「全米が泣いた」「全米ナンバーワン」「今年最高の感動を」「アカデミー賞最有力候補」「今世紀最大のアクション映画」「全米震撼」「大ベストセラー待望の映画化」…どれもありがちな"映画のキャッチフレーズ"。作品の内容はよくわからないが、「なんとなくスゴいのかも」と思わせる、定番のコピーである。
しかし、こうして羅列してみると気になるのが"全米"という言葉。これを"世界"や"アジア""欧州"に置き換えたとしても通じるはずなのだが、なぜだか"全米"が多い。映画の本場・ロサンゼルスを擁するアメリカの反応のほうが説得力が増す…という理由からだろうか。業界の思惑は定かではないが、消費者の印象は気になるところである。
そこでNewsCafeのアリナシコーナーでは「"全米1位"という映画宣伝はアリ? ナシ?」という調査を実施した。結果とともにさまざまな意見をご紹介しよう。
【アリ…33%】
■どこまで本当かは分からないけど、文言としてありでは?
■とくに気にしてなかった。見たいと思ったものしか見ないし。
■なんかいいのかなぁ、の指標にはなる。日本人受けは不明だけど。
■インパクトがある。
■まぁ1つの目安にはなるかな?
■米は数多のランキングがあると聞いたから信頼は別だけどありうるかと。
■パターンなんだからしゃーない。
■効果薄いけどね。
■1位になる条件探して言ってるから嘘ではないし、踊らされないし。
■公開1週間で「大ヒット!」という映画もあるくらいだからイインジャナイの?
【ナシ…67%】
■で? って思ってしまう。アメリカ人の好みと同じとは限らないし。
■いつもうたい文句全米NO.1なんで信憑性がない。
■全米が泣いたは嘘臭い。
■テレビで「泣けました」とか素人にインタビューのCMやってるとかえって嫌。
■アメリカで1番だから日本でも売れるって感じが嫌だ。
■全米が震撼したとか言うけど一体何回震撼するんだろう。
■あおり文句はまったくあてにしていない。自分の好みを選んでいる。
■面白かったハリウッド映画があったけど米国では不評だったって。
■1位は年間に何本あるのか…。
■全米一番のわりにたいしたことなかったりするもんなぁ…。
結果は【ナシ派】が7割近くと多数派。「あまり参考にしていない」という"無関心"派から「むしろ胡散臭い」と感じる"懐疑的"派まで意見はさまざまだが、なかには「面白くない時に使うコピーって映画評論家が言ってた」という身もフタもないコメントも。"全米"のアピールは【ナシ派】の人には「他に言うべきことのない映画」と受けとられる傾向があるようだ。
一方の【アリ派】からは「使い古されたフレーズではあるが事実は事実」「一応の目安にはなるのでは」などの声が寄せられている。確かに、BoxOffice(全米興行収入)は週間で順位付けをしており、そこで1週でも1位になれば全米1位と言っていい。考えにくいが、仮に毎週1位作品が入れ替わったとすれば、年間52本の「全米1位作品」が誕生することになる。さらに言えば"初日の興行収入が1位だった"場合でも"全米1位"と表現することもある。"全米1位"の大安売り状態になってしまうのも仕方がないというわけだ。
とはいえコピーを考える側も、毎回目新しいフレーズを繰り出すのは難しいことだろう。映画のキャッチに入る"全米"は、"お約束"程度に捉えるのがいいのかもしれない。
[文・能井丸鴻]
《NewsCafeアリナシ》
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