吉高由里子の感性の元 “人に伝えるときに意識していること”とは「相手を少し傷つけてしまうかもしれない」【「しらふ」インタビュー前編】 | NewsCafe

吉高由里子の感性の元 “人に伝えるときに意識していること”とは「相手を少し傷つけてしまうかもしれない」【「しらふ」インタビュー前編】

芸能 モデルプレス/ent/wide/show3
モデルプレスのインタビューに応じた吉高由里子(C)モデルプレス
【モデルプレス=2025/07/25】書籍『しらふ』がワニブックスより発売中の吉高由里子(よしたか・ゆりこ/37)。2024年はNHK大河ドラマ『光る君へ』の主演として走り抜くなど女優として約20年間最前線を走りながら、X(旧Twitter)の発信も度々話題になるなど、自身の人柄と独特な感性でも人々の心を惹きつけ続けている。モデルプレスのインタビュー前編では、「読書が苦手」という吉高が、書籍を作ることにした経緯やその感性の根源に迫った。

【写真】吉高由里子「羞恥心のほうが強め」書籍通常版カバー

◆吉高由里子“ひとりごと”本『しらふ』

本書は吉高が、自身の誕生日となる22日に発売した“ひとりごと”本。内容は「喰」「演」「夢」「恋」「月」「匂」「触」「暮」「残」「伝」「逢」「喜」「雨」など、漢字1文字を入口に繰り広げられる“吉高のひとりごと”計54篇で構成され、直筆イラストの挿絵も掲載される。

「書籍のタイトル『しらふ』は本当に一瞬で決まったんです。編集さんの提案で素のまんまのテーマに一番近いと思ってこの題名になりました。この本で喋っているときは全部本当にしらふなので…私らしい感じもあるんじゃないかなと思います。挿絵のところはちょっとお酒が入っていますけど(笑)

編集さんの手の内で転がされていたので(笑)、54個の漢字一文字も家で考えてこよう、という時間は設けられなくて、大体はその場で一文字が発表されて、投げられた一文字に対して最初に思いついたことから話していく、という流れでやっていました」

さらに、中学の同級生であるロックバンドONE OK ROCKのギター・Toruとの「同級生スペシャル初対談」も収録している。

「対談ページを入れるか入れないかとなったときに、入れるとしたらこの仕事を始める前からの知り合いだったToruさんと対談するのが面白いなと思ってお願いすることにしました。プライベートでもよくゴルフとか一緒に行くので、すごく久しぶりに会うわけでもなかったんですが。ちょっと恥ずかしい気持ちではあるけど、10代の自分たちに『30代になってもまだこうやってお仕事を続けていてお友達でいれる関係ってすごいよね。面白いことが起こるよ』と教えてあげたいです」

◆吉高由里子、自身の感性は「受け入れて一緒に歩いていくしかない」

本書の企画は、2023年に「吉高さんの感性が伝わる本を作りたい」と担当編集がオファーをし、実現した。吉高自身は「変わっている」「面白い」と、自身の言葉や感性を評されることには気恥ずかしさがあるようで「何が人と違うのかわからなかったんですけど、もう受け入れて一緒に歩いていくしかないですよね」とおどける。

「小学校のときから作文だと思っていたものが『これはあなたの詩になっちゃっているから』と言われたり、今までも『Twitterを書籍化したい』というお声もいただいたりしました。私はTwitter(X)をただの感想文だと思って書いているので受け入れたくないけど、そこを面白いと思って提案してくださるということは、書き方が人とは違うのかな。生きていれば考えは変わってしまうかもしれないし、変わらない信念がある自信もなかったので、自分の本音としては書物を残すことはあんまりしたくなかったんですけど、今回は長く知っている編集さんだったからやろうと思いました。だからもうやらないと思います(笑)」

1年間、書籍作りを通して自分と向き合って改めて感じたこととは―――――

「元々私は本を読むことが少なくて、人生の内、自分で買った本が10冊もないぐらい読書が苦手なんです。だから、今回本を作っていく過程では、原稿をチェックする作業が一番辛くて『なんで作るって言っちゃったんだろう、もうやめようかな』と思うぐらいでした(笑)1年間通して3回ぐらい全部の原稿を読み直したんですが、こんなにも自分が変わっていくものなのかというぐらい、1年前と今では思考回路や最初に飛び出てくるイメージが変わっていて。一方で全然変わらないものもあるし、一緒に歩いていたはずなのに通り過ぎたら他人になってしまうような感覚があって、不思議だなと思いました。進み始めている自分と通り過ぎてく自分と、何も変わらないで突っ立っている自分がいて…そのときの自分の感性は忘れてくものだし、こうでもしないと残せないものだと思うので、ちょっと恥ずかしい気持ちはありますけど、60歳・70歳になったときに感謝する経験になっていればいいなと思います…遅いかな(笑)本が好きな人はきっと何回も読むと思うんですけど、読んでいた時期の自分と重なり合うものがあるから何回も繰り返し読むのかな?そういう感覚が面白いから読むのかな?とか、今まで思ったことのない違うベクトルで本を読む面白さにも気づきましたね」

◆吉高由里子、大河ドラマの撮影と並行して書籍作り

書籍作りを行っていた2024年は、大河ドラマの撮影真っ盛り。「撮影と並行しての作業に『忙しそうだな』『撮影で感情の波があるから控えたいな』という気持ちはなかったか」という質問には「なかったですね」とあっけらかんと答える。

「『大河ドラマを引っ張っていかなきゃ』という想いが強かったらあるかもしれないんですけど、ちゃんと人にぶら下がるタイプなので、甘えられるところは甘えさせてもらって。去年は20周年という節目と年女ということもあってお祭り状態だったので、色々なことに対して『やろう!やろう!』と勢いがあったんです。なので書籍作りの日は何のプレッシャーもなかったんですけど、確認の方が大変で、こういう取材の文章チェックをするマネージャーは大変だなと思いました。(隣にいるマネージャーに)改めてありがとうございます(笑)」

“ひとりごと”は吉高にとって、逆に息抜きになっていたのかもしれない。『光る君へ』で演じた紫式部(まひろ)といえば、壮大で精緻な恋愛長編『源氏物語』を書き上げた平安時代の作家だが、言葉を紡いで書籍を作るという点でリンクした部分はあったのか尋ねた。

「大河の台詞は何を言ったか覚えていないぐらい長いし、覚えるのもすごく時間かかったので、生きづらさはあったんですけどそれはパープルちゃん(=演じた紫式部のこと)もあったと思うので痛み分けですよね。こういったインタビューでも1対1の場合と、合同でみなさん集まって質問されるのとは違うアンテナが出てくるしどっちが良いではないんですけど、自分の言葉で伝えられるのがすごく気持ちが良いというか、人と話しているなという実感があります。海外に行っても自分の言葉で冗談を言えなくて悔しい気持ちになるので、自分の言葉で伝えたいと思うのは私の一番の性(さが)かなとも思いました。パープルちゃんと違うところは、この本は別に人に読んで欲しいなんて思ってないから『買わないでくれ』と宣伝したいくらい(笑)これは本当に人に伝えるために発信している言葉ではないので、単に私のひとりごとや小言を盗み見ている感覚で『興味ある人は覗いてみてください』というスタンスです」

◆吉高由里子の感性の根源とは…人に伝えるときに意識していること

一貫して自然体で決して奢ることなく、柔らかいのに芯は強い―――――取材をしていると常にそんな印象を抱かされる。「活字が苦手」という謙遜とは裏腹に、人々を惹きつけてやまない言葉の数々はどこから生まれてくるのだろうか。

「音で覚えちゃっているところがあるので意味を間違って覚えたり全然違う言葉を言っていることもあります。怒って喧嘩しているときに『自分のことたらいにあげないで』と『棚』と『たらい』を間違えたり(笑)。気になる言葉を辞書で調べたり人に聞いたりするのは好きで、今はもう辞書もデジタルだと思うんですけど、10代のときに手のひらサイズの辞書をもらったときがあって、それを持っているだけで頭が良くなった気分でバスに乗りながら読んでいたなと今思い出しました。面白いものを見つけるアンテナは常にギンギンになっているかもしれないけど、社会人として働いている方のほうが言葉の回し方とか絶対上手だから、知っている言葉が人より少ない分、生地を伸ばすじゃないですけど、使える方向に広げているのかもしれないですね」

そんな吉高が、人に何かを伝えようとしたときに意識している言葉選びとは?

「本当のことを伝えるときは、相手を少し傷つけてしまうかもしれないという気持ちで伝えています。人を傷つけてしまうことで自分も傷つくんですけど、その覚悟がある相手じゃないとそういう話はできないと思うので、良いことは良いことで伝えるけど『ちょっと違うかも』と思うことも、この先も一緒に関わっていくんだろうなという人には覚悟を持って話さないと、と思っています」

★インタビュー後編に続く。

(modelpress編集部)

◆吉高由里子(よしたか・ゆりこ)プロフィール

1988年東京都出身。2006年、映画初出演となる『紀子の食卓』で「第28回ヨコハマ映画祭」最優秀新人賞受賞。2008年に映画『蛇にピアス』で主演を務め、「第32回日本アカデミー賞」新人俳優賞と「第51回ブルーリボン賞」新人賞をダブル受賞。2014年には連続テレビ小説『花子とアン』(NHK)でヒロインの村岡花子を演じた。主な出演作品は、ドラマでは『風よあらしよ』(NHK)、『東京タラレバ娘』『正義のセ』『知らなくていいコト』(日本テレビ)、『わたし、定時で帰ります。』『危険なビーナス』『最愛』(TBS)、『私が恋愛できない理由』『ガリレオ』(フジテレビ)、『星降る夜に』(テレビ朝日)、映画では『ユリゴコロ』『検察側の罪人』『きみの瞳が問いかけている』など。2024年に大河ドラマ『光る君へ』で主演を務めた。

◆クレジット

ヘアメイク:RYO(TRON)
スタイリスト:有本祐輔(7回の裏)
取材協力:ニュージーランド政府観光局、ニュージーランド航空

<衣裳>

ドレス:¥41,800 Velnica(Velnica Room)03-6323-9908
パンプス:スタイリスト私物
ピアス:¥30,000 LORO(l'oro株式会社)03-6380-6859
ネックレス:¥26,950 DAUGHTERS JEWELRY(DAUGHTERS JEWELRY PR)080-8701-0094
リング(左手):¥18,700 e.m. (e.m. 青山店)03-6712-6797
リング(右手):¥38,000 ブランイリス(ブランイリス トーキョー)03-6434-0210

【Not Sponsored 記事】
《モデルプレス》

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