本作の劇中歌としてすでに解禁されている、山崎まさよし「One more time, One more chance ~劇場用実写映画『秒速5センチメートル』Remaster~」に加えて、BUMP OF CHICKEN「銀河鉄道」、Radiohead「Thinking About You」、JUDY AND MARY「クラシック」が劇中歌として使用されていることが明らかになった。
BUMP OF CHICKEN「銀河鉄道」は、2005年に発売されたシングル「プラネタリウム」のB面に収録された知る人ぞ知る名曲で、劇中では2008年の明里(高畑)のシーンで登場。レンタルビデオ店で「月とキャベツ」のDVDを手にしながら店内BGMとして耳にし、「電車の窓」から都会の「生きた街」を眺めながら帰宅する明里。「月とキャベツ」を観終わったあとのベランダで、月を見上げるその姿は、都会の喧騒の中で遠い記憶に想いを馳せているよう。
また、Radiohead「Thinking About You」は1993年にリリースされた、Radioheadのデビューアルバム「Pablo Honey」に収録された1曲。劇中では1997年、高校生時代の貴樹(青木柚)が聞いていた楽曲として登場。貴樹に恋心を抱く花苗(森七菜)もまた、好きな人と同じ音楽を共有したいという気持ちから、貴樹から借りたCDでこの曲を聞いている。貴樹にとっても花苗にとっても「ずっと君のことを考えてしまう」という甘酸っぱい恋の楽曲で、高校時代の貴樹と、大人の貴樹の切ない心情を繋ぐ1曲である。
JUDY AND MARY「クラシック」は1996年にリリースされた10枚目のシングル。劇中では1997年、高校生時代の花苗が、勇気を振り絞って貴樹を誘ったカラオケボックスで歌っている。「今アツイキセキがこの胸に吹いたら」と歌詞に込めた花苗の精一杯の恋心と、貴樹との恋が成就するように願うひたむきな想いが、この曲に乗せて伝わる。まさに胸がキュンとするような青春の輝きが詰まったシーンとなっている。
1997年リリースの「One more time, One more chance」とも合わせて、本作の劇中歌は、どれも大切な人への恋心を歌い上げ、それぞれの時代を彩る名曲ばかり。登場人物たちが生きた時代を、音楽を通して表現されている。新海誠が原作アニメーションで、山崎の「One more time, One more chance」に物語を重ね合わせたように、その「音楽が物語を紡ぐ」というイズムは、実写版でもしっかりと受け継がれている。