「お前は無能だな!」ちょっとしたミスでも責め立てる夫。反論しても「考えが甘い」と言われ、徐々に自信を失っていった私が最後にたどり着いた結論は | NewsCafe

「お前は無能だな!」ちょっとしたミスでも責め立てる夫。反論しても「考えが甘い」と言われ、徐々に自信を失っていった私が最後にたどり着いた結論は

女性 OTONA_SALONE/LIFESTYLE
「お前は無能だな!」ちょっとしたミスでも責め立てる夫。反論しても「考えが甘い」と言われ、徐々に自信を失っていった私が最後にたどり着いた結論は

夫婦問題・モラハラカウンセラーの麻野祐香です。

結婚生活では、お互いが安心して意見を言い合えること、平等な関係が基本になります。しかし、モラハラを受け続けると、自分の意見は間違っている、相手の言葉が絶対的なものに思えてしまい、自分の考えがどんどん揺らいでしまうことがあります。

今回は、結婚10年が過ぎるうちに、夫の言うことが正しい、自分が悪いと思い込んでしまったDさんのお話をもとに、モラハラの影響と、そこから抜け出すための視点についてお伝えしたいと思います。

結婚当初は夫の言うことが「おかしい」と思えていた

Dさんが夫と結婚したのは、今から10年ほど前のことでした。 結婚当初は夫婦仲も良く、お互いに意見を言い合える関係だったそうです。しかし、結婚してしばらく経つと、夫の態度に変化が見え始めました。 ちょっとしたミスを責められたり、家事のやり方に細かくダメ出しをされたりすることが増えていったのです。

「なんでそんな言い方をするの?」

「私だって頑張ってるのに」

最初はDさんも夫に反論をしていましたが、そのたびに夫は冷静な口調で論破してくるのです。

「お前の考え方が甘いんだよ」

「言い訳ばかりするな」

「俺は正論を言っているだけだ」

そんなことが続き、Dさんは「私の考え方が間違っているのかもしれない」と思うようになり、次第に反論することをやめていきました。いつの間にか、夫の言葉が絶対のものになり、自分が全て悪いと思い込んでいました。

明らかにおかしい言葉でも「正しいように思ってしまう」心理とは

Dさんが自分を責めるようになった背景には、以下のような心理的要因が考えられます。

1. 認知的不協和と自己正当化

最初は「夫の言い方はおかしい」と思っていても、何度も論破されると、自分の考えと夫の主張(現実)のギャップが生じます。 この矛盾を解消するために、「自分の考えを修正する」ことで違和感をなくそうとする心理が働きます。

つまり、夫の言葉に反論しても負け続けることで、「私が間違っているのかもしれない」と思うようになり、徐々に「夫の言葉の方が正しい」と思い込むようになっていくのです。

2. 繰り返される否定による「学習性無力感」

何度も自分の意見を否定され、論破されると、「どうせ何を言ってもダメなんだ」と学習してしまいます。 これを心理学では「学習性無力感」といいます。

Dさんも最初は自分の意見を主張していましたが、夫に反論できず、「どうせ私は間違っている」「何を言っても否定される」と思い込むことで、自分の意見を持つこと自体を諦めてしまいました。

3. ガスライティングが引き起こす認知の歪み

相手の記憶や判断力を疑わせることで、支配しようとする心理操作のことを「ガスライティング」といいます。

モラハラ加害者は「お前の考え方は間違っている」「言い訳ばかりするな」と繰り返し言うことで、被害者に「自分の認識がおかしいのかも」と思わせます。

また、「そんなこと言ってない」「お前の考えすぎだ」と言い続けることで、被害者は自分の記憶や判断力を疑うようになり、最終的に相手の言葉を信じるしかなくなります。

4. 罪悪感を植え付けられる「ダブルバインド」

モラハラ加害者は、矛盾するメッセージを与えて、被害者が「どう行動しても間違い」と思い込むように仕向けます。 例えば、

  • 「もっと自分の意見を持て!」と言われたのに、意見を言うと「お前は間違ってる」と否定される。
  • 「俺の言うことを聞け」と言われたのに、従うと「お前は自分で考えないのか」と責められる。

このような矛盾したメッセージを繰り返し受けると、「どうやっても私は間違っている」と思い込んでしまいます。

5. 愛着と自己肯定感の低下

長年のモラハラ環境では、被害者の自己肯定感がどんどん低下していきます。 夫の機嫌を損ねないように振る舞ううちに、「自分の価値は、相手を満足させることでしか得られない」と無意識に思い込んでしまうのです。

その結果、「夫が怒るのは私が悪いからだ」「私はもっと頑張らないといけない」と考えるようになり、自分が悪いと思うことが当たり前になってしまいます。

ある日、偶然目にした「モラハラ漫画」で自分を客観視できて…

そんなある日、Dさんは偶然、ウェブメディアに掲載されていた「モラハラを描いた漫画」を見つけました。そこに描かれていたのは、まさに自分と同じような境遇の人の話だったといいます。

「これって……私のことみたい……」

その漫画を読み進めるうちに、自分が夫から言われていたことは「夫婦の会話」ではなく、「モラルハラスメント」なのだと気づき始めました。それまで、自分は夫の言うことが絶対だと信じ込み、「私は価値のない人間だ」「夫がいないと生きていけない」「私を必要としている人はこの世にいない」と思い込んでいました。しかし、それがモラハラによくある“洗脳”なのだということに気がついたのです。

そして、そこに書かれていた「洗脳を解くには、まず自分を客観視することが大切」という言葉に衝撃を受けました。

確かに、夫から毎日のように否定的な言葉を浴びせられ続けて、夫の言葉が絶対のものだと思い込んでいました。 しかし、「もし自分が第三者だったら、この状況をどう思うか?」と考えてみたのです。

「もし友達が同じ状況で悩んでいたら、私はなんて声をかけるだろう?」

Dさんは、少しずつではありますが、「本当に自分が悪いのだろうか?」と考え始めることができました。

「自分のことを客観視することで、少しずつ相手の言葉に振り回されなくなっていくんですね」

そう話してくれたDさん。この言葉が、とても印象に残っています。

本編では、「学習性無気力」や「ガスライティング」などによって、Dさんが夫のマインドコントロール下に入ってしまった顛末を説明いたしました。

続いての▶▶「モラハラに気づいても夫から離れられなかった。でも『このままではダメだと思うよ』と友達から言われて…

では、モラハラから抜け出す第一歩である「客観視」のやりかたを3ステップでご説明。そしてDさんがその後どうなったかの顛末についてお届けします。


《OTONA SALONE》

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