【モデルプレス=2025/01/25】大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合テレビ、毎週日曜午後8時~/BS・BSP4K、毎週日曜午後6時~/BSP4K、毎週日曜午後0時15分~)に出演する鉄拳(てっけん/52)が合同取材会に出席。浮世絵に初挑戦した感想や、演じる礒田湖龍斎の魅力を語った。【インタビュー後編】【写真】鉄拳「イケメン」と話題の素顔◆横浜流星主演大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」本作は“江戸のメディア王”として時代の寵児になった快男児・蔦屋重三郎(横浜流星)が主人公。森下佳子氏の脚本で、笑いと涙と謎に満ちた“痛快”エンターテインメントドラマを描く。鉄拳は蔦重初期の錦絵「雛形若菜初模様」を手掛けた絵師・礒田湖龍斎(いそだこりゅうさい)を演じる。◆鉄拳、浮世絵初挑戦で1ヶ月練習― 発表時のコメントでは、浮世絵の練習をしているとお話ししていましたが、実際に挑んでみていかがでしたか?鉄拳:僕は演技も下手くそだし滑舌も悪いので、指名がかかったのは多分「絵を描ける人」ということだと思うので、絵を描けなかったら意味がないと思い、必死で練習しました。筆で描くのは初めてで、練習しているときは上手く描けているかと思っていたのですが、浮世絵の先生と一緒に練習したときに自分の下手さにびっくりして、家に帰って急いで線を細く描く練習をしました。筆は、少し力を入れるとすごく太くなってしまったり、細く描こうと少し離すと線が離れて描けなくなってしまったりするんです。描いているというよりは、乗せているという感じで描かなきゃいけなくて、その強弱がとても難しく、大変でした。先生たちは人差し指を添えて立つように持つのですが、それができなくて、いつもパラパラ漫画を描くときと同じように持って描いていました。江戸時代の浮世絵師さんは自分の描いた下絵の上に紙を置いてなぞって描いていたらしいのですが、撮影ではリアルさがでないということで下絵無しで直接描いているので、僕の方が江戸時代の人よりもすごいですよ(笑)。― 自宅でも練習されていたのですか?鉄拳:1ヶ月くらい自宅で練習していました。最近、老眼で視点が合わなくなったので、1日4時間くらいです。普段のパラパラ漫画の仕事もあったので、その休憩時間とかに描いていました。― 本編にも鉄拳さんが描いた絵がでてくるのでしょうか?鉄拳:僕が描いているシーンは、実際に描いています。通常、引きの画はタレントさんがやって、手元のカットではプロの方がやることが多いらしいのですが、僕が描いているのを撮りたいと指示をもらったので自分で描いています。完成したときに持っているのは先生が描いたものです。手元を見ると、プロの人とは違うペンを持つような持ち方で描いているので分かると思います。― 浮世絵は今回初挑戦となりましたが、今後の活動にも活きそうですか?鉄拳:仕事をいただければやりたいですね。ただ、すごく時間がかかるので相当なスケジュールを抑えないとダメです(笑)。自分で描くのは普段の仕事もあるのでなかなかできないのですが、この前ちょっと描きたくて自分の絵を描きました。浮世絵は今の絵とはぜんぜん違うので、楽しかったです。顔の輪郭や体つきがうねりを付けて描かれていたり、目も今の人より細かったりして、それが流行っていたのだと思います。目の点を美しく描くことがすごく重要で、それを当時の人が得意としていたことなのだと思いました。◆鉄拳「あまちゃん」劇中アニメ制作時は“1日20時間”作業― 以前のインタビューで1日20時間パラパラ漫画を描いていると話していましたが、現在はどのくらいのペースで描かれていますか?鉄拳:ピーク時は連続テレビ小説「あまちゃん」(NHK/2013)の劇中アニメを制作したときで、並行して他の仕事もやってたので、20時間というか、寝ている時間がないほどやっていました。今見るとめちゃくちゃ下手くそですよね(笑)。今は、5時間をすぎると集中できなくなるので、8時間程度に抑えています。― これまでの活動で、今回の役作りに役立った部分はありましたか?鉄拳:集中力だと思います。浮世絵を細かく描くのは大変で、1時間練習しただけですごく疲れるんですよ。だけど、それでも集中して描いていられたのは、パラパラ漫画を長い時間描いてるからだと思いました。◆鉄拳「光る君へ」出演・矢部太郎からのアドバイス― 今作は「江戸のメディア王」として知られた蔦屋重三郎の話で、いろいろな画家も出てきますが、絵を描くものとして印象的だったことはありますか?鉄拳:江戸時代に絵を描いてお仕事にしていた人がおり、僕も特殊なパラパラ漫画という誰もやっていないジャンルの絵で仕事にさせてもらっているので、今回この仕事が来たときには、縁を感じ、僕の中では湖龍斎さんには勝手に繋がりを感じています。これまでのドラマなどには葛飾北斎さんや歌麿さんなど有名な人たちしか出てこないので、浮世絵の先生にも、マニアックな湖龍斎さんを演じるのは僕が最初で最後じゃないかと言われました。もし今後湖龍斎さんの役があれば、僕を選んでもらいたいです。絵をやっていなければこの仕事は来なかったと思うのですが、なぜ僕を選んでくれたのかを知りたいです。おなじく絵を仕事にしている矢部(太郎)くんと仲が良いのですが、矢部くんも大河ドラマ「光る君へ」(2024)に出ていましたよね。― 矢部さんからはアドバイスを受けましたか?鉄拳:たまに一緒にご飯を食べたりするので、そこで「もし失敗してNGを出したらどうすればいいですか」と聞いたら、「NGとかはないんです。NGとかしちゃダメなんです。みんなちゃんと練習してくるので、本番ではNGとかもないんです」と言われました。だから、逆にプレッシャーになって、絶対に失敗しちゃいけないと思い頑張りました。― NGは出さなかったのですか?鉄拳:出さなかったです。ただ、絵を描くところで僕が思ったようには描けなかったので「もう1回お願いします」と言って、2、3回撮り直しはしました。◆鉄拳、湖龍斎の魅力語る― 湖龍斎の絵をご覧になって、どのような印象を受けましたか?鉄拳:最初は湖龍斎さんを全然知らなくて、「どんな人なんだろう」と思ってWikipediaで調べたら、何も出てこなかったんです。何も分からず、「え、僕の役ってなんだろう」と思ったのですが、女性の方の浮世絵の画像は出てきました。うつろな目や妖艶な雰囲気がうまくて、髪の毛もすごく細かく描いていて、当時は写真がなかったので想像で描いているのだと考えると、すごいです。浮世絵の初期の方なので、多分誰かが描いた絵を真似たわけではなく、オリジナルで描いたんだろうなと思っていて、当時、湖龍斎さんが描いた女性の絵がファッション誌のように見られていたそうで、本当に最先端だったんだろうなと感じました。女性の体をS字のように描いていたり、オリジナリティーが強いと思うのですが、なんで湖龍斎さんが有名にならなかったのか不思議なぐらいうまいです。漫画でいうと、北斎が鳥山明先生とか尾田栄一郎先生で、湖龍斎さんは手塚治虫先生くらい初期の人だと思います。― ありがとうございました。◆【こぼれ話】鉄拳、約3年テレビに出ていなかった鉄拳:実は3年ぐらいテレビに出ていないので、久しぶりの撮影で楽しかったです。特に理由はなく、パラパラ漫画は締切があるので優先したり、パラパラ漫画の仕事のテレビは出たりしていましたが、純粋な芸人としては出ていませんでした。「鉄拳はテレビのネタのオファーは断ってるんだ」と思われているらしいのですが、断ってなくて、ネタの依頼が全然来ないので、そろそろネタやりたいので依頼をお願いします(笑)。(modelpress編集部)◆「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第4回あらすじ『一目千本』で成功した蔦重(横浜流星)は、次なる一手に、呉服屋の入金で店の着物を着た女郎の錦絵を作る計画を立てるも、自身の知名度の低さで資金集めに苦戦する。そんな中、西村屋(西村まさ彦)が共同制作の話を持ち掛け、錦絵作りは順調と思われたが…。一方、田安治察(入江甚儀)亡き後、賢丸(寺田心)は、田沼意次(渡辺謙)が画策した白河藩への養子の一件を撤回するため松平武元(石坂浩二)にある頼みを命じる。【Not Sponsored 記事】