家庭内の実情や夫婦の裏側は、なかなか表から見えないものです。仲睦まじいおしどり夫婦を演じながら、実は家庭内別居のような冷めた関係だった……というケースも珍しくありません。
実は、パートナーのモラハラに悩んでいる女性はかなり多いようで、養命酒製造株式会社が、20~40歳の既婚女性1,000名を対象に行った調査によると、なんと85%にものぼる女性が夫からのモラハラを自覚していることがわかりました。
さて、今回お話しするのは、夫の立場から妻に対するモラハラを自覚した男──つまり、筆者の告白です。
夫はなぜモラハラ行為に走ってしまうのか?そして、妻はどう対策するべきか?
私が犯したモラハラ行為を赤裸々に告白し、私が実際に実践した「モラハラを解決するための具体的な方法」をご提案します。
皆さんの悩みを解消するヒントになれば幸いです。
出典:養命酒製造株式会社「ママの『ストレス』と『胃腸不調』に関する調査2019」
無関心、支配、離婚宣言……私が妻に行ったモラハラ行為
私が妻に対して行ったモラハラ行為を告白する前に、前提として共有しておかなければならないことがあります。
私がモラハラ行為を行った当時、妻と私が一緒になって8~9年ほどが経過していました。それまでの私は何事においても妻ファーストで、妻への想いや感謝を毎日のように言葉や態度で示していました。
もちろん夫婦関係は良好そのもので、さまざまな人から「理想の夫婦」と言われたものです。
そんな自分が、まさかモラ夫になるとは夢にも思いませんでした。しかし、今になってみると、当時私がモラ夫化した原因は明らかでした。なので、二度と自分をモラ夫化させないよう、具体的に対策したのです。
本記事では具体的な対策についても言及しますが、ひとまず前提を共有できたところで、まずは私のモラハラ行為がどのようなものだったのかを告白します。
>>妻への関心が急速に薄れていって…
妻への無関心
先述したような、妻への想いや感謝の気持ちを言葉にしなくなっただけでなく、この時期は私の中から妻に対する信頼感や関心が急速に薄れていくのを感じました。
当時の私は新しい事業を立ち上げたばかりで、国内外の出張も多くとにかく多忙な日々を過ごしていました。もちろん妻を愛していましたし、家庭を顧みずに我欲に溺れるほど魂が落ちぶれていたわけでもなかったので、いくら妻に不満を感じていようとも浮気をしたり他の女性に入れ込んだりすることはありませんでした。
ただ、妻に対して「俺はこんなに努力して頑張っているのに、どうしてあなたはそれに見合ったサポートをしてくれないの?」という疑問と不満が、日々蓄積していたのは事実です。
その結果、私は「あなたが協力してくれないなら俺も何も協力しない。勝手にしろ」と、妻への関心や接点を自ら断ち切ってしまったのでした。
>>いつしか専業主婦の妻を支配するように
妻への支配
妻は専業主婦です。つまり、我が家の家計は私の収入に依存しています。さらに、事業の経営と併せて家計のやり繰りも私が行っています。そのため、家具を購入するにしても車を購入するにしても、実質的な決定権を持っているのは私です。
経済DVこそありませんでしたが、こうした背景が我々夫婦のパワーバランスに影響していたであろう事実は否定できません。
確かに自分を養ってくれている人間に対し、厳しく指摘したり不満をぶつけたりするのは気が引けるものです。しかしその結果、私は言うなれば職権を乱用する汚職者のように、自分のポジションにあぐらをかいたまま増長し、妻を物理的にも精神的にも支配してしまったのでした。
>>怒りが爆発。ウォーターサーバーを蹴散らかして…
離婚宣言
当時、私は毎朝8:45頃に家を出ていました。いつもは朝食を自分で用意するか、出社途中で調達して事務所で食べるなどしていました。しかしある日、私は唐突に妻に「朝食を作ってほしい」とオーダーしたのです。
当時2歳だった長男の育児を一身に負っていた妻は、朝からドタバタです。ところがそんなこともお構いなしに、私はなぜか妻に朝食の用意を依頼したのでした。
妻の反応もよくありませんでした。「はぁ?無理」と、私を突き放すような一言を吐き捨てたのです。この頃は私がモラ夫化してから既に数ヶ月が過ぎており、夫婦関係が悪化していたという事情もあります。
私はいよいよプツンときて、「金輪際もう何も頼まない。自分のことはすべて自分でやる。そっちも自分のことは自分でやれ。離婚も視野に入れておけよ」と言い捨て、玄関を出るなり玄関先にあった備品(ウォーターサーバーの交換用ボトルなど)を蹴り散らかして去ったのでした。
私の中で、もっとも印象的かつもっとも反省したモラハラ行為です。
もしかして自分もモラ夫かも……?モラ夫化する可能性は誰にでもある
筆者はどちらかというと体育会系の気質なので、必ずしも温厚なタイプではありません。とはいえ、弱い者いじめを心底嫌う人間でもあります。
それにもかかわらず、フィジカルで圧倒できてしまう相手に対しモラ夫化した自分自身に愕然としました。
性格や人格に問題があってモラ夫化するタイプももちろんいるでしょう。しかし、性格や人格ではなく「特定の条件」によりモラ夫化してしまうタイプの方が圧倒的に多いのではないかと、筆者は推測しています。だからこそモラハラ問題は、誰にとっても他人事ではありません。
次回は、筆者がモラ夫になってしまった理由と原因についてお話しします。
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