さんきゅう倉田です。2025年2月で40歳になりました。
日本大学を卒業して、東京国税局に入って、内部事務や税務調査をしていたときは、20代で結婚して、毎日満員電車で通勤して、上司にガミガミ怒られて、たまに大学や高校の友人と会って、子供が生まれたら神奈川県の実家で両親と同居して、定年まで働くんだろうなと思っていた。
実際には、国家公務員を辞めて芸人になるし、結婚もしていない。
怒られないし、怒らない。電車になるべく乗らないように工夫できるし、月に5日くらい働いて、あとは勉強をしている。思っていたのと全く異なる人生。
人生は何が起こるかわからない。
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▶20歳年下の東大生が放ったひと言が胸に刺さった
20歳年下の東大生が放ったひと言に驚かされた
東大の友人はほとんど20歳になった。ぼくは40歳になった。まだ倍も離れている。
40歳の誕生日は13時から23時まで家で誕生日会をした。25人くらいが参加してくれて、ほとんど会話をしていない友人もいるけれど、それぞれが久々にあった友人と楽しい時間を過ごし、それを遠くから見ているだけで十分だった。
充実した1日だった。
東大生とはどれだけ年が離れていても、一緒にいて学びがある。全然学びが得られない不合理な東大生も一定数いるけれど(平均的な大学生と比べると、ちゃんとしているが)、一部の優秀な東大生は話していて楽しい。
先日は結婚について話した。
ぼく:
「先日パーティに参加したんだ。そこで親しくなった女性と食事に行きたいなと思ったんだけど、
その人容姿が良かったんだ」
▶あぁ、結局顔で異性を選ぶ人間なんだ
「容姿だけで選ぶ人間なんだ、情けない」そんな僕に友人が言った
ぼく:
「自分は、結局顔で異性を選ぶ人間なんだと思ったらすごく憂鬱な気分になったんだ。
結婚相手もそんなふうに探してしまうのかと思ったら、自分が情けなくなった。
でも、この間、収録で隣に座っていた女性が20代のハーフモデルだったんだけど、その人とは挨拶以上に会話をしたいと思わなかったんだ。バラエティで活躍するくらい綺麗なモデルだよ。
でも、興味がなかったんだ。会話しても絶対に盛り上がらない、共通の話題が全くないと直感的に思ったんだ。
ああ、ぼくは顔だけで異性に興味を持っているわけじゃなかったんだって安心したよ。」
20歳の友人:
「なんでも相談できて信頼できる、生涯を過ごす相手を顔だけで選ぶのはもったいない。
60歳になったら顔なんてみんな一緒だし」
ズギュンとぼくの胸に刺さった。彼の言うことは正しい。
実際に顔だけで配偶者を選んで、後悔することになった男性と女性がいないだろうか。
▶性格の不一致、稼ぎの少なさで喧嘩する夫婦はいないだろうか?
性格の不一致、稼ぎの少なさで喧嘩になっていないだろうか。
収入だけで選んで家庭内で不快な思いをしていないだろうか。
そして、20歳でぼくの友人のような考えを持てるだろうか。
その発言の内容よりも、その年齢で様々な思考に到達していることにいつも驚かされる。
ぼくは年齢が離れているからといって、決して学生を侮ることはない。敬意を持って接している。
その行動や発言が不合理であれば、軽蔑することもあるが、若いからといって自分より劣ることはないと考えている(特定の分野においてはあるかもしれないが)。
世間一般に、そのような考えを持つ人は少ないかもしれない。年功序列が忌まわしく染みついているし、無条件に目上の人間を敬うことを社会が求める。他人を敬うことは大切なことだが、反対に若者を侮ることを正当化する慣習ではないはずだ。
親戚の事例を紹介したい。
▶「屁理屈だ」という大人側に問題はないか
子どもの屁理屈は、大人がぐぅの音も出ない「正論」なのではないか
久しぶりに会った親戚がこんなことを言っていた。
「中学生の孫が屁理屈を言ってくる」
“生意気で捻くれた子供に育った“と言いたいような口ぶりだった。
屁理屈とはなんだろうか。
自分勝手な誤った理屈を子供が本当に言ったのだろうか。
子供は正論を言ったが、その誤りや矛盾を示せなかった大人が「屁理屈だ」と断じたのではないだろうか。そうであったらとても恐ろしいし、親戚はそういうことをしそうだ。
東大には屁理屈を言うような人間はいない。
▶東大生に「屁理屈」を言う人間がいない理由
東大生に「屁理屈」を言う人間がいない理由とは
迂闊なことを言えば、すぐに間違いを指摘されるし、そうでなくとも不勉強な人間だと思われる。そんなことは避けたいし、避けなければならない。
よしんば不合理なことを言ったとしても、“屁理屈”と定義されることはないだろう。言説の不備を指摘されて、終わりだ。
「屁理屈だ」と発言すれば、その瞬間、誤りを指摘できずに負け惜しみを言うだけの落ちこぼれとみなされるかもしれない。恐ろしくて言えない。
親戚は、ぼくの発言も屁理屈だと断じてきた。具体的に矛盾を指摘することはできないが、自分の意見が正しいと思っているらしい。
周囲の大人から、そういう不適切な扱いを受ける子供たちはたくさんいるだろう。それによって自分が間違った人間だと誤認し、才能を抑圧されるかもしれない。
大丈夫。君たちは間違っていない。
相手が大人であっても、話が通じない獣のような人間であっても、根気よく静かに論拠を求めて、誤りを認めてもらおう。侮られたままでは、人間関係はうまくいかないぞ。
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