小芝風花 “花の井”こそが、べらぼうな人物だった!? 吉原の「細見対決」、蔦重の勝利の決め手となったのは【NHK大河『べらぼう』#7】 | NewsCafe

小芝風花 “花の井”こそが、べらぼうな人物だった!? 吉原の「細見対決」、蔦重の勝利の決め手となったのは【NHK大河『べらぼう』#7】

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小芝風花 “花の井”こそが、べらぼうな人物だった!?  吉原の「細見対決」、蔦重の勝利の決め手となったのは【NHK大河『べらぼう』#7】

*TOP画像/重三郎(横浜流星) 花の井(小芝風花) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」7話(2月16日放送)より(C)NHK

吉原で生まれ育ち、江戸のメディア王に成り上がった蔦重の人生を描いた、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の第7話が2月16日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。

蔦重と与八の対決の行方…正義は勝つ!?

重三郎(横浜流星)は板元の仲間入りを「倍」売れる『吉原細見』を作ることを条件に喜右衛門(風間俊介)率いる地本問屋と約束をします。

重三郎の姿をこれまで見守ってきた勘のいい視聴者なら察するところでしょうが、彼が『細見』を何の妨げもなく作れるはずありません。西村屋の主人・与八(西村まさ彦)が浅草の本屋・忠五郎(芹澤興人)と手を組み、重三郎に対抗して『細見』を作ることに。さらに、板元側は重三郎の『細見』を買い入れた女郎屋の女郎を『雛形若菜』には使わねえと、女郎屋の主人たちを脅すという意地の悪さを見せます。

忠五郎(芹澤興人) 与八(西村まさ彦) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」7話(2月16日放送)より(C)NHK

重三郎が新之助(井之脇海)らと考えた『細見』とは、河岸見世を含む吉原の情報を完全網羅し、なおかつ持ち運びやすいサイズのもの。さらに、重三郎は当初からのアイデアである『細見』を“半値”で出すことも譲りません。

重三郎(横浜流星)ら 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」7話(2月16日放送)より(C)NHK

重三郎が『細見』を作成するときの表情は生き生きとしており、輝いていました。勝算があるからだけではなく、“吉原を活性化したい” “有益な『細見』を生み出したい”という熱い思いを胸に秘めているからでしょう。

“忘八”の心を動かした蔦重の言葉

筆者は女郎屋の主人は人の気持ちが到底分からぬ人たちなのかと思っていましたが、どうやらそうでもないよう。重三郎が女郎屋の主人たちに語った次の言葉は、彼らの心を動かしました。

「女郎の血と涙が滲んだ金を預かるなら その金で作る絵なら 本なら細見なら 女郎に客が群がるようにしてやりてえじゃねえっすか[中略]女の股で飯食ってる 腐れ外道の忘八のたった一つの心意気なんじゃねえっすか」

これらの言葉を述べるときの重三郎の表情には、女郎の苦しみに対する深い理解が読み取れました。

“忘八”(人として大切な八つの徳を忘れ去った)といわれる女郎屋の主人の中から重三郎に協力する人が現れます。その人物とは、松葉屋の主人・半左衛門(正名僕蔵)です。

半左衛門(正名僕蔵) いね(水野美紀) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」7話(2月16日放送)より(C)NHK

半左衛門はいね(水野美紀)に話していたように、重三郎の言葉にグッときたそう。彼は花の井(小芝風花)にも声をかけ、いねと花の井と一緒に『細見』を倍売る方法を考えることにしました。いねは“『細見』がバカ売れするのは名跡の襲名が決まったとき”であることを思い出します。花の井はいねのこの言葉を聞き、大きな何かを決めたような表情をしていました。

重三郎をはじめとする吉原の人たちのさまざまな思いが実り、さらに花の井の「瀬川」の名跡継ぎが後押しして、重三郎の『細見』は大成功をおさめました。

重三郎(横浜流星) 与八(西村まさ彦) 喜右衛門(風間俊介)ら 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」7話(2月16日放送)より(C)NHK

いつかの放送で、源内(安田顕)と意次(渡辺謙)が「由緒ってのは 屁みたいなもんだって分かりますね」と語り合っていました。由緒があったとしても中身がともなわなければ、情熱を胸に秘めたぽっと出の者に打ち侵されることもあるのです。

与八のように”老舗”といわれる店の主人であったとしても、その根本が「ラクして儲けたい」であれば、表紙を高級紙に取り換えて、改に手を加えただけの魅力に今一つ欠ける『細見』にしか仕上がりません。

花の井が“5代目瀬川”に

花の井は5代目瀬川を継ぐ覚悟をしましたが、“蔦重の力になりたい”という強い思いが彼女を動かしたのでしょう。

花の井(小芝風花) 重三郎(横浜流星) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」7話(2月16日放送)より(C)NHK

重三郎がいうように、 “瀬川”という名は不吉と思われていました。花の井によると、最後の瀬川は身請けが嫌で、まぶ(情夫)と添い遂げたかったために自害したのだといいます。花の井は「豪気な身請けでも決めて、瀬川をもう一度幸運の名跡にする」ことを誓いました。

花の井の美しさに人びとが魅了されるのは、彼女には人間としての深みも強さもあるからでしょう。

前作の大河ドラマ『光る君へ』ではまひろ(吉高由里子)と道長(柄本佑)が結託して世の歪を正すために奔走していましたが、本作では重三郎と花の井が手を取り合って吉原を救おうとしているようにも見えます。まひろの思いを実現するために道長が支えていたとするならば、重三郎の思いを実現するために花の井が支えているといえるのかもしれません。

時世を反映してなのか、偶然なのか、男女が夫婦関係や恋人関係とは異なるかたちで結びつき合う姿が、近年の大河ドラマでは見どころです。また、女は男以上にたくましかったり、時には一枚上手であったり。

女性の主たるキャラクターの活躍は、女は男よりも無力という従来からの価値観を覆しているようにも解釈できます。あるいは、本作においては女の武器は“色気”だけではないことを示しているようにも思えます。

本編では、NHK大河『べらぼう』第七話の内容を深堀りしました。

続いての▶▶「これは豪華!江戸っ子たちが食べていた「冬の美味しい鍋」一覧。雪の日でも裸足の江戸女子も芯からあったまる」では、読むとお腹がすくほど魅力的な江戸の食事情に迫ります!


《OTONA SALONE》

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