神秘の星パンドラを舞台に、先住民のナヴィと侵略を狙う人類との戦いを描いてきた本シリーズのテーマについて、主人公のジェイク役を演じるサム・ワーシントンは、「劇中には『I see you(日本語字幕:「あなたが見える」)』というセリフが出てきますが、ジム(=ジェームズ・キャメロン)はいつもそのこと、すなわち“人間を見る”ことをしてきたのだと思います。ジムの映画で語られるのは、観客に自分自身を見つめさせる話。『ターミネーター』や『エイリアン2』もそうでした。彼はそれが得意です」と力強く語っている。
パンドラに、“アバター”として潜入した元海兵隊員のジェイク・サリー(演:サム・ワーシントン)はナヴィのネイティリ(演:ゾーイ・サルダナ)と恋に落ち、家族を築き人類と戦う決意をする。『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』では海へと戦いの場を移し、愛する者のために人類と対峙。退けることに成功するが、家族の命を奪われるという大きな犠牲を伴った。
本作『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』では同じナヴィでありながらパンドラを憎むアッシュ族のヴァラン(演:ウーナ・チャップリン)が人類と手を組み襲来し、かつてない“炎の決戦”が始まる。
最高峰の技術を駆使した目を奪う究極の映像、究極のスペクタクルアクション…そして、その奥に描かれているのは、心を揺さぶるエモーショナルなドラマだ。サム・ワーシントンは、「1作目は男女の恋の物語でした。男性(ジェイク)が女性(ネイティリ)に出会って、恋に落ちる。女性は最初、彼に興味がないけれども、やがて…という物語」と解説。「『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』では、男性と女性は結ばれ子どもが生まれます。そうすると、それに伴う問題も起きます。どんな夫婦もなんらかの困難に直面するもの。この夫婦の場合は長男の死でした。ジムは、僕たちみんなに起こり得ることを取り上げます。別の星を舞台にすることで、彼はより大きな形で語ってみせるのです。一見、実社会と離れた舞台で語ることは観客にそっぽを向かれそうにも思えますが、逆に自分たちそのものではないがために、観客は説教されていると感じずに自分たちを見つめられるのです」と語る。
パンドラという惑星を舞台にしながらも、ストーリーには普遍性があり、誰しもが思い当たるような感情がそこでは描かれているのだ。
そして本作でも、ジェイク一家に平穏が訪れることはなく、再び人類による侵略が迫り、さらには、パンドラの新たな部族の脅威までも訪れる。
ジェイクらが今回新たに出会うのは、自然と共生してきた“森の民”や“海の民”とは違い、パンドラに憎悪を募らせている“アッシュ族”。火口域に住むこの民のリーダーは、シリーズ初となる“ナヴィのヴィラン”であるヴァラン。本作で描かれるテーマについて、サム・ワーシントンは「サリー家は悲しみを抱えたまま戦うのです。この映画を“喪失についての映画”とは言いません。そこからどう立ち直るのか、立ち直るためにはどんな強さが必要とされるのかについての映画です。愛する家族のために戦うこと、彼らはなぜ戦うのか、そのことについての映画なのです」と断言。
「『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の最後で、ジェイクは、逃げることで家族は救えない、僕たちは立ち上がるという趣旨のことを言いました。それがジェイクの姿勢です。愛するものを守るため、時にはあえて振り返り、恐れるものを真正面から見なければならないこともあります。1作目と2作目は、愛するものを守る話でした。この3作目は、愛するもののために戦う話です。そういうパワフルなテーマを、ブロックバスター映画で語るのです」。
ジェームズ・キャメロン監督は、“火”を憎しみ・怒り・暴力、“灰”を悲しみや喪失と捉え、終わりない悪循環をタイトルに込めたと明かしているが、新たな脅威に立ち向かうサリー家の運命は一体どうなるのか? 果たして、家族とパンドラを守り抜くことはできるのか?映画館での最高の映像体験を常に追求し実現しながら、普遍的テーマの先にある人々を魅了するオリジナリティ溢れる物語を描き、全世界に届け続けるジェームズ・キャメロン監督。「何人かの限られた人たちに見てもらったのですが、感想としては、間違いなく3作の中で最も感情的で、おそらく最高の出来だと言われています。心を打たれる作品になっていると思います」と自信を見せている。
『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』は12月19日(金)より全国にて公開。








