東京大学には様々な先生がいる。
経済学部で教鞭を取る人が全員東大の教授とは限らない。
ほとんどがそうだが、外部講師に任せることもある。
ある外部講師は、積極的に学生からの意見を求める。
毎回の授業の後に、「リアクションペーパー」(講義内容について学生が感想や意見を記入するための用紙)を提出させ、翌週その一部に対してコメントをする。
どうやら一部の学生たちが無茶な要求をするようだ。
先生は、学生にマイクを回して、意見を聞いてくれる。
東大生の集団であっても、想定の範囲外の面白い意見は発露されない。
なぜならば、判断が難しい問題ではなく、我儘を言っている学生が概ね悪いからである。
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▶一向に盛り上がらないリアぺタイム
授業に出席せず、それを棚に上げて注文するほど自己中心的な学生に会ったことがない。
きっと相当珍しいし、主張に正当性がない。だから、答えが収束する。
しかし、先生は考えるらしい。
考えているふりかもしれないが、わざわざ授業時間中に学生に考えさせ、答えることを求める。
▶教授を気持ちよくさせるリアぺを書く東大生
リアペで媚を売る東大生。「それって本音?」
リアクションペーパー(通称リアぺ)を書かせる授業では、リアペが出席確認の代わりとなることが多い。
書くだけでいいもの、内容によって点数が上下するもの、その点数の幅が明らかでないものなど、設定は多様だ。
おそらく学生の多くは、授業に肯定的な意見を述べるだろう。
わざわざ否定して、自分の点数を下げる必要がない。
先生の発言に疑問を持った場合、的確に敬意と論拠を持って指摘すれば授業で取り上げられ、一定の評価を受けることがあるが、解像度が低く、論拠に乏しければ一蹴されるだろう。
大学受験や定期試験では、出題者の意図を読み取って答案を作成することがあり、「こういう風に答えて欲しいんだろうな」と考える。このため必然的に出題者に対して肯定的な答案になる。
リアペにおいても同様の傾向は見られる。
▶「教授を転がす」東大生の処世術
なぜならば、授業後の同級生との会話と紹介されるリアペの内容に乖離があるからだ。
教員の趣味を尋ねるリアペがしばしば紹介されるが、教員の趣味に興味があるのだろうか。そんな学生はリアペでしか見たことがない。リアペの中だけに存在する学生なのだろうか。
教員は嬉しそうである。嬉しいからこそわざわざ授業時間中に回答する。
学生の気持ちになって考えると、授業を聞いていなかったため他に書くことがなかったのではないか。
聞いていなかったから、授業内容を誉めることもできない。
やむを得ず、「先生のことをもっと知りたいです、おすすめの飲食店はどこですか」などと書く。
授業内容を褒め続けるリアペも良く見かける。
鋭い質問や意見を言うためには、授業への理解が必要である。だが聞き逃しや遅刻、欠席の場合はそれができない。
共有されたスライドを見て、「ここが勉強になりました!」と誉めることで、やり過ごしているのではないだろうか。
処世術としては良いように思う。
ただ、自分が教員であればリアペを鵜呑みにして喜ぶことはできない。
世間で思われている以上に、東大生は社会性が備わっていて、割り切ったり、話を合わせたり、優しくしたりできるのである。もし周りに東大卒がいたら、「変わり者」というレッテルは貼らないでほしい。
■編集部より
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