「髪を洗わない問題」がついにゴール!「なかなか見つからない」認知症でも通える美容院。“90歳のカットモデル”作戦が大成功だった | NewsCafe

「髪を洗わない問題」がついにゴール!「なかなか見つからない」認知症でも通える美容院。“90歳のカットモデル”作戦が大成功だった

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「髪を洗わない問題」がついにゴール!「なかなか見つからない」認知症でも通える美容院。“90歳のカットモデル”作戦が大成功だった

こんにちは。神奈川県在住、フリーライターの小林真由美です。ここ数年のマイテーマは「介護」。取材でも高齢者にまつわること(介護のほか、終活や相続・遺言など)に関わる機会が増えてきましたが、どこか他人事でした。それがしっかり「自分事」になった途端、驚くほど冷静さを失ってしまったのです。

【アラフィフライターの介護体験記】#13

◀◀前のページ 真冬に半袖1枚、部屋の中には洋服が散乱。「もう何を着ていいか分からない!」「今は何月?」と義母はキレ気味。これも認知症の症状です

認知症でも通える美容院が、ない!!!!(涙)

「なかなか見つからない」認知症でも通える美容院

では、話を前回の続き「カットモデル作戦」(昨年夏~秋)に戻します!

お義母さんの住まいは、ミニキッチンと洗面台、お手洗いが付いた1人部屋で、お風呂は共同の浴室を使用。週に2回、訪問介護サービス(入浴介助)をお願いしているのですが、毎回スムーズにはいかず……。

特に洗髪は1人では難しく(お義母さんはかなりのロングヘア)、何とか機嫌が良さそうなタイミングを見計らい、月一ペースでシャンプーをしてもらうのが精一杯の状態でした。

困り果てていると、ケアマネさんから素晴らしい提案があったのです。

▶その手があったか!「髪を洗うための」目から鱗の提案とは!?

■無理に洗うよう説得するより、髪の毛を扱いやすくすることを優先し、ヘアカットを勧めてみては?

■これは嘘にはなるが……。ロングヘアのカットモデルに協力してほしい!と言って美容院に行ってもらうのはどうか?(カットモデルだから「無料」ということにする)

その上、「ヘアカット&シャンプー無料券(カットモデル)」と書かれた手作りのチケットまで準備してくれました(ケアマネさん、ありがとうございます〈涙〉)。

さっそく翌日から、『美容院探し』がスタート! 認知症の影響で、シャンプーやヘアカットがスムーズにいくとも限らないため、「高齢者の対応に慣れているところ」は必須条件です。

そして何より、この『嘘』(無料券・カットモデル)に付き合ってもらわなければ!(ちなみに現在の住まいには訪問美容サービスがありますが、お義母さんには「皆さん(入居者の方)と一緒は恥ずかしくてイヤ」と拒否されました……)。

まずは、いつもお世話になっている地域ケアプラザやデイサービスのスタッフの方にヒアリング。「紹介できるかも」と好感触だったものの、すでに美容師さんが引退している、かつてはお店があったけど今は訪問美容のみ、といった状況でした。もちろんインターネットでも調べてみましたが、遠方やシニア向けマンションに併設され入居者のみの利用などで見つけられず、美容院探しは予想以上に難航します。

そんな中、あるローカルメディアの記事を発見! 介護ヘルパーの資格を持ちながら訪問美容をしている方を取り上げていて、美容院での対応も可能だそう。「やっと見つけた!」私は思わずそう叫び、すぐに予約の電話を入れました。

▶カットモデル大作戦の結果やいかに

“90歳のカットモデル”は大成功! ただ一つ心残りだったのは……?

さっそく今回の事情(認知症であること。シャンプーに抵抗があり、最近はドライシャンプーが続いていること。カットモデルという“テイ”で伺いたいこと)を説明すると、「ぜひいらしてください」と快く応じてくれ、無事に予約をすることができました。

当日、ケアマネさんが作ってくれた無料券を持ちながら、ご機嫌なお義母さん。一方私は、若干の不安とこの日を迎えられた喜びとが入り混じった状態で、美容院へと向かいました。

到着後、最初は少し緊張気味に見えたお義母さんも、美容師さんの優しい笑顔と丁寧な対応に安心したのか、シャンプーまでは比較的スムーズ!

ところが、いざヘアカットとなると「髪の毛は大事だから、やっぱり切りたくない」と拒みます。

▶義母を説得した美容師さんの押しの一手とは…

しかし、そこはプロ! 美容師さんの「少し切ったほうが髪の毛が丈夫になって、艶も出ますよ。もっともっと美人さんになりましょう~」の言葉で、最終的には気分よく応じてくれました。

こうしてシャンプーとヘアカットを終えたお義母さんは、本当に若返ったように見え、「いろいろ良くしてもらったわ」と帰りの車の中では終始笑顔でした。

ただ一つ心残りだったのは、カット前の写真を撮らなかったこと。しばらくすると、お義母さんは美容院に行ったことを忘れてしまったようで、「定期的に通えたら」と思う私たちとしては、ビフォー・アフター写真として、お義母さんに見てもらいたかったのです(こんなふうに綺麗にしてもらおう、と説得するときのためにも)。

ちなみにその後、シャンプーに対する抵抗感がなくなったのか、「シャンプーって気持ちいい」がインプットされたからなのか、今は介護ヘルパーさんのサポートのもと、髪の毛を洗ってくれるようになりました!

いずれにしても、お世話になった美容師さんやケアマネさんには本当に感謝しています。年齢を重ねても、認知症だとしても、「美は笑顔をもたらす」と再確認した出来事でした。


《OTONA SALONE》

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