日経HRは、2024年10月上旬から中旬にかけて「新卒に戻って入りたい会社調査」を実施した。もし新卒に戻れるならどの企業に入りたいか、志望順位や属性にあわせて重み付けをして合計得点が多い順にランキング化した結果、三菱商事が大差で1位に選ばれた。 調査は、日経転職版の登録会員を対象に、メールでアンケートを依頼し、Webサイトで回答を集めたもの。回答者の属性は、男性が78.5%、女性が21.0%、未回答が0.5%。ランキングは、回答者が希望する企業名を1位から3位まで自由形式で記入し、順位や年齢などで重み付けをして合算値の多い順に作成した。回答者数は572人。 ランキングの結果、1位は三菱商事、2位は伊藤忠商事、3位はトヨタ自動車とグーグル(同率)、5位は三井物産となり、トップ5に総合商社が3社入った。特に、平均年収が2,000万円を超えることで話題になった三菱商事は、幅広い年代の票を集め、182.4点で他企業に大きく差を付けた。入りたい理由としては、「成長性、収入、業務領域共に大きい」(40代男性・不動産)、「日本経済の要となる企業で、グローバルに事業展開している」(50代男性・専門商社)など、収入面のほかに事業領域や成長性などを期待する回答がみられた。 また、「新卒に戻って入社するなら何を重視するか」という質問では、1位が仕事内容(56.1%)、2位が給与(53.8%)であった。この2つは、転職活動で優先する項目としても多くの人があげる傾向にある。3位は職場環境・社風(42.1%)、4位にスキルの習得・成長機会(37.9%)が続いた。ファーストキャリアの職場環境、スキル習得や成長機会が、その後の自身のキャリア形成に影響することを実感している人が多いといえそうだ。 一方で、働き方を見直したい転職希望者が重視する傾向にある福利厚生、有給休暇などはトップ10に入らなかった。働きやすさやワークライフバランスも大切だが、仕事の経験のない新卒であれば、自分の成長につながる仕事やその機会があるほうを選択して、早く力を付けることを優先したいと考える人が多いようだ。 さらに、「新卒で入ることができるなら、今の会社に入りますか?」という質問では、「いいえ」(78.5%)が約8割を占め、「はい」(21.5%)の3倍超えであった。今の会社に入る理由としては、「教育体制が充実」「若くても高いポジションに付ける可能性がある」「ジョブ型雇用が進み、自分の望む職種や部門に就きやすくなった」などがあがった。 一方、今の会社に入りたくない理由としては、「ワークライフバランスを考慮し業務負荷が軽くなったため、新卒の成長スピードが遅い」「買収による企業カルチャーの変化」など、時代の変化を反映した回答や、「管理職にならないと給料があがらない給与体系」「成熟市場で発展しにくい」など会社の閉そく感を指摘する声もあった。 「新卒に戻って入りたい会社ランキング」のトップ10は、以下のとおり。詳細は、日経HRのWebサイトから確認できる。◆新卒に戻って入りたい会社ランキング トップ101位:三菱商事(182.4点)2位:伊藤忠商事(108.6点)3位:トヨタ自動車(96.2点)3位:グーグル(96.2点)5位:三井物産(82.6点)6位:日立製作所(76.7点)7位:ソニーグループ(71.1点)8位:アクセンチュア(51.0点)9位:リクルート(45.3点)10位:キーエンス(39.7点)