日々が飛ぶように過ぎていく中、自分のあり方に漠然と迷う40代50代。まるでトンネルのように横たわる五里霧中ですが、そんな中「ほんのちょっとしたトライ」で自分のあり方を捉えなおすには、「最初の一歩」に何をしてみればいいのでしょうか。体験談をご紹介します。
前編記事『体重70kg、ウエスト88cm、自己肯定感低めの私が25kg減、ウエスト60cmのミラクルチェンジを果たすまで』に続く後編です。
◾️ユミエさん
東京都在住、54歳、会社員。バツ1、独身・子なし、1人暮らし。29歳の時に結婚するも32歳で離婚。販売士1級、中小企業診断士の資格をとり、係長→課長と順調にステップアップ。
【私を変える小さなトライ#9】後編
必死に食いついた出世も、思えば「離婚してしまった自分」の自己肯定感を埋めるためだった
痩せる前は、「似合うかどうか」じゃなくて、「入るかどうか」が服選びの基準。試着をしても、チャックが上がらないから、恥ずかしくてお店に服を買いに行けず、ネットでXLや3Lなど大きいサイズのものを買っていたんですよ。鏡を見るのも嫌だし、写真も大嫌い。40歳の頃、電車の中で席を譲られたり、「ご予定はいつですか?」なんて聞かれたこともありました。そう、妊婦と間違われるくらい、お腹がぽっこりと出ていたんです。
私は仕事では割と順調に出世しました。38歳で「販売士1級」を取得して係長になり、「中小企業診断士」を取得して課長になって、順調にキャリアを積み上げているように見えたかもしれません。でも、それは私が「才能のある、デキる人」だったからではない。そうではなくて、どうにも低い自己肯定感を埋めて、自信をつけたかったから、ストレスで激太りするまで頑張ってしまったからです。
でも、そうして資格と社会的地位を得ても、どうしても癒やせなかったんですよね、離婚のダメージが。「どうせ私なんて何をやってもダメなんだ」と思い込んでしまう心の傷が、30代も40代もずっとずっと残っていたのだなと今になるとわかります。だからこそ、自分の努力が着実に自分を変えてくれたこのダイエットの成功は、私にとっては「自分を自分でより幸福な状態に導ける」と感じる初めての体験でした。「どうせ私は」と考えがちな自分のメンタルが「私はできる」に少しずつ変わっていったのです。
通っているジムはどんどん増えて、4つに。出勤前と退社後にトレーニング
ジム内の大会で自信をつけた私は、その後「ベストボディ・ジャパン」にも出場。カテゴリーは「フィットネスモデル」。今年2年目で、地方選に5回出て、千葉大会で「グランプリ」、首都圏大会で「準グランプリ」をいただきました。筋量があって、体脂肪率も絞らないと上位には入賞できません。加えて、ポージングや舞台映えするメイクなど、学ぶことがいっぱい。大会に出てくるような人は美魔女が多くて、髪の毛がものすごくツヤツヤだったり、同い年くらいかな? と思ったら、60歳を超えていたり、驚くことばかりです。
いろいろな大会でご一緒するので、全国に友達ができたことがすごく嬉しいですね。先日はステージメイクを習いに行ったら、「そんな薄化粧じゃ甘い」「光に負ける」と散々でした。人じゃなくて光に負けるのね(笑)。マツエクやネイルなどやったこともなかった私ですが、今は変われることが楽しくて、美を追求したいなって。
パーソナルトレーニングジムに加えて、大手スポーツクラブ、その休館時に行く24時間ジムにも通っていて、半年くらい前から会社の近所にできたオーストラリア生まれの最新フィットネスにも行き始めました。これはボクシングと筋トレを組み合わせた45分のワークアウトで、朝7時からオープンしているから、通勤前に通えるのがいい。3分×12ラウンドで腕立て、ジャンプ、バーベル、ミット打ちなどさまざまなワークアウトができます。
もう一つ、栄養士からアドバイスが受けられるダイエットサポートサービスのアプリを、会社から300円の課金が補助されるので使っています。食べたものを登録すると、「たんぱく質が足りない」など、食のコントロールができるんです。自分と似たような人を相互フォローできるので、毎日、お弁当の写真をアップして、励まし合っています。
取り組めることを少しずつ。毎朝、5時に起きて手作り弁当を持参&一駅分ウォーキングで体型キープ
お弁当はブロッコリーやカボチャ、鶏むね肉の麹漬けなど体にいいものを作り置きしています。基本は電子レンジかスチームの蒸し料理。詰めるだけなので15分もかかりません。会社にはスープの素も持っていきます。食堂で小鉢を購入することもありますが、基本、毎日自炊です。
さらに、朝は運動のために、一駅分歩いて、最寄駅の次の駅から電車に乗っています。好きな音楽を聞きながらだと歩けちゃうんですよね。こんなふうに言っていると、「初めからそんなふうにできない」と思う方もいると思いますが、私も初めから全部やったわけではありません。一気にやろうと思うと挫折するけれど、自分の生活の中で取り組めることを少しずつ取り入れてみる。できるところから始めてみる。私も最初にやったのは、会社にある社食のヘルシーメニューを選ぶ、夕食で油をできるだけ使わない、野菜を多くする、そんなことです。
50歳になったころ、コロナ禍というのもあって、「私、このまま死ぬのかな。離婚もしているし、子どももいないし、鏡も見たくないし、全部ダメダメ。生きている意味もない。このまま死んだら、太すぎてお棺におさまるんだろうか」とネガティブなことばかり考えていました。そんな自分を変えたかったんです。
私がここまで来られたのも、褒め上手のトレーナーのお陰。いまも仕事は辛いことがいっぱいあるけれど、何かを乗り越えた経験があると、前向きになれる方法を探せます。
私、トレーニングをしていて気づいたんです。「体だけは自分のもので、何とでもできるんだ」「こんな自分でも何とかなった。頑張れる自分がいる」って。そんな私の姿を見て、「ユミエができるんだったら」と、最近、身の回りに痩せる人が続々、現れてきています。私も「あの人みたいになりたい」っていうのがきっかけだったので、私も誰かの背中を押すきっかけになれたら嬉しいな。
【編集部より】あなたのトライも教えてください
矯正を始めた、ドライヤーを買い替えた、骨密度検査をした、習字を始めた、寝る前にストレッチを続けている、サプリを飲み始めた、乳がん検診に行った、パスポートを再取得した、ヘアサロンを変えた、白髪染めをやめた、ママ友と温泉旅行に行った、2やせた、子どもとオンライン英会話を続けている、和装を習い始めた……
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