いそう。
「最近、手の指がズキズキと痛むんです。レジのバーコードリーダーを握るのもつらくて仕事に集中できないことも多くて……」
ある日の朝目覚めると、手指の関節がこわばり、美奈子さんは手指をスムーズに動かすことができませんでした。
「まるでロボットになったみたいでした。指の関節からギシギシと音がするんじゃないかと不安になったほどです」
ため息をつきながら、朝食の準備をする美奈子さん。
「ああ、また今日もか……」
お弁当をつくり、洗濯物を干すといった家事をするにも、手指の痛みが邪魔をしてつらくて仕方がありません。
手元が狂って大惨事に!!
「あ、痛っ! 」
熱いフライパンを持つ手が急に震えて、手元がくるってヤケドをしてしまった美奈子さん。
「お弁当を仕上げなくちゃいけないのにもう! なんなのよ! 」
イライラと焦りで、つい怒鳴ってしまいました。
「最近、なんだかお母さん、ずっとイライラしてばかりだよね」
高校生の娘さんの言葉が胸に突き刺さります。
「わかってるわよ! でもどうしたらいいの……」
なんとかお弁当を間に合わせ、娘さんを送り出した後、美奈子さんはふと自分のお母さんのことを思い出しました。
「確か、母も50歳の頃、手指が痛いと嘆いていたわ……もしかしてこれって加齢現象? それとも遺伝なのかしら? 」
メノポハンドを知っていますか?

Photo:O-DAN
最近、「メノポハンド」という言葉が注目されています。
これは、日本手外科学会が提唱する新しい概念で、更年期の女性に多くみられる手指の痛みやこわばり、関節の変形、しびれなどの症状をさします。
更年期になると、骨や関節の状態を健康に維持する働きがある女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少するため、関節周囲の炎症が起こりやすくなり、以下のような手指の症状が生じます。
・朝、手がこわばる
・親指の付け根や指の第2関節などの痛み
・関節の腫れや変形
本編では、更年期に知っておきたい「メノポハンド」についてお届けしました。
続いての▶▶更年期、ズキズキと痛む手指…。いったいどうしたらいいの?漢方薬剤師が教える痛みへの対処法は
では、手指が痛むときに何科を受診したらいいのか、またどのような治療法があるのかについて詳しく解説します。